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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第六二話 エーグ国の秘密

 リーフは、続き部屋に連れて行かれた。


 「ちょっと待って! や……離して! 痛いって!」


 両腕を両脇にいる女性に掴まれ、リーフは身動きが取れない。

 リーフは、何をされるのだろうと恐怖する。


 (これ、あの人から何か命令されているよね?)


 「な、何する気?」

 「何って。お姉さんが着替えの手伝いをしてあげるだけよ」

 「え?!」


 リーフは、着替えを手伝うだけなのに何故押さえつけられているかわからなかった。

 あっという間に、ドレスを脱がされた。

 女性同士だが、何故か恥ずかしい。今だに押さえつけられているからかもしれない。


 「顔に似合わず、大きな胸ね」

 「え! ちょっと待って! それほどかなくてもいいよね?」


 胸に巻いた晒しを何故かほどいていく!


 (パットがとれる!!)


 「キャー!」

 「あら……」

 「女の子? でもパット……?」


 解放されたリーフは、屈み胸を隠す。


 「何故パットを……」

 「ロ……殿下の好みなんです」


 (ロイ王子のバカ~!)


 俯いて恥ずかしさに震えるリーフを女性達は温かい目で見守った。

 こんなパットさえしていなければ、ここまでされなかっただろう。

 しかもロイに気に入られるように、パットまで入れていると思われたのだ。


 男かもという疑いは晴れ、リーフは皆と同じ黒い衣装に着替え、ロイ達が待つ隣の部屋へ向かった。

 部屋から出て来たリーフを見て、アージェとテッドは安堵した顔をする。

 悲鳴が聞こえ向かおうとするも、ロイに止められたのだ。


 リーフが衣装を着て出て来たのを見たビダンダは、少し驚いた表情を見せる。それをチラッと見て、ロイは微かに口元を上げた。

 15歳で魔術師証を持っている者を手配するのは大変だ。しかも女性となればなおの事。

 女性の場合、親元から通って働く為に取得する事が多い。なので魔術師団に所属している者が少ないのだ。


 それをビダンダは知っていた。だからあえて、魔術師証を持っている者と条件をつけたのだ。

 15歳以下と嘘を伝えていたので、条件に当てはまるのが15歳の女性だけになる。

 魔術師証は、ロイ達が発行するのだ。偽造も出来る。

 魔術師証が必要な為、魔術を使える者ではないといけない。女性がいないのなら男性を用意するだろう。中性的な男の子。

 狙いはこちらだった!


 だからビダンダは、リーフが男の子だと思っていた。

 釣り合わない胸。もりすぎだ! とすら思っていたのだ。


 ロイは、相手が考えている事が手に取る様にわかった。

 ワザとパットを詰めているとわかるようにしたのだ。もちろんそれは、疑って確かめてもらう為。


 「リーファー。悲鳴が聞こえたようだが大丈夫か?」


 ワザとらしくロイは、リーフに近づき聞いた。

 リーフは、俯き頬を染める。

 パットを見られましたとも言えず、大丈夫ですと小さな声で答えた。


 「ちょっと驚かせてしまっただけですわ」

 「ごめんなさいね」

 「そうか。それならいいが……」


 女性達は、ホッとする。

 相手は隣国の王子だ。怒りだしたらどうしようかと思ったのだ。


 「では、参りましょう」


 そう言って、先頭を切って歩き出したのは、ビダンダの妻リンラ。彼女は、衣装は着ていない。

 女性達が歩き始めたので、リーフもついて行く。


 「お待ちください」


 ロイ達もついて行こうとすると、ドルドンに止められた。


 「ここから先は、男性禁制なのです。私達はここで待ちましょう」


 チラッとリーフが振り向くも、三人はこない。アージェと目があうと頷かれた。


 (え? 僕だけなの?)


 そうだとは思っていたが、皆が集められたので一緒に来れるものだと思っていた。

 バルコニーに出る扉を開け外にでる。

 そのバルコニーは、岩山の洞窟に続く通路になっていた!


 通路は明るかった。足元は光る石だ!

 そして、十分程歩くと少し広い場所へと出た。

 その中央に黒く光る大きな石がある。それが動いた!


 「きゃ!」


 驚いたリーフが声を上げると、思ったより大きく響く。


 「大丈夫です。あの方が我国の守り神。ドラゴンに似ていますが違います」


 そうリンラが説明した。

 その守り神がむっくりと起きた。

 四本脚に背中からは硬そうな翼が生えている。瞳は、エメラルドグリーン。

 大きさは、小型犬程。思ったより小さかった。


 (守り神? 目がエメラルドグリーン。魔獣の可能性があるかも)


 リンラが、守り神に近づいた。

 腕から外したリングを守り神の前に置く。


 「これから次の代表を選んで頂きます」


 そう静かにリンラが言う。


 「だ、代表?」

 「えぇ。この10年。私が代表です」


 この国の真の代表は、リンラだったのだ!


 「この秘密を守る為、選ばれた者の夫になった者が代表として表舞台に立つ。それが、この国の仕来り。わかりますね? あなたはもう戻りなさい」

 『僕の声が聞こえる?』


 驚いてリンラを見ていたリーフだが、つい守り神の声に反応してそっちを見てしまった。守り神と目が合う!

 やはり魔獣だったのだ!

 と、突然リングをくわえ守り神が、リーフの元に来た。


 「なんですって!」


 リンラが驚きの声を上げる。


 「あり得ないわ! やはり邪魔をする為に!」

 「え? 邪魔?」


 桃色の髪の女性が、リーフを睨み付け言う。

 リンラ達が、リーフに近づこうとすると、守り神が羽を広げ威嚇した!


 (ちょっと待って! これってまずい状況じゃ……。どうしたらいいの?)


 「もしかして、このリングを持って来た相手が次の代表とか……」

 「そうよ! あなた、何をしたの!?」


 リーフの問いに、リンラが叫んで答えた。

 まさかと聞いた答えが、最悪の答えでリーフは困惑する。

 カタン。

 守り神が、リングを床に置いた。


 『お願い。これを受け取って!』

 「………」

 「私のよ!」

 「もう10年もやったんだから次は私よ!」

 「選ばれてない人が、代表がなっても……」

 「うるさいわよ! あり得ないでしょう! この子は、隣国の王子の婚約者よ! 何か裏があるに決まってるわ!」


 違う女性が言うと、桃色の髪の女性が叫ぶ。そして、リーフの前でリング争奪戦が始まった!

 リンラと桃色の髪の女性がリングを引っ張り合う!


 『やめて! そのリングを返して!』


 守り神が叫ぶもリーフ以外には、聞こえていないようだ。


 (どうしよう! ……兎に角戻ろう!)


 くるっと皆に背を向け、リーフは走り出す。


 『あ、待って! あのリングを受け取って! 僕のマスターになって! 魔力が足りないんだよ!』


 (え!? また、マスター!? 何でそうなるんだぁ!)


 リーフは、聞こえないふりをして走る。

 やっと、扉が見えた。


 「待て!!」


 リーフは、振り返るとリンラが走ってこっちへ来る。その彼女を追いかけて桃色の髪の女性が走り、守り神もリーフの後ろを着いて来ていた!

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