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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第18話 ダンジョンは出会いの場④

最近の楽しみはブックマーク件数がじわじわ増えること―――感謝っ!


今回は1000文字オーバーの3000文字となっております。

表現がうざかったらごめんなさい。

 小道を走る。木の根を飛び越え、枝を避け、整っていない地面を疾走する。坂を上ったり、下ったり、時には壁のような崖を僅かな足場を頼りにぴょんぴょんと跳ねる。正直なところ付いて行くので精一杯の状態です。身体強化を全力で施している私だけど、前衛の人達は身体強化をしている気配をほとんど感じないのよね。純粋な身体能力の高さには改めて驚愕せざるを得ない。


 『ヒュ~~~~~、バンッ!』


 注意を引かれる音がして私達の足は止まる。この場所からは何が起きているのか分からないけど、信号弾の類ではなさそうね。魔力の気配から誰かが魔力弾を打ち上げたんだと思う。でも、何故?その答えは素早く状況確認をしていた識さんから返って来た。


 「最悪ね…。私達以外にも探索者がいたみたい。彼らは偶然に居合わせた探索者のパーティーにドラゴンを押し付けたわ…。」

 「もう~、何やってんの⁉ユウトっ!」

 「確かに最悪だな。勇人は後回しとして、当然行くのであろう?委員長。」


 八咲さんと榊さんは峰君に甘い部分があるけど、今回ばかりは憤慨していた。2人とも正義感が強い。榊さんは分かるけど、八咲さんもそうなのは意外よね。…見た目で判断するのはダメってこと。八咲さんと榊さんの気持ちに応えるように識さんが一言肯定して、行動を開始する。


♢♢♢


 丘に出た私達は探索者パーティーとドラゴンを横合いから見下ろすことが出来た。全体が見えて観戦するならベストポジションと言えるだろう。しかし、今はそんな場合じゃない。既に戦闘は始まっている。金属が上げる甲高い音。魔法によって起きた爆発と衝撃波。そして、ドラゴンの唸り声。


 1・1・2・1のフォーメーションで上手く戦っている。盾役の男の子がとにかく凄い!1人でドラゴンの攻撃を大盾で受け、ブレスでさえ防ぎ切ってみせた。でも…、口をパクパクしているのはなんでだろう…?後衛の魔法使いも凄い。女の子の方は余波を結界で抑え、仲間たちにバフを掛け続けている。男の子の方は上級魔法を連続で放っている。魔力量がかなり多そうだし、インターバルが短いのには感心するしかない。ドラゴンは傷を負っているものの魔法抵抗力が強い。倒すには数十発と当てる必要がある。時間が掛かるし、何より魔力が保つかパーティーが保つか分からない。現実を理解して、上級魔法を牽制のために使っているのが凄い。その効果もあり、見えない斬撃がドラゴンの傷を増やしていく。…あれ?誰がやってるの?それから1番後ろの男の子は……………ただ立っているだけ?分からないわ…。


 「ふむ。どうも決定力に欠けるな。このままではジリ貧だ。そろそろ行くべきでは?」

 「…そうね。―――あら?」


 榊さんが的確に分析して導き出した結果を口にして、飛び出すタイミングを尋ねて来た。考え事をしていたみたいで、識さんは僅かに反応が遅れた。戦いに向かうため気持ちを切り替えようとした時、戦況が変わる気配を感じた。魔力が大きく膨れ上がったのだ。


 中衛の男の子。小盾を腕に装着し、片手剣を地面に刺してすぐに動ける準備こそしているが動きは全くない。何故なら彼の意識はこの場に無いのだから。深く、深く―――自らの魂に触れるが如く、奥深くへと集中している。目の前には格上の存在。そんな状況で無防備になり命を差し出すに等しい真似が出来るものなの?でも、答えは簡単だった。彼が仲間に全幅の信頼を寄せているのは見ただけでも分かる。憧憬、羨望。クランのために頑張ると決めた私だけど、私が求めている物がそこにある気がした。


 彼が持ち上げた右手に魔力が集まり、一点へと収束して行く。


 「かなり凝縮しているけど、ただの魔力弾じゃ無理でしょ。ていうか、ちっさ。」

 「「「「……………」」」」


 誰かが何かを言った。しかし、完全に耳を素通りしてしまう。あれは何?あれは魔力弾なんかじゃない。未知の光景に惹き付けられ目が離せなくなっていた。違う属性の魔素同士が衝突し相克し合い融合して行く。脈打つようにその都度、力強さが一段引き上げられる。荒れ狂っていた魔力は次第に彼の掌に丁度収まりそうな綺麗な球へと形成された。それと同時に今まで吹いていた力の嵐はぴたりと凪ぎ、波紋一つ起きない静かな水面(みなも)と化していた。


 「識さん、アレは…?」

 「…ごめんなさい、分からないわ………。」


 普通、魔力弾はその人の魔力の色になり、凝縮すると色が濃くなる。でも、彼のソレは透き通った白光を発しており、燦々と煌めく様は万華鏡を彷彿させて幻想的だった。一般的な魔力弾を減法混色とするなら、彼のは加法混色と言えるほど別物だ。このことに気付いているのは私の他に3人。私は魔法使いとして複合魔法を習得した経験から。八咲さんと榊さんは最上の剣士としての勘故か。識さんは彼女の特性によるものか。


 「綾女ちゃん!!」


 彼が叫ぶ。―――と姿が消えた。見失った?違う。まるで別の存在に上書きされたような、存在を奪われたのではという錯覚。ドラゴンからは焦りを感じる。彼の右手の力に魔物としての本能か勘か、最大の危機を察知し、最大限の警戒をしていたのだから当然だ。踏鞴(たたら)を踏むくらい忙しなくキョロキョロと見回す。見つかるはずがない。彼は既に死角となる背後に現れていた。


 あと少しで手が届く。一体、これから何が起きるの?私は固唾を呑んで見守る。だが、やはりと言うべきか邪魔が入る。彼にドラゴンの尻尾が迫っていた。当のドラゴンは気付いている素振りがない。尻尾が別の生き物のように意思を持ち、鞭の(しな)りで叩き落とそうと襲い掛かる。これが生存本能の衝動から来る反射。


 不意の攻撃。相手の無意識は予測が出来ない。反応が遅れた彼は小盾で尻尾を受けるが、小盾は悲鳴を上げながら潰れてしまう。それとは別に乾いた嫌な音が混じっていた。彼の苦悶の表情から状況と奇襲の失敗を察する。…いや、彼はまだ諦めていない。飛ばされて堪るかと食らい付き、体勢を完全に崩しつつも衝撃を逃がし切ることに成功した。そして、―――ついに届く。


 「うおぉぉぉりゃぁぁあああ!」


 正しく裂帛の気合い。ドラゴンの魔力障壁に阻まれ()し合いが生じる。ここで決めるとばかりに根性で押し込んだ彼は、ドサッと音を立て受け身も取れずに地面に落ちた。大盾の子が拾い上げ、距離を取る。


 ドラゴンは微動だにしない。沈黙が苦しい。1秒が長く感じる。先に動いたのはドラゴン。でも、それは終わりを告げる合図だった。痙攣したように一瞬で大きく仰け反り、固まる。そこからは衝撃的だった。姿が歪み、輪郭が保てず波打ったかと思えば、徐々に小さくなっていく。中心へと引きずられるように。折り畳まれるように。ドラゴンはもうそこにはいない。断末魔の叫びすらなく消えた。訳が分からない。頭は混乱しているが一つの事実に心が浮き立つ。彼らは勝ったのだ。


 「やった!」


 気付けば小さくガッツポーズを取り、言葉に出していた。指は固く握り締められ、汗が滲んでいた。熱い。昂りを抑えるように熱い呼吸を繰り返す。思考は感情に流され興奮を禁じ得ない。私は目の前の未知と生死を懸けた戦いに熱狂していた。余韻が漂う。


 「…ふぅ。不覚にも見入ってしまったわ。さて、遅くなったけど行きましょうか。」

 「あれ?行くの、いんちょ?」

 「当然よ。結果的に彼らだけで対処出来たと言っても、誠意を見せる必要があるわ。―――それに、私達がいること気付かれているわよ。」


 八咲さんが不思議そうにしていたけど、誠意は大事よね、うん。早く行きましょ?どんなパーティーなんだろう。お話出来るかなぁ。気持ちは先走っているけど、彼女達の後を大人しく付いて行くことにする。胸に手を当てると高鳴りを感じる。その一方で、―――うぅ、緊張してきたかも…。






……………

………


 「―――どうやら、私達の出番はなさそうですね。」

饒舌な?朝日ちゃんの回。まるで作者に乗っ取られたようだ。


そして、忍法・第三者視点だから詳しいことは有耶無耶ドロンの術が発動しました。元々、悠翔視点で書くつもりでしたが、これでよかったかもと今は思う。色々勉強になった1話になりました。

それと最後の一言をやりたかったというのもあって、出来て満足です。


ちなみに朝日の口調が荒いのはスピード感と緊張感を出すためです。本当にいい子だから勘違いしないで!

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