プロローグ
お楽しみいただけたらうれしいです。
ダンジョンに冒険するまで少し長いです・・・。
誰かが願った。
金、権力、地位。
この世は多くのしがらみに囚われている。
もし叶うなら───そんなもののない世界に。
もし叶うなら───実力で全てが決まる世界に。
もし叶うなら───自分で確かな何かを掴める世界に。
□□□□□□□
───それは突然のことだった。
テレビの中では新人芸人が満面の笑みと共に登場している。
その騒がしい一発芸に妹がつまんないと辛辣な一言を放ち、テーブルの上のポテトチップスの袋に手を突っ込んだ。
余りにも芸人が可哀想だったため、妹に一言言おうと思い口を僅かに開けた瞬間。
「──っ!!」
「お兄ちゃん・・・?」
殴られたような衝撃を頭に感じると共にゴーン、ゴーンと教会の鐘のような音が鳴り響く。
妹の訝しんだ声が聞こえるがそれどころではない。
すぐに妹も何か異変を感じたようで小さく呻いて頭を抱えてソファーに蹲った。
徐々に大きくなる鐘の音に耳を塞ぐが全く変わらない。
一体何なんだ。
急に核戦争でも始まったのだろうか。
いや、そうだとしてもこの鐘の音は説明がつかない。
大きすぎる音は頭痛へと変わり、意識が遠のいていく。
俺、死ぬのかな。
そんな事が脳裏を過ぎり、俺の視界は暗転した。