初登校
七夕に間に合ったぁ~。
あんまり出来は良くないです、ごめんなさい。
――次の日……。
俺達家族は新たな住居を探し始めた。セルティナは家族と離れ離れになってしまったらしく、未だに行方は掴めていない。
俺達の住んでいたアライン領は、魔物の手に堕ちた。
ここは隣街の、クリムスペン公爵の領地だ。
――だから今、俺達は住む場所がないのだ。
「なかなかいい場所がないわねぇ~」
そうおっとりとした口調で呟くのは母親だ。
実際に俺達以外にもアライン領に住んでい人、特に子連れなどの家族が多いので住める場所が限られてくる。
父親は騎士団長なので今日は会議に出ていていない。
幸いにも家賃はいくらでもいいと言っていたので、最悪家賃が高い場所でも大丈夫だろう。
「ここなんてどう?」
「うーん、とりあえず中見てみようか」
業者の人に連絡を入れた後、家の中に入った。
「解放的で広いねアスト」
「うん、姉さん」
リビングの広さは前の家の二倍以上はある。
暖房器具などもしっかりと完備されていたのにも関わらず、かなりの安さだ。
「ここにしましょうか。ミルク達もここでいいかしら?」
全員が頷き、俺達の新たな住居は決まったのだった。
◎◎◎
住居が決まってから数日、セルティナと俺はが学校に通うことになった。
クリムスペン公爵の領地では十歳から学校に通ってもいいらしく、十二歳からは強制とのことだ。
セルティナが十四歳なので通うことになったのだが、母親が「アストも行きなさい」と何回も連呼してくるので、渋々学校に通うことになった。
「じゃあ、セルティナ行くか」
「うん!」
元気よく返事をしたセルティナの笑顔は、とても可愛かった。
「1Aか……。セルティナは?」
「えっと、私は1Cだって」
「そっか、じゃあ一旦ここでお別れか」
「え……うん……。学校終わったら絶対一緒だよ?」
「分かってる」
その後セルティナに「私が入るまで手を振ってて」と強く念入りに言われたので振り続けた結果、周りから変な目で見られた俺であった。
「さて、入るか」
ドアを開けると数人中にいたが、まだあまり揃っていなさそうだ。
黒板をみると席は自由と書いてあったので、後ろ側の端に座った。
「ねぇ君、名前なんて言うの?」
後ろから頭を小突かれたので後ろを向くと、俺より小さな女の子が話しかけてきていた。
「俺はアストだ。そっちは?」
「私はイル。イル・バルファって言うんだ! 同じクラスだし仲良くしようね!」
イルは俺の他にもみんなに挨拶をしていた。
かなりの人数が揃ってくると、後ろからゴツい顔をした先生らしき人物が表れた。
「おい、お前ら! 席につけ」
かなり良かったが雰囲気を、その一言で全てぶち壊した。顔の圧もあると思うが…………。
教室内がピリピリした雰囲気に包まれる中、その男は続きを話始めた。
「俺は1A担任のベイルだ。俺からは主に魔術の授業が中心となる。よろしく頼む。後は……もう少ししたら入学式があり、入学式が終わったら今日はそのまま解散となる。質問のある奴はいるか?」
ベイル先生は睨んでいるわけではないと思うが、中には怯えている生徒もいる。
そんな中で質問が出るわけもなく、1Aの生徒はそのまま入学式の会場に向かった。
「お前アストって言うのか? 俺はガイって言うんだ。よろしくな!」
「ん? あぁ。こちらこそよろしく」
「そういえばさっきの先生、あんな見た目で魔法使いとか驚いたんだけど、お前はどう思った?」
「確かにあの見た目はなぁ~」
「だろ? それでさぁ~――――」
俺は入学式まで暇潰しとして、ガイって奴と話していたのだった。
◎◎◎
「ランキングか……」
入学式が終わり解散となったので、セルティナを迎えに行く途中学園長が話していたことを思い出していた。
学年ごとにランキング、そして全校生徒のランキングも出るらしく、ランキングが良ければ待遇なども良くなるとのことだ。
他には学校を卒業した後、学園に通えるようになるのだが、より良い学園の試験に受けることが出来るようになったりするので、ランキングは重要らしいのだ。
そんなことを考えながら歩いていたら、前にいた女の子とぶつかった。
「あ、ごめ……ん? セルティナか」
「そうだよ! アストってばすぐ目の前にいたのに気づいてくれないんだもん……」
セルティナは必殺、上目遣いを使ってきた。
アストは急所にあたった。
茶番はさておき、普通に上目遣いはズルいと思ったが、そこは黙っていた。
「「ただいま」」
「あら、アストちゃん、セルティナちゃんお帰り。学校はどうだった?」
「私は楽しかったです!」
「まぁまぁ楽しかった」
「あらそう、良かった。そういえば今、アストちゃんと話がしたいって人がアストちゃんの部屋で待ってるわよ」
「え?」
急いで自分の部屋まで駆けつけ扉を開けると、
「こんにちは」
そこには、挨拶だけしてきたピストがいたのだった…………。
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