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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第五八話 ドラゴンの疑惑

 「お考え直し下さい。リーフをその儀式に参加させる意味はないでしょう? ドラゴン草の撤去は、お願いしたのでしょう?」

 「何を言っている。参加させる。いや、その儀式に行く意味は大いにある。もしドラゴンが人に変わるという事が本当なら、そのドラゴンは魔獣かもしれない」


 ロイの言葉に、三人はハッとする。

 魔獣のヘリムは、長い間犬の姿になっていた。そのドラゴンが、魔獣だという可能性はある。


 「なるほど。本来のドラゴンとは、家一軒分程の大きさでかなり大きいと聞く。その儀式も魔獣に関連した何かかもしれないという事ですね?」

 「そうだ。魔獣かどうか確かめるには、召喚師が行かなくては意味がないからな。魔術師で召喚師。それに当てはまるのが、リーフというわけだ」

 「ですが、リーフ一人に行かせるのは、無理かと思いますが……」

 「何を言っている。私も行くに決まっているだろう」

 「何ですと!!」

 「ロイ王子もですか!?」


 ロイの話になるほどと頷いてアージェが言った言葉に、当たり前の様に答えるロイ。それに三人は驚いた!


 「待って下さい。僕と二人で行くつもりですか? あの護衛の人とかは?」

 「そうです。危険な事があるかもしれないのです。リーフだけでは無理です」

 「お考え直し下さい! 殿下が行く必要はありません!」


 三人は口々に言って、反対した。

 アージェが言う様に、リーフだけでは無理だ。そういう経験もない。しかも、今回は陰謀があるとわかっているのだ。


 「しかし、私が見学したいと申し出て、その条件がリーフだ。残念だが我々が行く事は決定だ! 護衛は二人までと言われている」

 「危険な儀式になるかもしれないのに、殿下の護衛は二人までという条件なのですか? それは来るなという事でしょう!」

 「わかっている。今まで客人など招いた事が無い、特別な儀式らしいからな」


 ロイの返した言葉に、ダミアンは絶句した。

 エミールの様な魔獣がいるとわかっているのに、危険な場所へ赴くと言うのだ。止めたところで行くだろう。


 「わかりました。では護衛の一人にアージェをお連れ下さい」

 「私ですか!?」


 ダミアンの驚く提案に、アージェだけではなくロイもリーフも驚いた。


 「アージェも召喚ができます。声も聞く事ができます。魔法が使えなくとも魔獣を呼び出し、殿下を守る事ができるでしょう。後一人は、殿下が信用できる方を連れて行くのが宜しいかと」

 「なるほど。ダミアンが言うのも一理あるな。万が一に備えてか。しかし、アージェを連れて行くとなると……」


 ダミアンの提案に納得はするもチラッとアージェを見て、ロイは困惑顔だ。


 「何か問題が?」

 「うん? まあ、15歳以下の女の子達だし問題ないか?」

 「あ! そう言う問題がありました!」


 ロイの言葉に、ダミアンも気づいた。

 アージェは、女嫌いだった。相手がアージェに近づきさえしなければ問題ないが、それはまずないだろう。全員と言っていい程、アージェを取り巻くに違いない。


 「………」


 アージェも何か言いたいが、返す言葉が無い。

 大丈夫ですと、自信を持って言えないのだ。

 何も言わないアージェを見てリーフも、そんなにダメなのかと驚く。


 「あの、僕頑張ります。よくわからないけど、そのドラゴンに近づけるのって僕なんですよね? だったら護衛の人は召喚師の人でなくても……」

 「いいえ。行きます。あなただけでは不安です!」

 「よし! よく言った。では、もう一人は魔術師にしよう。女性を一手に引き受ける者がいいな。私達の目的は、あくまでもドラゴンが魔獣かどうかだ。でだ、もう衣装も用意してある」


 くるっと背中を向けると、何やら箱をテーブルの上に置いた。

 衣装まで用意していたとはと、三人は驚く。

 箱から出て来たのは、グリーンのパステルカラーのドレス。胸元は開いてないが、まずそこら辺の女性はこんな豪華なのは着ていないだろう。


 「え? それを僕が着るんですか?」

 「当たり前だ。私の婚約者の候補として一緒に行くのだ。変な格好で来られては困る。ほらパットも用意した」

 「大きくありませんか? 逆に疑われると思うのですか?」


 アージェは、チラッとリーフを見て言った。


 (僕、ロイ王子に遊ばれてないよね?)


 確かに本当は女性なのに、胸は小さい。だが、アージェが言う様に釣り合わない大きさだった。


 「日程は、明日の朝出発してビュドー村に一泊。村からは、馬車で移動。隣国エーグに滞在する」

 「わかりました。ですがご無理はなさらないようにお願いします」

 「本当ならダミアン、あなたが一緒にこれたらよかったのだが……」

 「無理を言わないで下さい。ここを開ける事も女性達の相手をする事もできません!」


 確かにダミアンがついて行ったところで、女性達はアージェの元に行くだろう。


 「あなた、変なヘマだけはしないでくださいよ。ロイ王子のメンツもあるのですからね!」


 横に立つアージェは、真顔でリーフに言ったのだった。

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