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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第五五話 テッドと二人で

 ロイは、研究室に来た時は、この休憩室にいる事が多い。


 「なあ、お前、王子の用事で出掛けていたのか?」


 アージェの脇をつつき、小声でテッドは聞いた。

 ロイが、アージェが戻って来たと叫んだからだ。


 「手が回らないので、請け負った仕事なのです」

 「ふうん」


 研究室に繋がる扉が開き、ダミアンが入って来た。


 「おや。ベランダから来たのか。何かあったのか?」


 チラッと余計な人物のテッドがいるのを見て、ダミアンは聞いた。


 「はい……」


 一言そう答え、アージェもチラッとテッドを見た。


 「リーフ!」


 アージェの隣に立っていたリーフがよろけ、アージェが慌てて支える。


 「顔色が悪いな。ベットに……」


 ダミアンが言うと、アージェに支えられてベットに行ったリーフは横になる。


 「すみません」

 「何があった?」


 ダミアンが聞きながらリーフの様子を伺う。


 「……実験で魔力回復が半減した状態が、まだ戻っていなかったようで……」

 「実験!?」


 アージェの説明にテッドが驚く。

 どんな実験なんだと、アージェとリーフを見比べていた。


 「ふむ。アージェ。温泉の水は汲んだか?」

 「はい。ここに」


 ダミアンに言われ、アージェは温泉が入った容器を彼に手渡した。


 「テッド。これを隣の研究室の者に持って行ってもらっていいか? これを渡したら報告は明日の朝で良い」

 「はい……」


 テッドがいると、話を進められないとダミアンは追い払ったのだ。テッドもそれがわかり、話を聞きたいがロイも居る為、大人しく頷いて部屋を出て行った。


 「リーフを実験台に使っていたとはな。しかし、噂は本当だったんだな。戻るのに一週間はかかるらしいからな」

 「一週間ですか!」


 そこまで詳しく知らなかったアージェが、ロイの話に驚く。

 ロイが、不意にリーフの首筋に手を当てた。リーフは、ビクッとして驚いてロイを見た。


 「大丈夫だ。魔力を少し分けるだけだ。そのままでいると、体に悪い」

 「それなら私が!」

 「いいから。アージェ、話せ」


 ロイがする行為ではないとダミアンが名乗りを上げるが、そのままロイがリーフに魔力を分け与える。


 「はい。湯を汲み終わった時、襲われたのです」

 「何!?」


 ダミアンは、驚きの声をあげリーフに振り返る。


 「もしかして枯渇するまで魔力を使ったのは、逃げ切る為か?」

 「はい。森の中を結界を張りつつ飛んでくれました」

 「結界を張りつつだと?」


 ロイも驚いて、ジッとリーフを見下ろす。


 「チェチーリアさんは、エミールから逃げる術を叩きこんでいたようで、村まで七時間程で着きました」

 「あの村まで7時間……」

 「で、襲った者はどういう者だった?」

 「矢を撃つ者と魔術師の組み合わせの様で、森の中に逃げたのですが森の中を熟知しているようでした」


 ロイの質問に、アージェはギュッとこぶしを握り答えた。


 「追いかけてきたのか?」

 「いえ。森の中にいるのに、場所を把握され狙い撃ちされました。それでリーフが結界を張って、森の中を飛びその場を離れたのです。申し訳ありません。逃げる事しか出来ませんでした」


 アージェは、頭を下げた。

 騎士としては、逃げるなど許されないとアージェは思っている。


 「なるほど。その者達は、今回の温泉の件と関係がありそうだな」


 ロイはそう言うと、リーフから手を離した。


 「リーフ」

 「はい」

 「君は、自宅待機だ。いいな」

 「え? はい……」


 待機と言ったが、体を休めろと言う意味だ。


 「アージェ、君はその者達を探りに向かてくれ。ダミアン。さっきの彼に連絡を取れ。一緒に向かわせる」

 「え!? テッドをですか?」


 ロイの言葉に、アージェが驚く。


 「事を大きくしたくない。アージェの知り合いのようだし。出来れば、原因の調査も一緒にお願いしたい」

 「わかりました。テッドと一緒に行ってまいります」

 「では彼に連絡を取り、その旨伝えておきます」

 「あの、ごめんなさい。僕、何も出来なくて……」

 「いや。よくやった。無事に帰ってこれて何よりだ」


 ダミナンは、ニッコリ微笑んでリーフに言ったのだった。



  ◇ ◇ ◇



 「ここら辺ですね」


 アージェとテッドは、ロイの指示通り次の日ビュドー村に来ていた。

 テッドは、ダミアンからある程度の話を聞いていた。

 着いたのは夕方だが、一応襲われた場所まで来た。アージェは、地図と見比べる。


 「その地図って借りて来たのか?」

 「えぇ。そうです。やはり……」

 「やはりって?」

 「襲ってきた者達は、あそこにいました。ちょうど隣の国との境です」


 アージェは、襲ってきた者達がいた場所を指差し言った。

 境界線には、特段塀などない。ちょうど山の半分の所が境界線になっていた。

 

 「じゃ、隣の国の者なのか?」

 「かもしれませんね。服装は緑ではなかったと思います」

 「それはそれで、厄介だな。とっ捕まえるわけにもいかなそうだ」

 「明日、詳しく調べますか。宿に戻りましょう」




 宿は、テオボルドの宿をまた泊まらせてもらっていた。


 「ふう。さっぱりしまし……」


 夜ごはんを頂き、アージェがお風呂に入って部屋に戻って来ると、人が増えていた!

 テッドの両脇に、キャピキャピの女性が座っている。


 「何を考えています!」

 「楽しく飲もうと思ってさ。ほら、アージェも」

 「お断りします!」

 「ったく。いつまで引きづってるんだよ」

 「出て行って下さい……。三人共出て行って下さい!」

 「え? 俺も!?」


 アージェは、そうだとテッドを睨み付ける。

 女性達は、怯えていた。


 「あー。悪いね。部屋移ろうか」


 テッドが達がると、女性二人も立ち上がり、残念そうに部屋を出て行った。


 「ふう。やはり部屋を別にするべきでした」


 座ったアージェは、ため息をしつつ呟く。

 テッドも女性にモテる方だ。

 だからアージェとしては、彼と一緒にいたくなかった。

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