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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第2話

「で、宝玉の行方は分かったの?」


 俺がそう言うと、舞香はハクを見た。


「分かったっていうか……」


「ご神体として池の底から掘り起こされ、神社に奉納された後、地元の武将に奪われ、家宝にされていたところまでは分かった」


「それって、もしかしなくても……」


「戦国時代」


「遠いな」


「その後は、この辺りを治めていた殿様に譲られた可能性が高いって」


「その子孫は?」


「さぁ……」


 俺は「真面目に探す気あんのか」と言おうとして、やめた。


余計なことに口を突っ込むと「だったら手伝え」って言われるのは、決まってるし。


「ま、頑張ってね」


「あ、ちょっとま……」


 俺は何の為に呼び出されたんだ? 


全くもって意味が分からない。


教室を出る。


荒木さん……、いや、あの白銀の龍め。


そもそも勝手に全部を俺に押しつけておいて、好きにしろとか、随分いい加減な話しだ。


自分の不始末は自分でケリをつけやがれ。


そもそもそんな悠長な問題に、かまっている暇はない。


 階段を下りる。


人気のない廊下は、少しほこりっぽい臭いがする。


本当はコンクール用の写真を撮らないといけないのに、すっかりやる気が失せた。


塗装の剥がれかけた壁に手を触れる。


そのままザラザラとする冷たい感触に、歩きながら触れ続けていると、肌はすり切れてしまいそうだ。


「圭吾」


 舞香が追いかけてきた。


「待って。撮影に行くの? 途中まで一緒に行こう」


 俺より少し背の低い、肩までの髪が隣に並ぶ。


なんだかちょっと珍しい雰囲気に、壁から手を離した。


「どうしたの?」


「どうしたって……」


 さっきまでずっとザラザラと触れていた壁のせいで、手の感覚がおかしい。


「荒木先輩と、いい写真撮れた?」


「あ、あぁ……。まぁ、それなりにね……」


「それなり? イマイチだったってこと?」


 くるりと振り返り、微笑んだ彼女は俺を見上げる。


彼女の目が、なんだかやけに眩しい。

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