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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第9章 第1話

 結局その日は、山本ととりとめのない話しをして一日が終わり、舞香にも希先輩にも顔を合わせることなく終わってしまった。


山本のこともある。


スマホから舞香にメッセージを送ってもよかったけど、なんとなく文字で打つのも長文になるような気がして、それもやめてしまった。


強い日差しの下、制服の白シャツと、その隣に並んだ濃紺の小さな制服を思い出す。


アレはなんだったんだろう。


俺は夢をみていたんだろうか。


 いつものバスに乗って行けば、同じ時間で一緒になれると思っていたのに、こんな日に限ってそうはならない。


通学路に舞香は見当たらなかった。


周囲に気づかれぬよう通りすがりを装って、なんとなく彼女の靴箱をのぞいてみる。


元々位置もはっきり知らない状態からの確認では、それも不可能だった。


L字型の校舎で同列に並んでいない教室の中を見に行くことも出来ず、いつもと違う階段も上れないまま、俺は教室に入る。


 自分の席につくと、盛大にため息をついた。


机の上にひれ伏す。


問題はもう一つあった。


こっそりと山本の席を確認する。


姿は見えなかったが鞄は置いてあるから、登校はしてきているということだろう。


学校、来るの怖くならなかったのかな。


まぁそれでも学校は来るか。


俺だって来たし。


 授業が始まった。


窓から外を見下ろすと、体操服姿の荒木さんを見つける。


どこにいたって、何かと目を引く存在だ。


男子生徒の間に混じって、普通にふざけ合っている。


特に変わった行動をしているとも思えない。


ネット上でも騒ぎはない。


事情を知ってる舞香や希先輩に報告する方が先か、それとも荒木さん自身に、それとなく探りを入れるのが先か……。


まぁ、舞香に直接聞いてみるのが一番か。


俺は仲間じゃないけど、報告するくらいのことは、親切の範疇だよな。


俺は仲間じゃないけど。


迷惑がられたり嫌われたりはしないよな。


そっか。


彼女と話しをするのも、久しぶりだな。


 放課後になった。


山本と一緒に写真部部室へ向かう。


ただそれだけのことなのに、俺はすっとそわそわしていた。


コイツは昨日の晩、ハクを見てしまったことで悩んだりしなかったのかな?


何から話したらいいのか、このまま話題に触れない方がいいのか、ちょっとは悩んで、コイツの方から話しかけてくるのを待つことにした。


山本には山本の事情があるだろうし……。


申し訳ないが、山本のことより、いまは荒木さんの問題が先だ。


俺なりのフォローは山本にはした。


きっと何かあれば、コイツなら相談してくれるだろう。


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