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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第三四話 選択の真実

 アージェは自分の席に戻り、ヘリムは空いていた席に座った。

 何故かまたムッとしているリーフを見て、ヘリムは溜息をつく。

 そして、見慣れない者がいるのに気が付いた。


 「彼は私が召喚した魔獣です」

 「スクランです」


 アージェが説明すると、スクランは軽く頭を下げた。


 「なるほど。彼のお蔭で助かったわけか。ありがとう」

 「いえ……」

 「ヘリム。フランクなのだが、彼はあの魔術師に瀕死の状態にさせられた。なので、内通者は違う者だろう」

 「何!?」


 ガッドの話に、ヘリムは驚いた。

 ダミアンが、ヘリムが気を失った後の事を軽く話した。


 「そうか。違ったか……」

 「ところであなたの身に何が起きたのでしょうか? 刺されてはいなかったはず……」


 ダミアンは聞いた。

 もしかして奪われた剣は一夜にして改良されたのかと、疑惑を持つも十年掛けて作り上げた物だ。それはないだろうと思っていた。


 「その事だがまず俺達魔獣の体は、この世界の人間より治癒力が高い。それゆえ斬られてもすぐに癒える。だから突いて攻撃は理にかなっているだろう。そして斬って攻撃という概念が、俺の頭から消えていた。彼は、斬りつけた一瞬に、剣を通し魔術を流し込んできた!」


 それを聞いた全員が驚いた。魔獣にしか出来ない使い方だ!

 最初からそれが狙いだったのだろう。あの時すぐにとどめは刺さなかったが、かなりダメージがあった事は、あの魔術師はわかっていたのだ。


 「一つ確認なんだが、あの魔術師は俺を殺そうとはしてなかったんだな?」

 「はい。その時間はありましたが、まあ余裕だと思ったのでしょう」


 ヘリムの問いにダミアンはそう答えた。

 それを聞いたヘリムは考え込んだ。


 「ヘリム。何かわかったのか?」


 ガッドが考え込むヘリムに聞いた。それに静かに頷く。


 「たぶんだが、相手の目的がわかった」

 「何!?」


 ヘリムの返答に、ガッドは驚きの声を上げた。他の者も驚いた!

 考えても何も思いつかなかった。それがわかったというのだ。


 「で、一体何が目的なのだ?」

 「それを話すには、この城の秘密を話さなくてはならなくなるがいいか?」


 ヘリムの問いに、ガッドが驚いた顔をする。そして全員の顔を見渡した。


 「いいだろう。必要なら仕方あるまい」


 ガッドは、頷いてそう答えた。


 「秘密……」


 ゴーチェは、そう呟く。

 彼は騎士の団長として、度々城に来ていた。

 召喚の儀式にも立ち会っている為、この中で城に訪れている頻度は多い。だが秘密など知らなかった。


 「この城の地下には大きな魔法陣がある。その魔法陣の発動が目的かもしれない」


 ヘリムの言葉に、ばっとそれは本当かと、ガッドに皆振り向いた。それに間違いないと頷く。


 「我々の祖先は、召喚師の悪事を止めた事になっているが、微妙に違うのだ。本当は、失敗をした彼らを処罰した。そして、その名残がこの城に残っているのだ」


 そうガッドが話すと、ヘリムが国の成り立ちを語り始める――。



  ◇ ◇ ◇



 その昔、この土地一帯はまだ、治める者がいなかった。

 そんな中ある召喚師数人が、自分達が治めようと思い立ち、力を得る為に巨大な魔法陣を描いた。

 直径二十メートルもある魔法陣を描き、いざ扉を召喚しようとしたが、魔力が足りなく出現させる事が出来なかった。

 魔法陣は、大きさに比例し使う魔力も大きくなる。勿論威力も強くなる。

 だが召喚の術は違った。魔法陣を大きくした所で、大きな扉が出現するだけで、出て来る魔獣は、召喚した者によって異なる。

 本来なら大きくしても意味がないものだった。

 魔法陣を描き無謀な事をしようとした事を知った召喚師レミジオは、彼らを退治しこの地を治める初代王となった。


 魔法陣は、ほおっておけば自然と魔力が抜け、自然消滅する。だが、巨大な魔法陣はすぐに消滅しない。

 また魔法陣を消そうにも、魔法陣に残ってる魔力と同じだけの魔力が必要だった。

 召喚は魔法陣が出来た時に、召喚される魔獣が決まると言われている。なのでこの魔法陣は、悪意ある魔獣が召喚される恐れもあり、このまま放置するわけにはいかなかった。

 そこで、魔法陣の上に城を建て、魔法陣の存在を隠した。


 レミジオは、魔法陣を消すある方法を思いついた。

 その方法とは、別に魔獣を呼び出し、その魔獣に魔法陣から抜ける魔力を溜め、魔法陣の魔力が半分になった頃に、溜めた魔力を使い魔法陣を消滅させる方法だった。

 この方法なら魔法陣が存在する時間が半分になる。

 だがそれでも長い年月が掛かる。自分が生きている間には、とても無理な方法だった。


 そして、危惧される事があった。

 魔法陣を消すまでの間に、この魔法陣で召喚を行われる事だ。

 大量な魔力が必要だが、徐々に魔法陣の魔力が減って行く。

 それは、扉を出現させる為の魔力もまた少なくてすむという事だった。その為、召喚が出来る召喚師が現れるかもしれない。

 と言ってもここまで大きな魔法陣を扱うには、魔術の能力も必要だ。


 そので、召喚か魔術の能力を封じて、この魔法陣を使える者を作らない方法を思いつく。

 召喚師を完全に消してしまえば、将来魔法陣を消す召喚師がいなくなる事を考え、本人に選ばせる方法を取る事にした。

 十歳になったら召喚師か魔術師か選ばせる。それが今も続いていた。


 魔力を移す魔獣を呼び出す事になった時、第二王子のルキーノがその役目をすると言い出した。

 魔獣を呼び出した者は、魔獣に魔術を施さなければならない。それはかなり体に負担がかかるものだった。

 王であるレミジオや、後を継ぐ第一王子に何かあってはと、自ら名乗りをあげたのだ。


 ルキーノは、召喚でヘリムを呼び出し、今までの事を話し、これからやって欲しい事をお願いした。

 ヘリムは、その身に魔力を溜める媒体になる事を承諾し、必ず魔法陣を消す事を約束する。

 それからルキーノは、リボンを作成した。そしてそれを通して、ヘリムにだけ魔法陣の魔力が注がれるように術を施す。

 そのリボンをヘリムに付けた。犬に変化(へんげ)する術も施してあった為、ヘリムは犬になった。


 後問題なのは、魔法陣を消滅させる役割を担う召喚師の選定方法だ。

 それはこのリボンをほどける召喚師とした。その者をヘリムのマスターに選ぶのだ。

 自分と同じ想いの者がほどける様に術を施す。後は、本来の力を取り戻したヘリムが魔法陣を消滅させればいいだけだった。

 こうして魔法陣の事は、ヘリムに託された。


 ヘリムは、魔法陣の魔力が半分になった頃から儀式を受けに来た子供達に、リボンをほどいてもらえるように、アクションで伝えるも誰もほどける者は現れなかった――。

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