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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第15話 ダンジョンは出会いの場①

 ゴツゴツとした岩が転がる山の中腹。眼下には森が繁茂し、僕達がいる山を囲い地平線まで続いている。山頂に目を向ければ、地表から白い煙がもくもくと空に溶け込むように立ち上っている。ここは火山エリアにある山の一つ。汗ばむような暑さの気候と戦闘後の熱を冷ますように涼しい冷気が漂って来る。何故なら、僕の目の前には巨大な氷の塊があるからだ。


 「5体目のサラマンダー、討伐完了だね。皆、お疲れ様。」


 その氷は透き通っていて、中にサラマンダーが閉じ込められているのが分かる。これはジュアンの魔法<氷棺(アイスコフィン)>によるものだ。生命の熱を奪い取り、そのまま棺桶にしてしまう凶悪な魔法。サラマンダーは死んだことにも気付いていないのではないだろうか。凶悪だが、ある意味幸せなのかもしれない。まあ、僕達が前準備として弱らせていたから抵抗出来なかっただけなんだけどね。


 「今回の目標も達成したことだし、解体したら帰還しよう。ヤスとジュアンは周辺警戒。モモは先に休憩してて。華夜ちゃんと綾女ちゃんは解体の手伝いをお願い。」


 メンバーに振り向いて指示を出す。役割の上で仕様がないとは言え、女の子に解体の手伝いをさせないといけないなんて、全く何て奴らだ。おや?モモがジュアンに近付いて何か言っているぞ。華夜ちゃんの<沈黙>が効いてるから口をぱくぱくさせているだけで、何言ってるか分からないんだけどね。いや、言いたいことは分かるよ。モモは所々凍り付いていた。サラマンダーに近過ぎた為に<氷棺>の強烈な冷気を浴びてしまったのだ。ジュアンは少し鬱陶しいとばかりに溜息を吐き、指を鳴らす。すると巨大な氷は音を立て砕け散り、跡形もなく消え去る。モモに付いていた氷もジュアンの魔法の効果範囲だったようで、綺麗さっぱり消えていた。まあ、モモもちょっと文句が言いたかっただけで、本気で怒っている訳じゃないから放置だ。ていうか、帰路も安全とは限らないしモモの負担が一番大きいんだから、さっさと休憩しててくれ!


 解体作業をしながら一度周りを見渡す。ダンジョンの一室、または一層には有り得ない程の広さだ。明らかに塔の外観の大きさを逸脱している。今いる火山エリアにしてもそうだ。端まで行ったことはないけど噂では見えない壁があり、囲まれているらしい。詳しいことは学者や研究者の分野なので、彼らに任せればいいのだけど、成果は芳しくないとのこと。つまり、ダンジョンは謎ってことだね。


 「どうしたの?」

 「何でもないよ、華夜ちゃん。」


 おっと、物思いに沈みかけて手が疎かになるところだった。さっさと解体を終わらせよう。流石に5体目となると手際良く作業が進み、サクッと完了させることが出来た。バラした部位を袋ごとに入れ、空間魔法の<収納(ストレージ)>に他4体と同じように吸い込ませた。残骸を処理したら、休憩ポイントまで移動開始だ。


 『やっぱ、悠翔の<収納>は便利だよな。』

 「それは使い物になるレベルになったから言えることだよ。今でやっと四畳半の部屋位の容量だし、僕の場合、装備の種類と予備を用意しておかないといけないからね。」


 先頭を歩くモモがなんとなしに言ってくる。モモは喋れないんじゃないかって?実は探索者必須アイテムのリングにはパーティーメンバーを登録すると100m範囲で念話が出来るのだ。ただ、念話をする際リングに意識を一度向ける必要がある。普段ならともかく、興奮状態のモモにはそんな真似出来ないってこと。とまあ、そういう訳で意思疎通は問題なく出来ている。


 ついでに僕のスペックについて聞いてくれるかい?えっ、興味ない?そんなこと言わないで聞いてよ。まあ、一言で言えば器用貧乏に尽きるんだけどね。実力があればオールラウンダーって言えたのに…。そっちの方がまだマシだったのにっ!もし器用貧乏というスキルがあったとしても大成することはないと言いたい。それでも成り上がれるような人は言葉の意味を勘違いしてるんだろうね。…ごめんごめん。怒りが抑えられなかったよ。


 僕は武器を選ばず、距離も関係ない。物理攻撃や魔法は苦手な物がなく全て並。平々凡々。このパーティーでのポジションとしては前衛寄りの中衛。時々、遊撃にも出る。状況に合った武器を使う為、何種類か用意してないといけないんだけど、<収納>が使えてマジで良かった!あっ、運搬人(ポーター)としての役割も任せてよ。


 ちなみに武器は学園からレンタルしている。学園のサポート最高ー!僕自身としては性能がいい武器やデザインの格好いい物を使いたい気持ちもある。でも、それは無理だった。一度試したことがあるんだけど、何故か出力が制限されてしまい、数打ち品と大差なかったんだよね…。いい武器を使っているのに大したことない奴だと思われるのは恥ずかしいし、メンテナンスのことを考えるとレンタル品を使い潰す方が安上がりだと気付いた。全く、困ったものだよ。幾多の武器を使え、数多の剣を用意したところで、究極の一を持つ相手には対抗出来ない。って、正義の味方に憧れた少年も言ってたしね。


 「ん?…大きな魔物が空を飛んでこっちに来てるでやんす。」

 「標的は僕達?」

 「まだ見つかってないはずだから、ちょっと待つでやんす。………どうやら人を追い掛けているみたいでやんすね。」

 「ふむ…。近付いて来てるのが厄介だね。基本的には様子見に徹しよう。でも、戦闘も視野に入れて開けた場所まで移動しておこうか。」

 『どんな奴が来ても、俺がぶっ飛ばしてやるぜっ!!』


 魔物の気配を感知したヤスが声を掛けて来た。ヤスが指す方向を見れば、木々の隙間から覗く大空にグラインドにした胡椒粒が浮いていた。流石だね。まだ距離はあるけど、油断は出来ないから早めに行動しよう。あと、モモ煩い。


 うーん、それにしても何だろう…。この嫌な感じ…。僕は不安が払拭されないまま歩みを進めた。

10月の更新が出来なかった…。

言訳:1か月って、短すぎると思うんです。

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