鋭利な鈍痛
寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
皆々様にお見せするは東京鈍痛物語!
見ているだけで虫酸が走り、頭痛が起きる、そんな黒々しい話だよ。
心を捨ててどうぞご堪能あれ〜。
心を捨てた人間は何も感じず何も語らず。
ただ時の止まったような空間を歩く。
目的もなく歩き続ける。
英介[,,,]
この世界はいつから狂ってしまったのだろうか。
英介[,,,]
父親も母親もかつての友達も。
みんな心を捨ててしまった。
英介[,,,]
泣いて、怒って、悔しんで。
どうにか心を取り戻させようと努力した。
でも今ではそんなことはどうでもいい。
英介[,,,]
何も感じないし、何も思わない。
英介[,,,]
何も、、、、感じない。
英介[,,,]
はず、なのに、、
英介[...うっ]
目からは涙が止まらない。
こんな苦しい思いをするなら、心を捨ててしまおう。
心なんていらない。
英介[,,,]
英介は歩いた、歩き続けた。
そしてたどり着いた。
そこはゴミ捨て場と書かれた灰色のコンテナの前。
そこにはハートの形をしたかつて生きていた物達の心が無造作に捨てられていた。
英介[もう、、心なんていらない。]
そう呟き、英介は自分の胸から心を取り出した。
生まれた時には光り輝いていた赤色のハート。
今は薄い桃色になり、くすんでしまっている。
英介[,,,]
英介はホイッと鳩に餌でもやるかのような軽い動作で心をコンテナに捨てた。
英介[]
パシッと音がした。
英介の心が投げた途中で掴まれた。
正確にはキャッチされたというべきである。
心を取った手は黒色。
黒くつめのとがった細い腕。
明らかに人間の物ではなかった。
英介[]
心を捨てたからか、英介は恐怖も物怖じもせず、ただただその手の持ち主の顔を見上げる。
そこにはまさしく山羊と呼ぶにふさわしい黒い顔があった。
人間の顔の形ではなく、そのまま山羊の頭を人間の体に移植したような造形のその男は英介に笑いかけるのだった。
黒山羊[心を捨てたそこの君、私と一緒にゲームをしよう。そちらが勝った暁には世界に心を取り戻させよう。]
英介は何も思わない。
心がないから。
何も感じない。
黒山羊[一旦これは君に返そう。これがないと、どうやら話ができないらしいからね。]
黒山羊は心を強引に英介に戻した。
英介[,,,!?]
目の前には長身の黒い山羊の顔した男。
心ある人間が驚かないはずがない。
黒山羊[さてもう一度。心を捨てたそこの君、私と一緒にゲームをしよう。そちらが勝った暁には世界に心を取り戻させよう。どうかな?]
英介[え、、。]
恐怖と驚きの中にわかには信じがたい事を言われた英介は、迷った。
しかし、世界が心を取り戻す。ことなどこの期を逃したら皆無であると判断した英介は
首を縦にふる。
黒山羊[了解した。それでは早速ゲームに移ろう!まずは場所を変えようか。]
そういうと同時に黒山羊は指を鳴らす。
その瞬間目の前の景色が暗転し、意識が遠のく。
そんな中うっすらと聞こえた黒山羊の声。
『ようこそ!僕の物語へ!』
さてさて、書いて行きますよおお!