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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第6話

「あのパネル! 学校のホームページに載ってたやつだ」


 スマホを開く。


学校史のページを開くと、森の中に沼のような深い池があり、その畔には小さな祠が写っていた。


「じゃあやっぱり……」


「この近くにあるんだよ」


 彼女と目が合う。


「探そう」


 俺たちは立ち上がった。


池の周辺には、整備された芝生が広がっている。


中庭にも校庭の隅にも、こんな祠は見たことがない。


「この近くっていっても、だけど校内にはないよね」


「だとしたら……。このなかに、まだ残されてる?」


 俺は夕闇に沈もうとしている、深い森を見上げた。


「ハク! お前、ここから出入りしてなかったか?」


「え?」


「なんか前みた時、ここから出てきてただろ」


 そうだ。


抜け穴があったはずだ。


小さな女の子になったハクが、この辺りの藪から飛び出してきていた。


俺はフェンスからはみ出した木の枝をかき分ける。


足元に直径十数㎝の穴が開いていた。


「ハク専用かよ」


 仕方ない。


乗り越えるには、高すぎるフェンスだ。


高さは6メートルくらいはある。


「山門の方から回ろう」


 歩き出した俺の後ろを、距離を保ったままの彼女がついてくる。


駆け出そうかとも思ったけれど、舞香にその気配がないから、ゆっくり歩く。


裏門から外へ出た。


 その道は、アスファルトで固められた急な下り坂だった。


左手に迫る原生林の植物の侵食を押さえ込むため、切り開いた断面をコンクリートで固めてある。


俺の頭より少し上くらいの高さだ。


乗り越えようと思えば超えられる。


見上げるその向こうには、1000年前から変わらない森がある。


どこからなら上りやすいだろう。


俺が先に上がって、後から舞香を……。

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