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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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最終章 第1話

 宝玉をもらった俺がどうなったかというと、特に何にも一切変わらなかった。


特殊能力に目覚めるとか、チートスキルが発動するとか、そういったことはびっくりするくらい何もない。


「もうちょっとさぁー、なんかあってもいいんじゃないんっすかねー。ねぇ、なんかあるでしょ、普通。変化とかが。せめて」


「あ? なんの話しだ」


 荒木さんに聞いても、それが素なのか演技なのか、さっぱり話しが通じない。


よく考えてみれば、このヒトは演劇部の部長をやってるんだ。


その言動に、どこまで信用をおけるのだろう。


 いつものように平和な放課後だ。


運動部のかけ声が、すっかり涼しくなった空に響く。


演劇部は、もう来年の公演に向けて準備を始めていた。


体育館横の野外練習場で、新部長が指揮を執る。


その横で荒木さんは、古くなった小道具の整理をしていた。


「もっとこう……分かりやすく……。なんとかさぁ……。空が飛べるとか、波動が使えるとか……」


「だからなんだよ。それが俺になんの関係がある。お前の話はいつも意味が分からん」


「マ、ジ、で。俺もそう思ってますよ」


 彼は俺を見下ろすと、フッと笑った。


「好きにしろよ。自分の思う通りに。好きなようにさ」


 その手が伸びてきて、俺の耳を引っぱった。


「痛いって!」


「はは」


 本当にこのヒトほど、どこまで信用していいのかが分からないヒトって、見たことない。


「なにやってんの?」


 希先輩が割り込んできた。


あの日のことは荒木さんのなかで、どういう処理のされ方をしたのだろう。


少なくとも俺との間では、全く話題には上がらなかった。


「ホントにもう。すっかり私より仲良しなんだから」


 希先輩もなにも言わない。


そう言って彼女は笑った。


あの白銀の龍を思い出す。


もう二度と話すことはないって言ってたのに、あの瞬間の荒木さんは、絶対に封印解かれてたよね。


それをどうして、俺に預けようと思ったんだろう。

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