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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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ウソみたいに信じられない話なんだけど、空から女の子が降ってきた。

翌日の俺は、風邪をひいたフリをして学校を休む。舞香を乗っ取った妖怪の類いが暴れ出し、校内でアクションホラー映画並の惨劇が発生する事態を考えての危機回避だ。しかしながらそんな異次元的なことは一切起こることなく平和な時は流れ、週明けの月曜から、俺はビクビクしながら学校へと行くハメになってしまった。なぜだ?

 ウソみたいに信じられない話なんだけど、空から女の子が降ってきた。


有名なアニメのワンシーンみたいに、仰向けに寝ている女の子が、ふわっと。


天から降りてくるみたいな感じでさ。


4月始めのまだ肌寒い校内に、俺はそんなものを見てしまった。


 山の上にある高校は、その山頂を削り、池を埋め立てて整地されたらしい。


校内に埋めきれなかった小さな池が残っているのが特徴だ。


ビオトープとかいうやつで、自然をそのまま残したとかいう名目の小さな池には、カエルだとかメダカなんかが住んでいる。


その周辺には芝が植えられていて、原生林の残る山腹と比べると随分と見栄えが異なるが、一種の憩いの場になっていることは間違いない。


あんまり人気はないけど……。


写真部の俺は、どうしても春先の夜空が取りたくて、その池の脇に三脚を立てレンズの調整をしていた。


憧れの天体写真撮影のために、ネットで色々と調べた時間と方法をスマホで確認しながら、レンズを空に向けた、その直後のことだった。


 何事が起こったのかと思った。


カメラのレンズにゴミでも付いているのかとのぞき込んでみたが、何もない。


そんなゴミもないか。


ただアニメと違ったのは、その女の子は真っ白な袴を着た肩までの黒髪の女の子で、体が半透明に透けている。


「あ、あの……。あれさぁ……」


 誰かに声を掛けようと思っても、周囲には誰もいなかった。


まだまだクソ寒い春先の、こんな屋外での長時間撮影に付き合ってくれようなんて奴は、写真部にもいない。


辺りはすっかり日も落ちて、完全下校時間も近づいている。


残っている生徒たちもほんのわずかだった。


その女の子はゆっくりと、こっちに向かって落ちてくる。


どうしよう。アレはなに? 


宇宙人? 地球侵略? それとも……。


考えている場合じゃない。


俺は迷わず、校舎の陰に身を隠した。


こういうのは、遠くから観察するに限る。


だろ?

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