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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第5話

「おい、起きろ」


 体を揺すってみる。


何度かそれを試して、ようやく目を開いた。


「あ、あれ……。圭吾?」


「そうだよ」


 彼女はようやく、自力で身を起こした。


「なに? ……どういうこと?」


「記憶がないのか?」


「……。それはある」


「あぁ、よかった。それなら話しは早い」


 俺はため息をついた。


だったら荒木さんがここにいないのは、逆によかったのかもしれない。


「宝玉を探そう。手伝う」


 彼女はぼんやりとしたまま、じっと俺を見上げている。


「どこまで捜索が進んだのか、俺は知らないから。悪いけど聞かせて」


「嫌だ」


「どうして」


 彼女の目に、涙がこみ上げてくる。


ゆっくりと首を左右に振った。


「わ、私……約束したの。一緒にいるって……」


「それは、荒木さんと一緒に、地上でいたいってこと?」


「違う。それは、天上のルールで、出来ないから……」


「よかった」


 だとしたら、もう迷うことはない。


「あのヒトは、ハクに会いたくないんだって。そう言ってた。自分と会うことは、ハクにとってはリスクなんだって。それは、ハク。自分でも、分かってんだろ? 危険を冒して、こんなところまでやってきたお前の本当の望みは、宝玉を探しだして、そのヒトに会うこと。違う?」


 俺は、彼女の目をそっと見つめる。


「だけど、これ以上罪を重ねてほしくないんだって。だから、大人しく待っててって。そしたらちゃんと、会いにいくからって」


 最後のセリフは、俺が勝手に付け足した言葉だけど、それでもきっと分かってくれる。


ハクとあの白銀の龍なら大丈夫……。


あのヒトなら間違いなく、そう言うに決まっている。


彼女の頬を、涙が伝った。


「時間がないの。地上に降りていることが見つかったら、大変なことになるって……」


「多分あのヒトも、そのことを心配してたんだと思う」


「……。宝玉はね、戦後発見されて、元の池にあった場所に戻されたらしいの。だけど、この学校が建てられることになって……」


「じゃあ、学校建設前には、やっぱりここにあったってこと?」


 彼女はうなずく。


この学校は、最近建てられたものだ。


間もなく創立50周年を迎える。


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