その13
◇◇◇◇◇◇ その13
「静、すばらしいものだな。」
めったに感情を表に出さない晴信であるが、このときばかりは静に抱きつかんばかりの興奮状態であった。
館に戻った晴信は静を相手に一献傾けた。
「次に見られるのは六年も先か。」
「そうでございます。でもお館様、この祭りを毎年やっていては体も身上が持ちませぬ。このくらいの間合いが丁度良いと思います。」
熱っぽく話す静を晴信は抱き寄せた。静は拒まず、晴信のするがままにされている。静も父から、
「守屋の家のためにもお館様を拒んではならぬ。」
と諭されてはいたが、御柱の興奮を晴信と共有した後では否も応もなかった。二人の唇が重なり、やがて絶頂の波が二人を押し包んだ。
「あっ、ああああ。」
晴信が頭を抱えて奇妙な言葉をしゃべりだした。何を言っているのか静にはわからない。
「お館様、どうなされました。」
「わからない。」
エビのように体を曲げて苦しむ晴信を静は懸命にさすり続けている。もはや自分の手におえないと感じた静は人を呼ぶために立ち上がろうとした。
「お館様!」
晴信の体から異常な青白い光が発せられているのである。
「お気を確かに。」
静は晴信に叫び続けた。だが、晴信の体の光は激しさを一層増し、体の震えもひどくなった。同時に静の体からも同じような発光が始まった。
「晴信様。」
白い光に包まれ、静は恍惚の境地へと導かれる。やがて晴信と静は一つの光の塊となり、光が徐々に弱くなったその後には二人は影も形もなくなっていた。




