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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第6話

「いやー、そういうあっちは、どうなってるんですかねぇ~」


 山本は本当に遠慮がない。


「知らね」


 やっぱりこんなところになんて、来るんじゃなかった。


体育館を出る。


厚く曇った空から降り注ぐ雨には、止むつもりは一切なくて、体育館を出たところで行く当てもなかった。


俺自身が何をどう考えているかとか、そんなことは他人にとって、どうでもいいことだ。


もちろん俺がどう思っていようと、それはそれで自由なワケなんだし? 


何も言わない代わりに何も言われたくないと思うのは、当たり前なんじゃないかな。


だから何も言わないし、言われない。


だからきっと、そのおかげで全てが上手く回っている。


 湿っぽい廊下をうろうろして、机とか消火栓とかを、よく分かっていないままカメラに収める。


資料室前へ向かう廊下の前までやって来て、俺はガラスケースに飾られたトロフィーを遠くに眺めた。


もはや誰も見ていない、誰も覚えてさえいない古い記憶の残骸が並べられている。


もう終わった。


俺には関係のなくなったことだ。


することもないし、こういう時にパソコンの中に埋もれた画像の整理でもしよう。


 部室へ戻り、扉を開ける。


誰もいないと思っていたそこに、舞香が来ていた。


「あ、ゴメン……」


「いや、借りてるのこっちの方だし……」


 席を譲ろうとする彼女に、俺はそのままでいいと告げる。


そのまま作業を再開した彼女の横顔を見つめている。


「編集、出来るようになった?」


「うん。今、色々やってみてるとこ」


 文字の入れ方とか文字種の変え方とか、2画面3画面にするやり方とか、色々と聞かれて、それの聞かれたことだけを答える。


マウスを動かしアイコンをクリックして、彼女の作りたい動画が作りたいように編集されていく。


ふと気がつけば、机の上に真っ白なチビ龍がとぐろを巻いて眠っていた。

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