悩み
ちょっと修正。
次の日……気まずい思いをしながらも、自分がどうしたらいいかを明確にした。
イルに悩みがあるならば、それの手助けをしようという結論にいたった。
だが、ここでも問題がある。素直に聞くのが手っ取り早いが、事が起きたのが昨日ということをあって聞きづらいのだ。
とりあえずは今日、イルの様子を見ながらタイミングを見計らって、丁度いいときに事情聞こうと心に決めた。
午前の授業が終わり、お昼休憩となった。イルはいつもならお弁当を教室で食べているのだが、今日はすぐに何処かに行ってしまった。
俺はその後をこっそりとつけていった。
階段を登っていき、着いた先は屋上。
扉を開けようか迷っていたところ、何かはわからないが独り言が聞こえてきた。
よく耳を立ててみると、それはイルの嗚咽だった。
「うぅぅ……」
俺はただ……ずっと、待っているだけでいいのか? …………そんなのでは駄目だ。結局は全て……自分が逃げる為の言い訳だ。
俺は勇気を振り絞り、最初の一歩踏み出した。
「イル!」
急に開いた扉にびっくりした表情のイルが俺だと認識してから、顔を背けた。
俺はそんなイルに近づき、無理やりこちらを見させた。
イルは涙目になっているがそんなことは関係ない。今、伝いたいことを伝えるだけだ。
「イル、昨日は……その、ごめんな。俺が無理強いさせたせいでギルドに行っちゃったし……本当にごめん」
俺が素直に伝えると、イルは余計に泣きはじめてしまった。
「ううん。アストくんのせいじゃ……ない。ごめんね……ごめんね…………」
泣いているイルをどうしようか迷っていたところ、昔セルティナにやった方法がパッと思い浮かんできたのでそれを実行した。
背中に腕を回し、俺はイルを抱き締めた。最初こそ離そうとしてきたのだが、俺は男だしトレーニングもしている。
ここで嫌われることになっても、イルを助けたい思いのほうが強かった。
次第に受け入れてくれて落ち着いてきたのか、泣き止んできた。
――そして、ここからが正念場だ。
「イル、悩み事があるなら独りで抱え込まないでほしい。俺達を頼ってほしい。イルが悲しんでいると、俺達も悲しいからさ……」
ここは曖昧にして言葉を濁すよりも、素直に話すことにした。
その勇気をくれたのは……紛れもないイルだ。
「……なんで役立たずの私を庇うの? どうしてなの?」
「理由か……友達だからじゃ駄目か?」
「……アストくんはこんな私でも受け入れてくれるの?」
「もちろんだ。それに俺だけじゃない。セルティナもガイもメイアもみんなお前の仲間だ。そのなかに……イル、お前も含まれてるに決まってる」
「……そっか。私の思い違いだったんだ……」
何やら一段落つき、空を見上げ始めたイル。
イルから何か言ってくれるのを俺はずっと待っていた。
数分が過ぎ、授業開始5分前のチャイムが鳴り響いた。
「もうすぐ授業、始まっちゃうよ? いいの?」
「あぁ。イルを放っておけないからな」
「あはは。アストくんってお人好しなんだね……」
二人とも黙っていると今度は授業開始のチャイムがなり、観念したのかイルが話始めた。
「私ね、才能がないの。戦闘に限った話じゃなくて」
そして、ゆっくりとイルの過去が明かされていく……。
「私には少し歳の離れた兄さんと姉さんがいるの。兄さんは戦闘能力が高くてギルドランクAで、姉さんは頭脳明晰で潜在的魔力も高い科学者なの。そんななかで私が産まれることになったから、周りから勝手に期待されてね…………後は言わなくても分かるかな?」
「あぁ……大丈夫だ」
兄と姉が優秀な分、そのプレッシャーは普通の人の心じゃ簡単に折れてしまうくらい強烈なものだろう。
「……どうすればいいかな?」
悲しみ、苦しみなど様々な感情が伝わってくるその一言。
それに答えるのが今やるべきことだ。
「勉学はたくさん努力するしかないだろうな。魔法はセルティナに教えてもらうとして……今すぐできるのは基礎体力を上げることだ。俺の特訓は厳しいぞ? ついてこれるか?」
そうして俺は手を差し伸べる。
「うん、頑張る。みんなと一緒にもっともっとたくさんの思い出を作りたいから。こんな私でもよろしくね」
差し伸べた手をイルが握り返した。顔つきは先ほどとはうって代わり晴れ晴れとしていた。
教室に戻る途中の階段にはセルティナ達が待っており、イルは涙目になったままみんなに「ごめんね」と言いそのまま五人の時間を過ごしたのだった。
宿題とかでモチベーションが下がってました(言い訳)。
一通り終わったので、ストック作って明日から頑張ります。




