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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第4話 レインボーマン?

 なんか最近、調子がいい。この1年で魔力量が日に日に増えているし、魔法を自由自在に操っているんじゃないかって錯覚しちゃいそうになる。もしかしたらと思って、複合魔法を試してみちゃったし。でもでも、それがなんと!成功しちゃったの!!まあ、ただ発動したって感じだし、練度も低いからダメダメ。制御で精一杯だよ~。


 複合魔法の練習をしていると先生に呼ばれた。…え?嘘⁉私が一学(国立第一勇者育成高等学園)に行けるの⁉⁉話を聞くとどうやら特待生として招待してくれるんだって。一学のことは諦めていたけど、ここに来てチャンス到来!逃すわけにはいかないもんね。私は二つ返事で、その有難いお話を受けた。先生、ありがとね。え?仕事だからしょうがなく?またまた~。いつもやる気のない顔してるのに。そんなこと言ったら怒られちゃった。確かに、女性にそんなことを言うのは失礼だったかも。嬉しくて、気持ちが昂っているみたい。


 私が一学に行くまで、まだまだ1か月以上ある。やることは余り変わらないけど、一つ悲しいことがある。今のパーティーを抜けないといけないんだよね…。正直申し訳なさで、中々言い出せなかった。そんな私を気遣って、さりげなく場まで用意してくれた。もしかしたら、皆知っていたのかもしれない。メンバー全員から祝福されたんだけど、嬉しくてつい泣いちゃった。…は、恥ずかしいよぉ~。「私、頑張るからね!」そう決意表明したら、トモちゃんが苦笑いしていた。「あんたは頑張り過ぎなのよ!もっと、肩の力抜きなさいっ!!」って、言われちゃった。…まだまだ頑張れると思うんだけどなぁ?


 今日は一学に手続きと寮の下見をして来た。もうすぐだと思うと楽しみや期待、少しの不安が私の体を隈なく満たしていて、破裂しないか心配だよ。帰り道でそんな浮ついた気持ちでいたのが良くなかったのか、突然襲われたことに対して反応が遅れてしまった。あっけなく意識がそこで途切れる…。


 目が覚めるとハッとして、飛び跳ねる勢いで起き上がった。拘束はされていなかったけど、周りは男達に囲まれていた。多くの男に囲まれる状況というのは中々に恐怖と不気味さを感じる。そして、気絶している間も見下ろされていたと思うと気持ち悪さが込み上げて来た。拘束していないのは侮りか油断か。どっちにしても、魔法で隙が作れないかと魔力を練ろうとしたが、上手くいかなかった。え?どうなってるの?魔法が使えなくなっていることに混乱してしまったのは仕方ないと思う。私の1番の武器なんだから。


 私を現実に引き戻したのは皮肉にも男からの声だった。目的を聞き出そうとしたけど、全く相手にされなかった。でも、引き下がる訳にはいかない。諦めず、訴え掛けるとリーダーと思われる男が出て来た。さっき司祭がどうのと言っていたから、この男がそうだろう。しかし、私は正直さっきの男以上に困っていた。司祭が言っている言葉の意味が全く理解出来ない。一つ分かったことといえば、この人たちの正体が魔神教団だということだけ。


 儀式?が始まった。ただ鞭を振るわれているだけが?体は無傷だけど確実に被害は出ている。鞭は軌道が読みづらく、避けにくい。服に当たりビリビリと破けていった。何度か包囲を突破しようとしたけど、つ、強い⁉思いのほか手練れで円の中心に押し返されてしまうのだ。徒らに時間だけが経過し、服は下着同然の面積になっていた。そして、思い至る。まさか⁉服だけを剝ぎ取るのが目的なの⁉⁉こんな辱めは初めてで、恥ずかしさと悔しさで顔を赤くしてしまう。人にあまり頼らない私だけど、自然と口が開いてその言葉を言ってしまった。本来なら言ってはいけない。言ったら最期、私の心が折れてしまうはずだったのだから。


 「いい表情になって来ましたね。お疲れのご様子ですし、少し休憩しますか?私はそれでも構いませんよ。」

 「―――――誰か、…助けてよぅ………。」


 ドォーーーン!


 物凄い音がした方を向くと壁に何かが衝突したようで、埃が舞い上がっていた。ふと違和感に気付いた。ずっと視界に映っていた男が何人かいなくなっていたことに。そして、空気が緊迫したものに変わった。男達が衝突したモノに対して魔法を放ち始めたのだ。煙が濛々として視界が更に悪くなっていた。皆が注目する視線の先で変化が起きる。煙が揺らめき人の形を作ったのだ。次の瞬間、そこから人が生まれる。現れた人物は魔法を受けても無傷だった。それどころか、あっという間に男達を制圧してしまった。残った司祭に対しても拳を振り抜き―――寸止めをした。しかし、その拳圧だけで死を錯覚させ、後ろの壁を跡形もなく消し飛ばしてしまった。


 余りのことに呆然としているとその人物がこちらを向く。これだけの力を見せ付けられたが、危険は感じなかった。お礼を言わなくちゃ、と口を開くが上手く声にならない。


 「今日も………明日はいい日になりますように。」


 そんなセリフとカーディガンを投げて寄越すと飛び出す勢いで出て行ってしまう。まるで、何か切迫している様子だった。そして気になるのはあのセリフ。あれはお母さんの口癖そのものだった。


 ”今日もいい日になりますように。”


 言い直したのは、今はもう夕方だからかもしれない。不思議な人物だった。難しいかもしれないけど今度会えたら、ちゃんとお礼が言いたいな。


 「でも、なんで虹色に光っていたんだろう?」


 そう、何故か全身が虹色に光っていて、輪郭しか分からなかった。声はなんとなく男の人っぽかったような…。


 手掛かりはボロボロに破けた服の上に羽織っているカーディガンだけだ。


 「あれ~?どっかで見た気がするんだけどなぁ~。」


 今日一日、色々あり過ぎて結局思い出すことは出来なかった。

彼女が気付かない理由が判明!

前話から続けて悠翔視点で書こうと思ったけど、1話挟んでみました。

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