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庭園の国の召喚師  作者: すみ 小桜


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第一四話 増える疑問

 無事にシリルを保護出来た事に皆、安堵していた。

 と突然、片膝を付きシリルを抱きかかえていたフランクが、オルソにシリルを手渡すと立ち上がった。


 「オルソさん、彼をお願いします」


 そう言うとフランクは、突然森に向かって走り出した!


 「どちらへ!?」

 「人影が見えた! 深追いはしない。様子を見て来る!」


 アージェが問いかけると、フランクは走りながらそう答えた。そして、森の中へ消えていった。


 「人影って……。火の玉を投げて来た相手ではないでしょうか?」

 「そうだな……」


 アージェの言葉にオルソも同意見だと頷く。

 最初の火の玉は、馬車の横からの攻撃だった。

 シリルは、火の玉の直後、前方に現れ氷の刃を放っていた。もう一人いたと考える方が自然だ。

 現にシリルは、一度も火系は使ってこなかった。


 「シリルを操っていた者かもしれません。彼はどう見ても自我を持って行動しているようには見えませんでした。私も追ってみます。ここを宜しくお願いします」

 「アージェ!」


 アージェもまた、フランクを追いかけ、森の中へ消えて行った。


 「いかなくてもいいのか? その子は俺が見ていてやるけど」

 「いや逆に君達やシリルがいる以上、誰かはここに残らねばならない……」


 ヘリムの申し出にそうオルソは返し、小さくため息をつく。

 リーフは、もう一人はあの二年前襲ってきた魔術師なのではないかと思った。あの魔術師は、先ほどの様に火の玉で攻撃してきていた。

 だがなぜ連れ去ったシリルを使って襲ったのかがわからない。

 シリルは、男のフリをしているリーフはともかく、オルソやアージェにも反応を示さなかった。アージェの言う通り、操られているとリーフは思った。


 (胸騒ぎがする……)


 あの魔術師は、チェチーリアでも敵わなかった相手。

 しかも追いかけて行った二人は、術を無効化出来る剣を持っているとはいえ、水で火の玉を小さくしなければ、あの火の玉は消滅させられない。

 不安を胸にリーフ達は、二人が入って行った森を見つめるしかなかった。

 だが森から戻って来たフランクは、左腕に怪我をしている様子だった!


 「フランク! その怪我は!」


 驚いてオルソが声を上げた。

 フランクの左腕は、肘から下の衣服は焦げ、皮膚は赤くなっていた!


 「大丈夫です。少し火傷を……」

 「少しではありません! すぐに手当てしないと!」


 フランクは、額に汗しており凄く痛そうだ。

 アージェは、フランクの言葉にそう返し、フランクを連れて馬車に向かおうとする。


 「あの僕、少しなら癒す事が出来ますけど……」

 「なんですって! それ、本当ですか!」


 リーフの言葉に、バッと振り向きアージェが問う。

 魔術師の大半の者は、癒しの術が使えない。なのでアージェは、信じられないという顔つきだ。


 「本当に出来るのですか?」


 もう一度聞くアージェにリーフは頷く。


 「では、お願いしてもいいかな?」


 オルソがそう言うと、リーフは頷いてフランクに近づく。


 「失礼します」


 リーフは、フランクの左腕に触れるか触れないかくらいの位置をキープし、ゆっくりとスライドさせていく。

 フランクの顔つきも和らいでいった。


 「ありがとう。凄い物だな。あんなに痛かったのが嘘のように引いた」


 リーフは首を横に振る。


 「戻ったら医者に診てもらうか、僕より優れた魔術師に診てもらってください」

 「あぁ。そうするよ。ありがとう」

 「あなたが他の人に浮遊の術を掛けられないのに、受かった理由がわかりました。そういう事だったのですね。水が得意で治癒が出来る。何故魔術師団に入らなかったのですか? 勧誘は受けたでしょう?」


 アージェに問われ、リーフは俯く。


 「……そうですね。でも僕は村に戻るつもりだったので……なので治癒が出来る事は言わないで下さい」


 リーフは、そう小さく呟くように答えた。


 ラパラル王国は、森多き国の為、水が得な魔術師は優先的に合格にする。

 そして、魔術師団に入団させて確保しようとするのだった。その為リーフの時もかなりしつこかった。

 一旦入ったら村には帰れない。そう思ったリーフは、何とか断り逃げて来たのだ。


 「わかりませんね。どうして誰もいない村に戻ろうとするのです? 魔術師団に入れば、最低限の衣食住は確保されるのですよ。それに治癒が出来るなら将来を約束されたも同然なのに……」


 アージェは、リーフの言動にため息交じりに言った。


 「そう言うなアージェ。リーフにも色々事情があるのだろう」


 そうオルソが言う。

 オルソが言う様に、言えない事情がリーフにはある。

 しかも襲った目的が自分ならチェチーリアが言った通り、王都には来るべきではなかったと、リーフは大きく後悔していた。


 「まあいつでも入団出来ますからいいですが……。それより、魔術師が戻ってこないとも限りません。すぐに騎士団の館に向かいましょう」


 アージェの台詞にリーフはホッとする。

 このまま魔術師団の館に連れて行かれたらどうしようかと思っていたのだった。


 先ほどとは違い、アージェ、シリル、オルソと座り、向かい側にフランク、ヘリムそしてリーフと座った。

 シリルは、オルソにもたれ掛かり、まるで心地良く寝ている様だった。


 そのシリルを見てリーフは思う。

 シリルはこの二年間、どこにいたのだろうか?

 あの恐ろしい魔術師に何をされたのだろう?

 シリルの態度から記憶を消されているのは確か。

 リーフの事も忘れているかもしれない。


 でもどうして自分を狙うのか。

 その前にどうやってリーフがリーファーだとわかったのか……。


 (もしかして試験を受けたからバレた?)


 オルソから貰った紹介状を使ったからバレたのではないか? そうリーフは思いつく。

 そうなると、リーファーがオルソから紹介状を貰ったのを知っている人物が、あの魔術師の仲間となる。


 チラッとリーフは、オルソを見ると彼は、優しくシリルを見つめていた。

 彼ではない。そうリーフは思う。

 そうなると、アージェなのだろうか?

 アージェを盗み見れば、オルソとは逆に険しい顔つきで、シリルを見つめていた。

 気を付けた方がいいかもしれない。そうリーフは思った。


 (そう言えば、オルソさんとおばあちゃんの関係って?)


 二人はどこで知り合ったのだろうか?

 火事がどうのこうのと言っていた。何となく古くから知り合いなのかもとリーフは思う。

 またシリルを見た時のオルソは、かなり動揺していた。ただの知り合いの孫にあそこまで動揺するだろうか?

 色々考えれば考える程、疑問が増えて行くばかりだ。

 リーフ達はその後は、襲われる事もなく無事に、騎士団の館に到着したのだった。

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