表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
104/113

第8話

「私、どうしたらいいのかな」


「一緒に宝玉を探そう。そしてハクをちゃんと見送ろう」


「そ、そうだよね。それが正解だもんね」


「それがきっと、俺たちに出来る、できる限りのことだと思うよ」


 伸ばされた彼女の手を握る。


壁に足をかけた彼女を、思い切り引き上げた。


肩までの髪が揺れ、落ちそうになるのを抱き止める。


俺の腕の中にすっぽりと収まった彼女を、そっと離した。


互いの指先が伸びて、俺たちは手をつなぎ合わせる。


「行こっか」


「うん」


 すっかり暗くなってしまった森の中を、ゆっくり進む。


木々の隙間から見える街の明かりが、俺たちの視界を辛うじて確保していた。


「……。圭吾はさ、私とハクがころころ入れ替わってたの、気づかなかった?」


「うん? まぁ、何となくは……」


 分かってたところもあったし、なかったところもある。


「ゴメン。興味ないよね、こんな話し」


 積もった枯れ葉に足元が滑る。


踏みしめた小枝はポキリと折れる。


「すごく、楽しかったんだ……。どうやってお別れしていいのか、分かんない……」


「笑って『またね』って言えばいいんじゃない? いつものようにさ」


「はは。そんなの、ぜったい無理」


 彼女の足が止まった。


「ヤだよ。やっぱり行きたくない」


 舞香とハクの間にどんな友情があったのか、その過程を俺は知らない。


知らないから、彼女を慰める適切な言葉と対応が思いつかない。


それが俺の間違いだったとか、失敗だったってことが、いまの後悔になっている。


「俺が一緒にいてやるから、大丈夫だよ」


「……。そんなの、信じられない……」


「そうかもしれないけど、とりあえず今は信じてくれる?」


「……どうして急に、そんなふうになったの?」


「俺自身がキミを、気になってるってことに気づいたからだよ」


 裏門側から森の中を、学校の方へ戻るように進んでいる。


木立の間に見える校舎の位置から、そろそろ池の場所が近い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ