悪魔
「悪魔ね……面倒だなぁ」
ミィナは気だるそうにしつつも、戦闘できるように構えていた。母さんやリュンガーも同様だ。
悪魔は魔族の中では戦闘能力はあまりない(普通の冒険者よりは何倍も強い)。それでも油断はできない相手だ。
「みんな、気を付けて」
リュンガーがそう言ったタイミングで戦闘が開始した。
ミィナが悪魔の後ろにで移動した。その身のこなしは普通の冒険者と言っていいレベルではなく、一つ一つが洗練されている。
「ハアッ! セイッ!」
ミィナは単発の火力もそうだが、手数の多さが特徴だと思う。鋭く急所を狙った斬撃が次々と繰り出されており、悪魔と五分以上に戦えていた。。
悪魔が一歩引いたことにより攻守交代したのだが、
「悪魔、こっちよ!」
ミィナが捌いていると悪魔の後ろから母さんが斬りかかる。
「ナイス、マリア! こいつ思いの外硬くてねぇ」
「この感覚……昔のことを思い出すわね」
ミィナ程ではないが、母さんも中々の剣裁きなのだ……魔法の方が得意なのに。
俺はと言うと母さんに無茶しちゃ駄目! と、とても心配されていて私達がピンチな時以外は自分から仕掛けるのは禁止と言われた。
――――俺も戦えるんだけどなぁ……。
状況から言うと母さんも加わったことにより、悪魔の隙を咎められるようになってきていた。ミィナは戦っている途中に笑いだしたりとかなり怖かった……。
悪魔はそれでもしぶとく抵抗を続け、ミィナが放った一撃を敢えてくらい、母さんの腹に一撃くらわせた。
「大丈夫!? マリア!」
「くぅう……」
痛み唸り声をあげていた母さんを、とても心配そうな目で見ているミィナ。焦りが見える。単純な筋力勝負では悪魔に分があった。
だけど、ミィナが放った一撃によって悪魔の左腕は飛ばされており、状況は五分五分だと思ったのだが、ミィナが固まってしまっていた。
「あ、あぁぁ」
――――俺の体は自然と動いていた。
悪魔もミィナに接近する。その間にリュンガーは魔法の準備をしていた。
「我が魔力、聖なるとなって、マリアを回復させよ、癒しの風」
リュンガーに言われて正気に返ったミィナ。悪魔の右腕がミィナに襲い掛かる。咄嗟に剣で防ぐも力が入っていなく、あっさりと倒れた。
悪魔がなにやら手に力を込めていた。よし、これなら間に合う! と思った矢先、悪魔がこちらに拳を振ってきた。突っ込んでいった俺にはミィナがいた為回避行動がとれなく、全力の一撃で迎え撃った。
――――ドゴォォンッ。
大きな爆発音で悪魔と相討ち…………とはいかなかった。余波で俺は吹き飛び剣がオーラを纏っていたのに折られた。
悪魔は標的をミィナに戻し拳を振るおうとした。魔法はミィナが近くにいるから行使できない。せめて剣が……剣があれば…………ある、あるじゃないか…………ミィナの落とした剣が!
――――でも、拾っていたら間に合わない。だけど、そんなことで諦めるわけにはいかない! なんとかして間に合わせろ!
俺はオーラ全力、無詠唱の身体強力を付与して落ちてる剣を拾った。悪魔は既に拳を振りかざしている最中。あと数歩なのにとても遠く……時間の流れがゆっくりに感じる。
――当たる。心の中で最悪の未来が見えた。
止まれ。止まれ。止まれえぇぇッ!
すると、あの時と同様に俺の中に何かが話しかけてきた。
「二を解除しました」
そして、
「今回は特別です。剣聖アスト」
あの謎の声が聞こえた。すると、オーラが急に動きだし、悪魔の体を抑えた。悪魔の拳は空中で止まったまま動きがない。
「神剣三ノ型・水光!」
硬い物だろうが斬ってしまう、斬ることに特化した神剣三ノ型・水光で悪魔の首を切り落とし殺した。
悪魔を殺したことよりも、今はミィナが心配だ。
「ミィナさん、大丈夫ですか!?」
「ちょっと……辛い…………」
無理はしていないようで、目立った外傷はない。だけどそわそわしていたので、
「良かった。母さんの所にはリュンガーさんがいるので、とりあえずは大丈夫だと思いますよ」
そう言うと、ミィナは落ち着きを取り戻した。
だが、後から自分の失態を思いだしたのかだんだんと顔面蒼白になってきており、それが少し面白かった俺は笑いだしそうになった。
案の定、気付かれて顔をリスみたいに膨らましたミィナ。童顔であるが故にその幼い行動が可愛くて可愛くて…………遂に笑ってしまった。
そのことでより怒ってしまった、ミィナは母さんの方へ走って行った。俺はゆっくりと歩いている最中、少し行動が変わったミィナについて考えていたが。
「母さん、無茶しすぎだよ?」
ちょっと棘のある言い方を母さんにした。ミィナに言ってる訳じゃないのに何故か怒っていたけど。
「母さんが俺を心配する気持ちはわかるけど、俺も母さんが心配。だから、無茶しないで!」
恥ずかしかったが言い切った。死なせたくないから…………もう、誰も。
「ミィナ、マリア、アストくん言うとおりだよ? 戦いはどうなるかわからないからね」
「なんで、私まで!?」
ミィナまで注意されたことに俺達は笑ってしまった。
その事でまた怒られると思ったのだが、ミィナは少し下を向いて顔を赤くしたままだ。
「ミィナさん、顔赤いですよ」
いつもの仕返しに笑いながら指摘すると、
「私、アストくんよりも年上だからね? 絶対忘れてたでしょ? バカにしないでぇ!」
全く違う反応に驚きを隠せなく逆にこっちが恥ずかしくなってくる。後、年上ってこと忘れてました。だって、童顔だし…………
「そろそろ次の階層に行くぞ」
リュンガーの一言で気持ちを切り替えて第六階層へと進もうとしたときにミィナから、
「守ってくれて、ありがとうね……」
不覚にもドキリとしてしまった。
その後のミィナは何事もなかったかのようにいつも通り冷静なまま魔物と戦闘してのを見て、俺だけとても気まずいまま進んでいったのだった。
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