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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第24話 僕的結論

 清涼な風が吹き抜け、緑の絨毯に白波を立てる草原を越える。その先に森の入り口があり、慎重を期して奥へと進んで行く。すると日当たり良好な少し開けた場所を見つける。僕達は木陰に隠れ、様子を窺う。そこには大岩を背にして、どうやら昼寝をしている1体の魔物がいたからだ。


 「ふむ、オークキングか。手頃な相手だと思うが、どうだい?」

 「そうですね…。あいつにしましょう、東雲先輩。それよりも―――」


 何やらウズウズしている掛森さんに一応確認してみよう。


 「掛森さん。先に叩いてみます?なんなら、豚ヤロー!って叫ぶのをお勧めしますよ。」

 「確かに叩きがいがありそうですが、流石に叫ぶのは恥ずかしいですね。………コホン!何らかの実証をするのでは?邪魔をするつもりはありません。」

 「美音くん。変なことを勧めないでくれるかしら…。」


 僕の思考を誘導する質問にポロリと本音を呟く掛森さん。澄ましているけどほんのり頬を赤らめているのが可愛いですね。それから識さんに注意をされてしまったよ。


 ちなみに僕は豚のことを侮辱していないと、ここに宣言しとくよ。豚の体脂肪率がアスリート並みなのを知っているからさ。野生化すると10%切るって話だしね。つまり、見た目だるっとしているけどオークは相撲レスラー集団なのだ。それから、オーク肉は美味らしいけど、僕はまだ食べたことがない。皆、美味しいって言うけど実際どうなんだろう?家畜と違って野生のオークなんて筋肉の塊だよ?


 実は今ダンジョンにいるんだけど、東雲先輩、掛森さん、識さんが何故一緒なのか疑問に思ったかい?答えは簡単。臨時パーティーを組んでいるからだよ。あっ、それ以外に理由がないだろって思ったでしょ。…ほっとけ!勿論、華夜ちゃんと綾女ちゃんもいる。そもそも、男共が来れないからこんなことになっているんだけどね。ナイスぅーっ!ていうか、…え?何この組み合わせ。最強じゃない?まさに夢のドリームチームってやつじゃないかな。今ならどんなことでも出来そうな気がするよ!


 改めて周りを見て思う。どうして、こうなったんだっけ…。


……………

………


♢♢♢


 ミーティングを素早く終わらせ、これからが本番とばかりに真剣に話し合う。あそこの料理が~。あのお店が~。ただの雑談と侮るなかれ。これは高度な駆け引きなのだ。尻尾を出したが最後、デートの約束をするのだよ。フハハハ。…なんてね。普通に遊びに行く場所を決めているだけだよ。僕達は学生だからね、遊びも大事なわけさ。今年は人数揃っていないから水着回ないみたいだしね。…ん?さっきのメタ思考はなんだろう?でも、プールいいね。今度行かない?


 楽しい時間は瞬く間に過ぎて行き、お開きとなる。帰る2人を見送り、僕は学園内に踵を返す。東雲先輩との連絡手段を確保する為だ。錬金課に足を踏み入れるのは危険なので問い合わせてみたが、個人間の用事には残念と言うべきか、当然ながら取り合ってくれなかった。正式な依頼として申請していれば話は簡単だったんだけど、あれは口約束みたいな物だからね。そこで、ワンチャン歩き回って探すことにした。夏期休暇中じゃなければ教室とかに行けば会えたんだろうなぁ…。


 「はあ…、流石にこっちにはいないか…。」


 はい、無理でした。ベンチに座り灰になるしかないや。それにしても、東雲先輩を探し回っている状況にビックリだね。まさか、ヒロインである彼女と繋がりが出来るとは夢にも思わなかったなぁ…。いや、朝日さんもか。未だに信じられないよ。彼女達に係わることなんて、一生縁のない物だと考えていた。人生分からないものだね。―――そこで、ふと気付いたことがある。


 「あっ!シナリオ全然気にしてなかった!!」


 正直なところ、僕は自分の生活で精一杯だった。彼らに注意を向ける余裕がなかったのが現実だよね。東雲先輩と主人公の会話で一度思ったけど、もうよく分からないと言うのが実際の感想になる。所詮、モブの僕が重要な情報を知ったところで事態が変化することはないってことだね。どうやら、気負っていた部分が僅かばかりあったようで、この気付きは僕に真の解放を齎してくれた。


 主軸となる主人公が情報を持っているかが、やっぱり大事なんだよね。でも、僕は思う。転生した時点でA世界線からB世界線に移動したはずだから、本来のシナリオ通りには行かないでしょ。まあ、それに気付けってのは無理な話か。チートを授かったとしても、あの能力がなければ知る由もない。それに、世界の強制力とか言うけど大抵が主人公の大勝利に収束する。皆が皆、Sゲートに辿り着いたマッドメンなのだ。そこに痺れる、憧れるぅ~。


 途中で転生したのを思い出すパターンもあるけど、あれって完全に憑依だよね。前の人格、消滅しちゃってるじゃん。お前、誰だよって言われてるじゃん。この機体、ハイスペックだぞって浮かれてやり過ぎな件。最高だね。


 悪役や不遇キャラの不幸を回避する為に努力するのはいいけど、全く別の道に進もうとはしないよね。まあ、情報というアドバンテージを捨てたくないし、何より登場人物たちのこと大好きでしょ。物凄ーく分かる!僕も仲良くなりたいと思っていたけど、今では通りすがりに眺めるだけになっていたよ。嫌われていたとしても、接触する機会が約束されているだけ羨ましいね。


 よく、好き・嫌いの反対は無関心って言うけど、僕は、そうは思わない。好きと嫌いは同じベクトル、いや、表裏一体の方が正確かな。好きだから嫌いな部分が目立ってしまう。死ぬほど嫌いだったのに、同じくらい好きになってしまった。つもり、好きと嫌いは反転が可能なのだ。じゃあ、反対は何かと言うと………なんだろうね。僕もまだ答えが出せていない。思わせ振りでごめんね。でも、無関心ってのは感情のニュートラル状態を差している訳だし…。


 主人公になれなかった僕は嫉妬と羨望で、聞かれたら怒られそうなことを色々と考えてしまった。しかし、まだまだ思考が止まらない。では、ヒロインとは何か。この世界も例に漏れず、主人公に必ず攻略されることになる。ゲームではヒロインが一方的に多く喋り、選択肢1つで拡大解釈をし、暗示を深めていく。これじゃあ、まるで呪いだ。彼女達の自由を守るために立ち上がる時!…まあ、今いる場所はゲームじゃなく現実という地に足の着いた世界なんだけどね。これからどうなっていくのだろう。僕にとってのヒロインとは、そんな呪われた関係じゃなくて、想い合いで繋がった関係がいいな。


 何はともあれ、僕はモブらしく慎ましやかに日々を送って行こう。つまり、これまでと変わらないってことだね。さあ、僕の物語を改めて始めようか。


 太陽が地平線に落ち、歪む。熱気が漏れ空を緋色に焼いているかのようだ。夕方。もうこんな時間か。頭の中で、素晴らしい世界にいるであろう爆裂系魔法少女の牧歌的な曲が聞こえて来たので家に帰ろう。重くなった腰を上げる。と―――


 「ん?…そこにいるのは、悠翔ではないか。」

1章はこれで終わりです。盛り上がりに欠ける章となりましたが、お付き合いありがとうございます。

この後は幕間を1話入れる予定ですが…。


本来はヒロインと接触するのはもっと先か、気付かないようにする予定でしたが、回りくどいし構成が大変なので、これからは急接近の予感!

あらすじも大分ズレ始めて来たので直さないといけませんね。あらすじ詐欺になってしまう!


悠翔が言っているのは他の作品を批判、否定するものではありません。そういう作品は作者も大好きです。悠翔の性格上の問題です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 『ヒロインとは何か。この世界も例に漏れず、主人公に必ず攻略されることになる。』辺りの話って夢で見た魔人♡くえすとと同じくっていう意味でいいんですよね? 他に現実にある多くのゲームも含ん…
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