絆の証
ちょっと短めです。
「んっ…………」
とても、暖かい…………優しさを感じる温もりに包まれていると、俺の意識は徐々に覚醒していく。
瞼を開けると、白い光が差し掛かる。そして、隣には俺の手を握りながら眠りこけているミィナがいた。
「ミィナさん……無事で良かった」
安堵しながら眠っている頭をなんとか回転させ、俺は記憶を遡る。
確か、人型の魔物を倒して…………いつ、誰が? そんなことを思いだそうとしながらベッドから出ようとすると、
「痛ッ!」
動かそうとするたび痛いが、耐え続けながら、ミィナをベッドに寝かせて一旦、部屋を出た。
しっかりと頭が働くようになると、ここが俺の家だと分かった。痛みは続くので、階段の手すりを使いながら、一歩ずつ下に降りていく。
「アストちゃん、起きたのね? 体は大丈夫?」
リビングから母さんの声が聞こえた。足音を聞いただけで、母さんは気づいたようだ。
「ん~、ちょっと痛いけど大丈夫だと思うよ。そんなことより、リュンガーさんは?」
「リュンガーならさっき帰ったわよ。次の仕事があるらしいわ」
少し微笑みながら話す母さんに、俺は疑問をもった。
「セルティナは…………どうなったの?」
もしかして、間に合わなかった……とか? 母さん達のことだ。そんなことはない……筈だと思う。
少し不安になるも、表には出さずに母さんの返事をまった。
――――返ってきたのは無言の微笑み。
当たり前のことだが、待ち時間はどんどんと増え、俺の不安もそれに比例してどんどん膨れ上がっていく。
「もう、来るわよ」
その言葉とほぼ同時。俺の家に向かっている足音が、外から微かに聞こえてくる。
それは、誰かが急いでいるだけの……何の変哲もない日常かも知れないのに…………嬉しさが沸き上がってくる。
痛みがどうとか言う前に、俺はドアに向かった。体は悲鳴をあげていて走れはしなかったが……。
足音は先ほどよりも大きく……近くに感じられる。
――そして、
「おかえり」
「ただいま…………アスト」
そこには、元気な姿のセルティナがいたのだった…………。
俺はセルティナと再会し、まずは俺から抱き締めた。
「無事でよかった」
「うん。ありがとうねアスト。助けてくれて……嬉しかった」
「そうか……心配したんだからな。本当に…………」
二人ともあまり深くは語らずに、少しの間無言で抱き締めあった。
そうして、今度はセルティナが話しかけてきた。
「アストの体……なんだか逞しくなった気がするな。こうしていると……すごく安心できる…………」
不意に言われた一言がむず痒く、俺は話題を変えた。
「リュンガーさんには感謝してもしきれないな……」
「そうだね……アストが頑張っていたことも、全部教えてくれたしね」
「そうなのか……まぁ、いいや。そろそろ家に入ろうぜ、セルティナ」
「うん。でも、最後に……アスト、本当にありがとう!」
そういって俺に近づき、
――チュッ
「!?」
柔らかな唇の感触……俺は驚きはしたが抵抗することはなく、自然と受け入れていた。
その時間はほんのわずかだった筈だが、とても長く感じられた。
「これは二人の…………絆の証だよ?」
突然の終わり……と、同時に、そんなことを言いながら頬を染めるセルティナに呆けているのだった。
今回も見てくれてありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします!




