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やっぱり僕はモブだった。  作者: 白蛇ちゆき
第1章 ヒロインだからって出番があると思うなよ
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第1話 プロローグ

いらっしゃいませ。当店へようこそ。

当店は素材本来の味を生かした品を提供することをモットーとしております。

味が濃かったり、バラバラ。既にお腹一杯という方でも当店のさっぱりとしていて、消化の良い食事などは如何でしょうか。

当然ながら、口に合わず、似た味を感じ、調理に時間を要してご不満に思うこともありましょう。

それに関しては申し訳なく思い、反省し、精進して参る所存です。

こちらがメニューとなります。ごゆるりと楽しい時間をお過ごし下さいませ。


~Menu(正しく読む為の手引き)~

…     間、沈黙

―――   溜め、セリフの最後に付いている場合はまだまだ続いている等、強制的に段落替えをする時

♢♢♢   場面の転化、視点変更

『』    間接的な会話・音、回想のセリフ

()    心の声

○○―――」

「―――○○  前のセリフを遮る、被せたセリフ

 あっ、どうも。僕の名前は美音悠翔(みね ゆうと)です。…正直、学園に入学してからは自己紹介はあまりしたくない。何故かって?同姓同名の峰勇人がいるんだけど、正に僕の上位互換って感じの奴なんだよね。まあ、2年生になる頃には気にしなくなった。ていうか、一度も名前のことで揶揄われたことはないんだけどね…。自意識過剰でちょっと恥ずかしかったけど、そんなに僕って影薄いかなぁ?確かに普通を絵に描いたような容姿に成績も平均のモブである自覚はある。


 そんなモブな僕は今、窓際の自分の席でぐったりと机に全幅の信頼を寄せ、広い教室をなんとなしに観察している。登校して来た生徒達は早くもグループで固まり、談笑している。特に目を引くのはクラスカーストトップのグループだろう。さらに言えば、その中の1人の少女に注目が集まっている。理由としては2年生になってからの転校生というのと彼女がかなりの美少女だということ。転校初日にしてクラスに受け入れられ、瞬く間にカーストトップの仲間入りを果たした。いつもなら別段気にすることじゃないんだけど、僕は彼女とがっつり面識がある。あるはずなんだけど、今日この日に至るまで一度も会話したことがないどころか、目が合ったことすらない気がする…。


 「何見てるでやんすか?」

 「クラスに渦巻く、人間模様ってやつをね。」

 「ほう!じゃあ、今日の恋愛予報を聞きたいでやんす!」

 「ヤスには永遠に何も起きないでしょう。」

 「嫌でやんすぅーーー!」


 絶叫を上げて煩い奴だ。下っ端口調の変な奴だけど、ヤスは僕の友達だ。それから他の友達と朝のチャイムが鳴るまで会話を楽しんだのだった。


 国立第一勇者育成高等学園。僕が通う学園だ。そして、僕は入学した日に見た夢で、この世界の秘密を知ってしまった。なんと!この世界はエロゲ『魔神♡くえすと』の舞台だったのだ。それを知った僕は驚愕し、そして絶望した。え?何これ?僕、全く出て来なかったんだけど…。どうやら神様は見せる相手を間違えたらしい。だってこれは同姓同名の彼が主人公の物語なのだから。まあ、現実ってこんなものだよね。モブの僕には関係ないし、気持ちを切り替えよう。ヒロイン達の赤裸々なことを知ってしまったので、暫くの間はヒロインを見掛けるとムラムラしてしまったことは内緒だ。


 実際、この1年近くの間何も起きなかった。まあ、それも過去の話。どうやらあの時に楔を打ち込まれていたらしい。ある事件に僕は自分から首を突っ込むことになってしまった。それが、転校生との出会いだ。そして、ゲームの始まりは彼女が転校して来たところから始まる。つまり、ゲームは既に開始されているってこと。僕がついつい彼・彼女らを見てしまうのはシナリオの進行具合を確認したいからだ。だって、絶対厄介事に巻き込まれるって確信してるもん。逃れられない運命ってやつ?格好良く言ってみたけど、現実を知った僕にとって迷惑以外の何ものでもない。あの時は多少なりとも下心はありましたよ?彼女と仲良くなって、あわよくばなんて…。はあ~。過ぎたことをいつまでも引きずってる訳にはいかないね。


 これは物語を進める役目を担い、主人公とヒロイン達がイチャイチャするのを指をくわえて見ているだけのお話。…なんてね。ふざけんなっ!死ねっ!!うぅ、これからのことを考えると胃が痛くなる。結局のところ、僕はモブに過ぎないのだから。

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