表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
9/29

第9話 認めてやろう/…断る

 う~ん、困ったなぁ…。僕は今、パーティーのことで頭を捻っている。主に綾女ちゃんのことだ。彼女の名誉の為に言っておくけど、別に役立たずということではない。寧ろ、僕が十全に活かしきれてないんだよね。綾女ちゃんの戦闘スタイルはヒットアンドアウェイと死角からの一撃。小さい魔物だったら首がぽんぽん飛んで行くし、気配を消して至近距離からの一撃は正に命を刈り取るものだった。それを初めて見た僕は、綾女ちゃんも何気にチートだなぁ~、というのが率直な感想だった。そこで、僕が注意を引き付けて彼女に活躍してもらおうとしたけど、待ったが掛かった。綾女ちゃん本人からである。どうやら、僕が危険に晒されるのを是としないようだ。頼りにならないとかじゃなく、純然に壁にすることは出来ないと彼女にしては珍しく強い口調で言われてしまった。そのため、必殺の一撃の頻度は落ちざるを得なかった。


 「思ったんだけど、綾女ちゃんって忍者みたいだよね。」

 「…忍者じゃ、ない。」


 3人で昼食を取っている時に戦闘を見た感想が口から漏れていた。まあ、直ぐに否定されたけどね。ついでなので、もう一つ気になっていることを聞いてみた。右目のことだ。どうやら、右だけ目が良過ぎる為に隠しているそうだ。だから、急に疼くこともなければ、相手の技をコピーすることもない。


 「でも、勿体ないなぁ。綾女ちゃん、目が綺麗だから隠さずに済めば良かったのにね。」

 「…悠翔がそう言うなら………。」

 「ハル君、気軽にそんなこと言っちゃダメだよ。」

 「ああ、やっぱり?―――綾女ちゃん、ごめんごめん。無理しなくていいから。」


 震える手で髪を上げようとしている綾女ちゃん。僕の何気ない発言を即実行し始めていた。彼女は僕の言った言葉に忠実に従おうとしている節があるんだよね。それを華夜ちゃんも理解していて、注意された。華夜ちゃんと同じ考えということは、どうやら綾女ちゃんはイエスマンらしい。う~ん、ちょっとニュアンスが違うかな?でも、発言には気を付けようと思ったよ。


 夏期休暇の間は頻繁にダンジョンに挑んだ。色々とパーティーとしての課題は見つかったが、僕達が成長すれば問題はなくなるような物だった。ただ、3人だけっていうのはこれから難易度を上げるとなると不安になる。人数が増えればそれだけ安定感が違って来るからだ。そういう結論に至った僕達は夏期休暇明けにメンバーを探すことにした。タイミングも良かったのだろう。残りの3人を難なく加入させることに成功した。そして、嬉しいことにパーティーとしての課題だった、火力と手数を手に入れることが出来たのだ。安定感も抜群だよ。


 その反面、人数が増えることによって起きる弊害がある。メンバー間のトラブルだ。モモはおちょくる態度を取ることが多く、綾女ちゃんに対しても忍者忍者と事ある毎に言っていた。綾女ちゃんも最初は僕に言ったように否定していたけど、流石にしつこ過ぎてキレてしまった。殺すぞって聞いた時は本当にビックリしたよ。このまま死闘が始まりそうな雰囲気だったから慌てて止めに入ったけど、燻ぶったままだといずれ爆発するから妥協案として、模擬戦をさせることにした。


 「いい?綾女ちゃん。必殺の一撃は禁止だからね!」

 「…御意。」


 どうやらまた噛んだみたいだ。でも、興奮しているようで気付いていないっぽいなぁ。まあ、ちゃんと返事をしたということは僕の言葉は届いているはずだから大丈夫だろう。それにしても、綾女ちゃんとモモの戦いかぁ。不謹慎だけどちょっと楽しみでもある。どんな戦いになるんだろう。


 結果から言うと引き分けだった。綾女ちゃんは開始早々、モモの意識の隙間を縫い一瞬で背後を取り攻撃を仕掛けた。見事にヒットしたが、モモには僅かながらのダメージにしかならなかったようだ。綾女ちゃんはもう一度仕掛けたが、モモの動きも早かった。おそらく、モモは綾女ちゃんの気配を感じてはいないだろう。見えていないが空気の流れのような他の気配を掴むことで、綾女ちゃんの位置を割り出している。突っ込んできた綾女ちゃんにシールドバッシュを繰り出したのだ。流石に2度目で捉えられると思ってなかったので綾女ちゃんも驚愕に目を見開いていた。なんとか盾を回避したが、そこからは膠着状態に陥った。動きがなくなったように見えるが、よく観察すれば細かくフェイントを入れているのが分かる。でも、お互いに倒すことが出来る攻撃がないことも分かっている。最早、攻撃を入れてやろうと意地になっているのかもしれない。ある程度、時間が経過したのを見計らい2人を説得するために試合終了の宣言をする。渋々といった感じだけど、和解することが出来てホッとした。


 『…忍者じゃないと言ってるだろうが。殺すぞ。』


 今となっては2人の挨拶のような物だ。綾女ちゃんは呆れているし、諦めの境地かもしれないけど…。ちなみに綾女ちゃんはモモの使い方が上手い。というか、完全に肉壁として見ている気がする。それが逆に、僕には信頼しているように見えてモヤモヤさせるのだった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ