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第6話:イシスの森にて

前回言った1ヶ月、守れませんでした…


だってテストとかあったし……


「考えている」っていうのと「実行する」っていうのはまた違うわけで…



………すみません




イシスの森最奥部――




黒い影が二つ。


「人間の軍隊がこっちに向かっている……?」


「ええ、そのようで…」


「数は…?」


「はっ、おおよそ70〜80くらいかと」


「その中に例の『太陽』の力を持つ少年は…?」


「見当たりません」



「………ふっ、人間が嗅ぎ付けたか




……牢から逃げた一匹か


そいつが見つかり周囲の森を探索に来たってところか」



「いかが致します?」

「人間の軍隊など恐るるに足らん。


ちょうど獣達の餌の時間だしな。


獣全部を放ち殺させなさい、


一人残らず」


「はっ」












一方そのころ、


タイタンの軍隊が隊列を組み、森に向かって突き進んでいる。


それはまるで波のように突き進み、森の前にやってきた。





ここで先頭を走っていたタイタンが軍を止め、皆の方に振り返る。



「みんな、いよいよだ。覚悟はいいか」




皆真剣な目でタイタンを見る。




それを見てタイタンは、ゆっくりと口を開いた。



「……相手は人ではない





悪魔と、その手下と成り下がった獣だ。




情けなど無い。死ぬかもしれん。







……それでもみんな、

来てくれるのか……?」









………しばしの沈黙。




張り詰めた空気の中、タイタンのすぐ後ろについて来ていた第1部隊隊長ランドが、へっ、と笑った。



「なんでここまで来たんですか、ここで逃げたいって言ったって、通用しないっしょ





なぁ!!」



ランドが振り返り、他の者に呼びかける。




兵士達は何も言わなかった。が、皆決意に満ちた笑みを浮かべていた。





逃げる者はいるか









その答えは、その表情で十分分かった。





如何にその問いが、愚問であったか……








「分かった。もはやワシの言うことはない。




これより、森の中へ突入するぞ!!」




「「「「「オオーーーーー!!!」」」」」




全部隊、全員が雄叫びを上げると、


森の中へ、正面から突入していった。







イシスの森の中、大きな牢屋が設置してある。


木で出来ているため、森の中ではとても見つかりづらい。




だが、近くに行くだけで牢屋があることはすぐに分かる。




なぜならその中では、血と肉に飢えた獣が十数匹捕らわれている。





ライオンやトラ、ヒョウクマなどの肉食が多く、何かの気配を感じるだけで、中で暴れ、吠えまくるのだ。






不思議なことがある。


それは、獣達の体の半分ないしはほぼ全身が、


真っ黒だった。







そこに近づこうとする影が一つある。



その影に気付いた獣が大きく吠えながら、牢屋を破り目の前の影を食おうと暴れる。


が、牢屋はびくともせずガンガン、と虚しく鳴り響くだけ。




「さぁ、餌がもうすぐ到着する。存分に食え」



そう言って影は、牢屋を開けた。と同時に獣を先導するため、獣とほぼ同等の速さで走る。



獣達はそれを追うが、まるで追いつかない。



しかし、諦めることなく影を追う。





前にいる影が餌の狩り場に連れていってくれる…





否、奴らには目の前の影ですら餌にしか見えないのだ。



奴らは獣。先のことなど見やしない。







腹が減ったら食う。







それだけなのだ。






――――――――




いつしか一人と十数匹は森の中でも広い場所に出た。



まるで、木々に囲まれた闘技場。



その瞬間、獣が追っていた影は高く飛び上がり、見えなくなった。



餌を見失った獣達は、影が逃げた方の天に向かって唸り声をあげる。







数秒後、獣達はすぐに前を向いた。




何かがやって来る。





そう感じたのだ。




その先に、人影がいくつも見えた。











タイタン部隊側―――



「獣共だな、十数匹か……」




すぐに目の前の敵を確認するタイタンの後ろから二人の鎧兜の兵士が走ってくる。




その二人が近づいたことに気付いたタイタンは、二人に言う。




「我々が正面から奴らにぶつかったら、





うまく紛れて行け」





「でも……」

「…………」



一人が心配そうな声をあげた瞬間、もう一人がそれを遮り、無言で頷いて後ろへ下がった。












獲物を前にして喉を鳴らし、唸る獣達。




剣を抜き固い決意をもって構える兵士達。








先頭のタイタンが大剣を高々と上げ、深く息を吸い込む。




「皆………」



















「かかれーーーっ!!」









「「「「「うおおおおォォ!!!!」」」」」



「「「「「グオオオオォォ!!!!」」」」」



互いの集団が吠え、正面から――










―――衝突した。










「みんな大丈夫かな…」


「ワイらの軍隊はそう簡単にやられはせん」


「それより、早くマスターイビルを見つけよう」





ソラ、クレス、ヤマト、あ、あとついでにヤマト選抜の兵士の面々は、壮絶な戦いが起こっている広場から離れて動いていた。



今の解説に不満を持つ輩が数名吠えているが、無視することとしよう。





今のところ、作戦は順調に進んでいる。






………ある一点を除いて











「どうやってマスターイビルを見つける?」











――――…………ソラの発言は皆を固まらせた。





しばらくして頭を捻っていたヤマトが突然



「よし!」


と言った。



皆がお、何かひらめいたかという表情でヤマトを見た。







ヤマトがゆっくり口を開く。













「頑張って見つけようや」










ズドドドドド!!




一同一斉にずっこけた。






「頑張ってなんとかなるかあぁぁー!!」



ソラのツッコミが響く。





「よし、なんとかしようやないか!!」




「その『なんとか』を考えてんだろうがあぁぁー!!」





「よっしゃ、なら…」








……この後2回ほどヤマトの笑いながらの言葉とソラの叫び声が響いた。




隊員は皆、二人から一歩遠ざかって見ていた。



クレスも隊員達と一緒に二人を見て、

(ヤマトとソラの連携って漫才のことなんだろうか…)

と考えていた。







ふとその時、ガサッ

という音を全員が聞いた。







「「「あ……」」」
















森の中での出会い








人間10人ほど(エンゼル1人)とイビル1匹がしばらく向かい合っていた。

















――――――……………

















「敵襲だーーッ!!!」




イビルが叫びながら走り出した。





「あ、待て!」




走り出したイビルをソラ達は追う。


しかし、イビルが敵襲を知らせたために、他のイビル達が10匹ほど前方から迫って来た。


そのスキに追われていたイビルは、他の連中に知らせる気なのだろう。





「全兵力を軍隊に割いた訳やないんか!」


「いや、タイタン隊長達の大軍に獣を割かれて、こいつらしか残ってないってことだ!」


「よっしゃそれなら!


突っ切るでみんな!」


「「「オオッ!」」」



ヤマトの合図で全員剣を抜いた。







ドドドオッ!!!






イビル達とソラ達は正面からぶつかった。



しかしソラ達の勢いは止まらない。


迫るイビル達を切り伏せ前方の逃げるイビルを追う。









この鬼ごっこがどれくらい続いただろう、


逃走者イビルは、ついに追跡者に追い付かれていた。


地面に倒され、ソラに剣を喉に突き付けられている。



「さぁ、マスターイビルはどこにいる?」


ソラが問い詰める。



しかし、イビルはそれを聞くと、ヘッヘッと不敵に笑い、


「前を見な」


とだけ答えた。




「なんやて?どういう……」


ヤマトが問いかけようとした時、前から何かがやってくるのを感じた。




次第にザザザザ…という音が前方から聞こえてきた。




「来るぞ!」



全員が身構えた。

(但し、ソラは剣をイビルの喉から離さない。)





ザザザザザ………







バッ!!!





全員の目の前に、大きな黒い塊が躍り出た。





「「「わぁ!?」」」



飛び出した黒い塊を、皆左右に別れてよけた。



その黒い塊は、なんと口を二つ開け、ソラとイビルに向かって突進してきた。


鋭利な牙がびっしり生えている。



「うお!」


驚いてソラは咄嗟に後ろに跳んだ。


イビルは倒れていたため反応が遅れた…





あっという間にイビルは二つの口の内一つに捕まった。







「ぎゃあああああ!!」




牙が下半身に食い込み、イビルは恐ろしい悲鳴をあげる。



イビルを食っているのは高さ2mほどの、頭が二つある黒い狼。




いわばケルベロスだ。




頭の一つはイビルをくわえたまま、首をぶんぶんと振り回す。



すると、もう一つの頭が解放されていたイビルの頭に噛みついた。


そして、二つの頭が左右からイビルを引っ張り、

















ブチッ!!
















イビルの体は真っ二つになった。




そしてイビルは、例の如く黒い粒子状になって、天へ登っていった。







全員が顔を真っ青にしてその光景を見ていた。





一方、その光景を作り出したケルベロスは、突如消えた獲物の歯応えに満足いかない、という風に高らかに


グオオオオ!!と吠えていた。














「だからイビルは食っても意味ないと何度言ったら分かるんだい?」





ケルベロスの後ろから聞こえたその声に、一同ははっ、と自分を取り戻した。







「すみませんねぇ、びっくりされたでしょう?」





現れたその男は細身の体型、黒い肌をしており、赤い道化のような服。手には鞭を持ち、黄色い髪は逆立てている。






「お前、マスターイビルか!?」



ソラが叫んだ。




その男はフフ、と笑って答えた。







「その通り。私はこの森を支配下とするマスターイビル、



エンテロット!」





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