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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第10話 違和

 峰勇人は主人公である。そのはずなんだけど、これはどういうことだろう?夏期休暇まではヒロイン達の好感度を稼ぐ時期だけど、進展しているように見えないんだよなぁ。寧ろ、距離を置かれている。まあ、理由は明らかなんだけどね。最近のヒーローは増長していると言われている。元々の性格は誠実で分け隔てなく接してくれるし、実力を驕るようなことはしなかった。当然ながらそういう人間は男女問わず人気がある。しかもイケメンだしね。


 ヒロイン達は純粋に友人として付き合っていたが、イベントなどで次第に彼の男としての一面に触れ、どうしようもなく意識してしまい、好きになって行くという流れになるはずだ。しかし、彼は変わってしまった。多少の増長なら許されていただろう。だが、度が過ぎた。脅し紛いのことはするし、特に女の子に対しては軽薄だ。気安く肩や腰を抱こうとしてくる。噂では女の子を取っ替え引っ替えしているとか。


 これでは、まるで別人ではないか。何があったんだろう?僕は今まで頭の片隅にあった引っ掛かりを思い出していた。―――それは2学年に進級した最初の休日明けのことだった。いつものようにヒーローやヒロインを観察していたが、その日のヒーローは挙動が可笑しかった。本人は気付かれないよう自然に振る舞っているようだけど、1年間観察し続けて来た僕には違和感を覚えた。…男の変化に敏感とか気持ち悪いなぁ。嫌な現実を思い知らされてしまったよ。それは兎も角、ヒーローは目をキョロキョロとさせ、声を掛けられても一瞬反応が遅れていたのだ。記憶と現実を照合し、確認しているような。顔を見てその人物の情報を引き出す作業をしているような。そんな風に見えたのだ。具体的過ぎる?そんなこと言われても、そう感じたのだから仕方ないじゃん。ヒロイン達に嫌らしい目を向けていたのは衝撃だったなぁ。それも僅かな間だったので見間違いの気のせいかもしれないけど…。


 「2人はどう思う?」

 「う~ん、干渉しないようにしているけど、よくない現状だよね。」

 「…気持ち悪いから無理。」


 女の子目線でどうなのか華夜ちゃんと綾女ちゃんに聞いてみたけど、2人の感想は間接的な物に聞こえる。やっぱり、僕には分からない何かがあるのだろう。残念ながら具体的にどういう意味かは教えてくれなかった。まあ、ヒーローのことで悩んでいても仕方ないし、取り敢えず事件さえ起こさなければいいでしょ。あれ?なんかフラグっぽいんですけど⁉


♢♢♢


 「勇人!それは人前で使わない約束だろ!」

 「分かってるって。いちいち大袈裟だな。心配するなよ。」


 訓練場でヒーローが右手を虹色に光らせていた。えっ⁉なんで勇者スキルを堂々と使っているんだ⁉それは親友ポジションの彼も思ったのだろう。勇者スキルのことを知る唯一の人物。ヒーローを隅に連れて行き、ひそひそと注意をしていた。


 「練習だよ、練習。光魔法のな。」

 「だとしても、勘違いされるようなマネはよせ!」

 「前から思っていたが、お前何か隠しているだろ?」

 「それは…。」

 「まっ、いいけどよ。頼りにしてるぜ親友。」


 痛いところを突かれて黙り込んでしまった。訓練場が静寂に包まれるかと思いきや、一部が騒がしくなる。1人の女子がヒーローのところに向かおうとしているのを周りに止められているようだ。ていうか、天園さんだった。


 「ダメだよ。天園さん。」

 「でも、どうしても聞かなきゃいけないことがあるの。」


 決意の固い彼女を最早止めることは出来なかった。


 「ねえ、峰君。さっきの何?」

 「ああ、朝日か。今後のこともあるし、特別に教えてやるよ。あれは勇者スキルさ。今は体の一部か武器にしか纏わせることが出来ないけどな。」


 他の奴には言うなよ、と爽やかにジェスチャーも添える。でも、ヒーローよ。天園さんは気安く名前を呼び捨てにされて顔が引き攣っているぞ。


 「へぇー、なんか凄そうだね。あっ、さっきの言い方だと全身虹色に光ったりしちゃうの?」

 「最終的にはそうなるな。俺が最強になる為に朝日にも協力してほしい。―――そういえば、最近パーティー組んでないじゃないか。」

 「あはは…。スケジュールが合わなかったからね。またの機会って感じかな。」


 核心に迫るかのように僅かに目付きが鋭くなる天園さん。それに気付かず、言いたいことを言うヒーローだが、天園さんを苦笑させ、やんわりと断られていた。その対応は正解だと思う。何故なら、協力は体でって意味が隠されているように感じたから。


 もう十分だとばかりに友人の元へ戻る彼女の背中を見ながら思う。天園さんは結局何が聞きたかったんだろう?

活動報告にメモ感覚で新作のあらすじを書いてみました。

興味ある人はそちらもご覧下さい。

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