禁断の技
勉強の合間に書く小説が娯楽になってます。
「やめろ、くるなぁ……」
怖じ気づいた生徒に、ゆっくりと黒い翼の者が近づいていく。
早く助けないと!
俺は素早く魔力を込め、炎球を放った……だが、まったく効いていなかった。
けれど、陽動にはなったようでこちらに気がそれた。
「次に殺されたいのは……お前かぁ?」
一瞬にして殺気がこちらに向けられる。その殺気は、生半可な精神では気が狂ってしまうほどに強烈だ。
俺が応答しようとする前に、忽然と奴の姿は消えた。
――――どこだ……。
最大限注意を払っていると、死角から殺気を感じた。そこに向かって剣を振りかざしたが、当たりはせず空を斬る。
「遅いなぁ」
既に奴は、俺の背後にまわられていた。
俺はすぐに後ろにオーラを全力で注いだ。
――ドゴォンッ!
奴の攻撃力は凄まじく、反対側の壁に衝突して、少し吐血をした。背後から攻撃をくらった筈なのに、俺の手足にまで響き、軽く痙攣している。
しかし、奴は俺を追撃するのではなく、女性の先生と生徒達が集まる集団に向かって、魔法を放つ準備をした。
奴はただ、魔力を溜めて魔法を展開しようとしている。それだけ見ると隙だらけにも見えるが、全方位に殺気を放つことを忘れておらず、先ほどよりも更に密度が高まっていて、とても禍禍しい。
一方で、先生達の方は防御魔法を展開していた。
その防御魔法はかなり質の高いものだが、それでも、奴に対抗出来るとは到底思えない。
そして、その集団には倒れていたが、あいつがいた。
「セルティナ!?」
このままでは、殺される……!
俺は思考を巡らせる。
どうすれば奴を倒せる? いいや、無理だ。倒すことは……今の俺には……出来ない…………。
なら、どうすればみんなを……セルティナを守れる?
奴の気を……もう一度こちらに向けさせるか……ない。
大丈夫だ、俺! 自分を信じろ!
だって、俺は決めただろ?
これから先、セルティナや家族のみんなと一緒に過ごす為にも……ここで死ぬ訳にはいかないッ!
「禁忌・神剣零ノ型・神魔覇王斬」
――ズシャンッ!
確実に……斬った…………。
砂埃が収まり、奴の姿が見える。頭部から一刀両断されていた。
「殺った……のか?」
とりあえず、最悪の未来だけは免れたようだ。
「急いで……セルティナの……所に……向かわないと……ガハッ…………」
神魔覇王斬は捨て身の攻撃だ。
普通の人間なら、魔の出力に耐えきれず体が消滅してしまうからだ。
オーラで体全身を包み消滅は防いだが、反動がとてもえげつない。
至るところが出血して体は痛い……だから、使いたくなかった……。
でも、みんなの為だ……仕方ないだろう。
俺は足をゆっくりゆっくりと歩ませ、一歩ずつセルティナの方に向かっていく。
「セル……ティナ……セルティナ!」
「うぅぅ。ここは……私はセルガと戦って……負けてで、えっと……」
タイミングよくセルティナが目覚めてくれた。
「セルティナ! セルティナッ!」
「え、アスト? なんで……ここに? その傷は?」
俺は嬉しさと安堵で体から力が抜けて、その場で尻もちを付いてしまう。
俺を心配してか、セルティナはちょこちょこと走ってこちらに来た……可愛い……。
「再会のところ悪いのだけれど、アスト君~怪我を見してくれる?」
素直頷き、簡単に治癒魔法をかけてもらった。この先生は俺でも知っている。美人でどことは言わないがとても大きい、メイラ先生だ。
「メイラ先生、ありがとう……ございます」
「いいのよ~。それよりまずは、この事を学園長に伝えないとね」
「じゃあ、俺らも行くか。セルティナ」
「うん! 行こう。アス――グサッ…………」
「おい、セルティ……ナ。セルティナッ!」
振り向くとそこには、一刀両断したはずの奴が元に戻ってセルティナを刺していた。
「お前ッ! なんで、生きてる!」
奴は笑みを浮かべて、
「確かに、俺は斬られた。だが、再生した。それだけの事だろう?」
当たり前のように、そう語った。
「セルティナを……よくもォ!」
俺は奴に向かって、無我夢中で走り出した。
けれど、途中で走れなくなった。治癒魔法は痛みを無くすだけで、体の疲労には効果はない。
「おっと、今日の所は俺も逃げるぜぇ? 流石に再生は体への負担がデカイからなぁ。じゃあな」
奴は黒い翼を羽ばたかせ、天井に穴を開け空へと飛びたった。
今は奴の事よりセルティナだ。
「セルティナ! 今行く!」
見たところ幸いにも、腹の部分だけが出血していて脈はある。
メイラ先生が軽く治癒魔法をかけて、医務室に向かうため俺が背負って行く。
「頼むから、生きててくれよ……」
俺の体は悲鳴を上げていたが、それよりも、セルティナを救いたいという気持ちが勝った俺だった……。
今回も見てくれてありがとうございます!
今回出てきた禁忌の魔は、魔力ではなく魔物のほうです。
感想、レビュー、評価、ブックマークお願いします。評価とブックマークはモチベーションに繋がるので特にお願いします!
また、ブックマークをして頂ければ、次回も見やすくなると思います。
ということなので、次回も見にきてください!




