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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第六三話 二人の目的

 部屋に走って戻って来たリーフを見て、部屋にいた全員が驚いた。

 リーフの後ろには、浮いた見知らぬ物体もいる!


 「今回も私が代表者です!」

 「嘘よ!」


 そこへリンラが駆け込むと、桃色の髪の女性も息を切らして戻って来た。

 ロイ達は、事態を飲み込めない。


 『お願い! 聞こえているよね!? あのリングを受け取って!』


 声が聞こえたロイとアージェは、驚いて守り神を見つめる。


 「ビダンダ殿。あの浮いている生き物はなんでしょうか?」


 ロイが質問をするもビダンダは顔面蒼白で突っ立っている。

 何か様子がおかしいとロイ達は思うも、今の事態がわからない。


 「リーファー。何があった」

 「あの……この国の守り神らしいんです。あのリングが、次の代表を決めるらしくて……」

 「で? 今はどういう状況なのです? なぜ、守り神があなたについてきたのです?」


 リーフが、ロイの問いに答えると、アージェが更に質問をする。

 今の話からすると、今回もリンラがリングを受け取り代表に決定した事になるが、守り神はリーフにリングを受け取れと言っている。


 「ミリューナ! 何がどうなっている?」


 ドルドンが、桃色の髪の女性に叫ぶ。


 「この女が邪魔を! 守り神が選んだのは、リーファーよ!」

 「なるほど。ドラゴン草を使ったか……」


 ドルドンの呟きに、リーフ達は驚く。

 ビダンダから話を聞いている風でもなさそうだ。


 「まさかあの二人!」


 アージェの言葉に、ロイとテッドも気が付いた。アージェ達を襲った二人組。一人は魔術師だった。


 「リーフ! こちらへ!」


 アージェが、剣を構えながら叫ぶ。


 「え? あ!」


 リーフがアージェの元へ駆けだそうとした途端、ミリューナに捕まった!


 「逃がさないわよ! さあ、従える方法を教えなさいよ!」

 「え?!」


 ミリューナの言葉に、リーフは困った。

 守り神がリーフにリングを渡そうとするのは、召喚師だとわかったからだ。


 「ドラゴン草を盗んだんでしょう!」

 「そんなの知らない!」

 「ミリューナを捕らえなさい!」


 つい口走ったドラゴン草という言葉で、ドラゴン草を育てていた者だと気が付いたリンラが叫ぶ。

 だが、今ここにいるのは、儀式に参加した女性とビダンダ。それとロイ達だけだった。

 ビダンダは、ボー然としているし、女性達では歯が立たないだろう。


 「っち。ミリューナ! リングを!」

 「え!?」


 自分が襲われるとわかったリンラは、ビダンダの元に走り寄ろうとする。

 リーフがハッとして、ミリューナを突き飛ばし二人に向かう。

 その途端、風の刃がリンラ達を襲うもリーフが張った結界で弾かれた!


 「やっぱりあの時の魔術師か!」

 「え? でも髪の長さが。それに、胸が……」

 「幻覚か何かの術だろう」

 「騙したのね!」


 二人は、アージェには気づいていた。一緒に来た魔術師は、襲った時の人物とは違うとも。

 儀式に参加させるとリンラに言われ、来たのがアージェだったのでドラゴン草の事が知られているのではと二人は焦っていた。


 「ドラゴン草ではなく、術で操ったか!」

 「さっきどんな儀式かわかったのに、何故そういう発想になるんだ! 僕は、何もしていない!」

 「君は、何者なんだ?」


 ビダンダは、自分達の前に立つリーフに言った。

 か弱そうな女の子に見えるのに、ドルドンの術を防いだ。しかも守り神に選ばれた。


 「……ただの魔術師です」

 「ふん。何がただのだ!」

 「そう思うのなら諦めろ! あなた達が次期代表にはもうなれないのはわかっているだろう?」


 ロイに諦めろと言われるもドルドンは、にやっとするだけだ。

 そして、驚く行動に出た!

 突然走り出し、守り神をガシッと捕まえたのだ!


 『何をする!』

 「ミリューナ、行くぞ!」

 「うん!」


 二人は、バルコニーから外へ出た!


 「追うぞ! テッドは、お二人をお守りしろ! アージェ、リーフ! 行くぞ!」

 「はい!」

 「え!? 僕が行くの?」

 「って、俺が居残り!?」


 二人の不満を無視しロイは走り出す。

 相手は魔獣を連れ出したのだ。万が一の事を考え、召喚師のリーフを連れて行く事は自然だ。

 ただビダンダ達の側にいるのがリーフなので、普通ならテッドの方を連れて行くだろう。


 「お願いしましたよ。リーフ行きますよ!」

 「わかったよ」

 「あ、はい!」


 仕方なくテッドは、ビダンダ達に向かう。

 リーフはリンラに振り向いた。


 「これ、お借りします」

 「え! あ……」


 リンラが持っていたリングを持ち、リーフも二人を追いかけた。


 「我が国は、終わりだ……」


 ビダンダが、ポツリと呟いた。


 陽が落ち、辺りは真っ暗だ!

 リーフが飛び立つと、遠くにふんわりと明かりが見える。ロイとアージェだ。全速力でそっちへ向かう。

 直ぐにリーフは、追いついた。


 「早いな。話には聞いていたが……うん?」


 追いついたリーフにロイが話しかけていると、前を行く二人が地面に降り立った。

 この国は、ほとんどが岩山だ。もっと言えば、岩の中央の窪みに街がある国だった。なので、馬車ならこの国を迂回して行くのがほとんどだ。


 ドルドン達が降り立った場所には、洞窟があった!

 二人は、その洞窟に守り神を連れて入って行く。

 リーフ達も追いかけ中に入った。


 中は守り神がいた洞窟と一緒で、足元の岩が光っている。

 そして、行き止まり。


 「ここって……」


 リーフは、先ほどの洞窟と似ていると思った。


 「そうよ。ここも昔、守り神が居たと言われる場所よ」

 「この守り神は、ただの石ころを魔石に変える事ができる!」


 ミリューナとドルドンの言葉に、三人は驚く。


 「なるほど。二つ目の謎が解けたな」


 この国エーグの財政源は、魔石だった。しかも魔力が抜けるまで光を帯びる石。エーグ国の特産品だ。

 この岩山にあるのだと盗みに入る者もいるが、発見されたという話を聞かず謎の魔石だったのだ!

 盗賊の見回りの為、ドルドンは国の警備を任されていた。


 「あなたの目的は、国を乗っ取る事ではなく、魔石ですか!」

 「ふん。当たり前だ! だいたい自分で代表の座を勝ち取る事が出来ない仕組みなんだ。これが手っ取り早いだろう!」


 アージェの質問にドルドンはそう返す。


 「なるほどな。だが、その者があなた達に従うとは限らないのではないか?」

 「従うだろう? あなたの部下が証明した!」

 「え? もしかして僕?」

 「しばらくれないで! ドラゴン草を見つけて気が付いたのでしょう! 証拠にリングを持って来ているじゃない!」


 ミリューナが、リーフが持つリングを指差して言った。


 『持って来てくれたんだ。お願い……魔力が……。僕と……』


 守り神が、かなりヨワヨワしくなっていた!

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