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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第2話

「おはよう」


 バスを降りたところで、希先輩と一緒になった。


「おはようございます」


 そのショートボブの短い髪に、なぜか罪悪感を覚える。


隣に並んで歩くのが、悪いことをしているような気がして、意識して並ぶその距離幅を、ちょっと広げてみたりなんかして……。


「部室のパソコンなんだけどさー。データの保存がもうパンパンで、容量増やすっていってもこれ以上はさ……、もっと動作環境を……」


 希先輩にとっては単なる愚痴とか連絡事項であっても、俺にとってはその全てが特別な何かに聞こえる。


「俺が何とかしましょうか」


「いや。自分のデータを移して、消去してくれるだけでいい」


 坂道を登り切ったところで、舞香の後ろ姿を見つけた。


つい視線で追いかけてしまう。


希先輩も、そんな俺に気がついた。


「じゃ、頑張ってね」


 先輩は耳元でそうささやくと、ニヤリと笑った。


颯爽と歩き出す。


舞香はすれ違う希先輩に、ペコリと頭を下げた。


彼女は彼女で俺に近寄ると、そのまま無遠慮に話しかけてくる。


「で、何か良い案思いついた?」


 頼りにされるのは、うれしくなくないワケではない。


だけど学校の靴箱とか、こんな誰もがみんな通るようなところで、あえて話しかけないでほしい。


噂になったら、どうするんだ。


冷やかされるのは俺たちだぞ。


チビ龍との交流だって、そりゃレア度としては非常に高いことは理解している。


だけどさ。


「う~ん……ゴメン。すぐにはちょっと……」


「そっか。だよね。じゃ」


 案外あっさりとした態度に、拍子抜けする。


もしかして怒った? 


それとも呆れられたのかな。


出来ればこういう面倒くさいことには、あんまり関わりたくないんだけど……。


もうちょっと付き合わないと、無理なのかな。


抜けられないのかな? 


いや、そうだよ。


そもそも朝から俺が女の子に話しかけられるなんて、どうかしている。


絶対に普通じゃない。


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