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さつまいもこってうまいですうまひうまひ

文字に起こすと世界になる。その世界には本があるからそれも世界になる。その世界にも本があるようにといった具合で無限に退行していくと、いつか君のいる場所へ辿り着く。それは世界であり、君であり、僕であるから誰も見えない。とすればここにいるのは君であり、僕であり、あなたである。それは誰にもわからないから僕にだけわかればいい。でもそうすると君に会えるところはなくなる。だから今日は今日であり、明日には今日がいる。昨日にも今日がいて、一年前の昨日にも今日がいる。全ては同じところにいる。であればなぜ君に会えるのか、答えはない。君の笑顔が眩しい。見えない。見えない。見えない。照り返す太陽は見えるけど、見えない。あなたには何もわからないから君がいるところにはたどり着けない。言葉には表せない。友が隣いて、君がその前で手を広げて空を仰いでいる。こんな光景は死んだら見えないだから僕はここにいる。君に会うためにここにいる。それが僕の生きる理由だ。僕は僕で、君たちには存在するだけの理由がある。自由は自由としては存在しない。生きている限り手に入らないものだ。それは僕らの隣にいていつもささやく、それだけのものだから僕は君を一人にはしない。僕らの周りを包んでる薄い皮が君と僕と世界とあなたを隔てる唯一の壁だから、そんなものはないのと同じだから。僕は電車に乗るでもなく、自転車に乗るでもなく、車に乗り込む。spotifyで君のお気に入りのプレイリストをかけて車を走らせる。どこへ行くかは決まってる。決まってるけどいつまでもたどり着かないから、きっとこの旅は終わらない。君に会えないわけじゃない。君は僕にいる。世界と同じだから、だからこの涙はただ流れ落ちるだけ、それは心地の良い涙だから、泣き笑いなんだ。窓を開けると君の声がする。細波と風の擦れる音遥か空には顔を出しはじめた月と微かな星々が光る。あそこには君はいない。僕はここにある。車を走らせハンドルを握っている。隣には花がある。永遠を意味する花だ。そこには水が滴る。その水は君を形作る。ふたつをみる。みるとそこに君がいて、僕がいる。万華鏡のようなこの世界であなたが最初の認知者で文字の羅列の守護者だ。その庇護を受けた君はさぞ美しく儚い夢のような幻想だろう。君には理解できないから僕だけがわかればいい。わからないことはABCと並べるのではなく一つにまとめて三つに裂くとちょうどいい。彼は言うとそこを飛び降りる。そうしないと僕と君とあなたのいる世界には辿り着けない。本は世界で世界には本があるから君のいるところとは別の場所に君がいる。それは誰にも知られてはいないことだけどその記録は過去と未来を超えて存在することになる。君に会う時僕はどんな顔をするのだろう。いつになったら君に会うのだろう。あと十万年したら君に会おうか。いや、さつまいもこ買いに行かなきゃ。じゃあね。

名前も知らない誰かの人の名前より


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