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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第11話

「ね、ハクが地上で本当にしたかったことを、教えて」


「……。その宝玉は、私のものではないんだ。そのヒトのものだ。許された者しか触れられないのだとしたら、それはそのヒト自身がかけた術によるものだ」


 ハクが手を伸ばす。


やはり彼女の指先で、小さな火花が散った。


ハクの顔が俺を見上げる。


「つまり、許されたものにしか扱えない」


「ど、どうすればいいの?」


「そこまで聞いてないのか」


「き、聞いてない」


 願えばいいのかな。宝玉に願いごと? 


だけど人間に扱えるものじゃないって……。


俺は手にした宝玉を、天に掲げた。


「ハ、ハクを天に帰して!」


 日はすっかり落ちて、こんな森の中では側にいる皆の顔すら、もはやよく分からないほどの暗さになってしまった。


鳴き始めた虫の声と街の騒音が聞こえる。


「ちょ……めっちゃ恥ずかしいんだけど……」


「まさか偽物?」


 触れようとした舞香の指先にも、ピッと雷光が走る。


「痛っ!」


 舞香にもハクにも触れられない。


唯一触れることの出来る俺には、その扱いが分からない。


宝玉は発見した。


ハクを戻す方法はこの次か……。


「もう遅い。今日はこのまま帰って、これからのことは……」


「かしてみろ」


 荒木さんの手が伸びた。


大きな手で、俺の持っていたそれをわしづかみにする。


「あ! ちょ、それはダメな気が……」


 彼の手の平にすっぽりと収まったそれは、その手に触れた瞬間、輝き始めた。


「光ったぞ」


「いやいやいやいや……」


 だ、だから! 荒木さんが持っちゃダメだって! 


それじゃあここにいるみんなに……。


その瞬間、ハクの体が光りに包まれた。


夜空の闇を突き破るように、頭上から光りの柱がゆっくりと降りてくるのが見える。


「迎えだ」


 荒木さんはそれを見上げ、ゆっくりと微笑んだ。


「お前、まさか!」


「ハクちゃん!」


 舞香はハクを抱きしめた。


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