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第4話:一緒に…

今回は早めに出来ました。お楽しみ頂ければ幸いです。



第4話、どうぞ。


「ぐぅおォォォ!」

「うっ、く……!」




「ぬ…しぶといな…よかろう、それなら確実に殺してやる。


私の曲は、私がピアノを離れても少しの間ならば効果を発揮する。」




フォルテアノは演奏をやめ、懐から長めのタクトを取り出した。



「う…ごぅ…うあ…!」


「あ…あぅ…!」



二人は頭を押さえ、まだ苦しんでいる。



「くくく…可哀想に


待ってろ…今、その机ごと貫いて




楽にしてやろう!!」



フォルテアノはピアノを離れソラが隠れている机に向かって走り出した。



そしてタクトが机めがけ迫る。













ズカッ!!






「な、何…!?」



……フォルテアノの腹に刃が刺さっている。



ソラが机ごと剣でフォルテアノを貫いたのだ。



「なぜだ…動けるわけ…………!」



なんと、クレスが力を振り絞りポータブルサンの光をソラに当てていた。



「俺達が町人にやったのと同じだ……光がお前の曲の電波を払ったんだよ……」


ソラがへへ…と笑いながら言った。



「ば…馬鹿な…ウゥッ」




…それがフォルテアノの最後の言葉だった。


バシュウウウ…



フォルテアノの体が崩れ黒い粒子状になって天に登っていった。




「ハァ、ハァ……やったぜ…」


ソラは緊張がほぐれた。

もう全身に疲れがどっと押し寄せ、ぐったりしていた。



「とりあえず、もうここは安心だよなクレ…



クレス……?」





クレスが動かない。


ソラにポータブルサンを向けた状態のままで止まっている。






「おい、クレス!?」



呼びかけた瞬間クレスの体の力が抜けて、ぐらっと倒れた。ソラがそれを受け止めた。



ソラはすぐにポータブルサンの目盛りを確認した。やはり残量はほとんど無い。ソラはクレスを支えてすぐに手を当てた。



クレスが意識を取り戻すのに時間はかからなかった。



「……うぅ……


………ソラ……」



「クレス!大丈夫か?」


「うん…フォルテアノは…?」


「倒した。だから、安心して休めよ。しばらく動かない方がいい。」



「うん……重ね重ねありがとう……




私……ソラに助けられてばっかりだね。



本当にごめんね…




本当に………」




そう言うとクレスは目を閉じ、ソラに倒れかかった。そして、眠りに入った。



「助けられてばかり…?何言ってんだ……俺の方こそ…」





クレスがいたから…



曲を聞き続ける自分の命の危険を後回しにして、ソラに光を当てて助けてくれた。


そのおかげだ。




もし、クレスがいなかったら…自分はフォルテアノに殺されていただろうし、町人だって助からなかった。






「……ありがとう…」




そう言った時、クレスの顔がちょっと笑った気がした。


それを見て、不覚にもちょっとドキッとしたソラだった。












「……ん…」

「あ、クレス起きた?」



クレスが起きたのは戦いが終わってから4時間後くらい、夕暮れだった。


「あ…そうか、私寝てたんだっけ…」


まだぼーっとしている。目を擦り、ぼやける視界を取り戻すと…



「…ハッ///」



寝ている間クレスはずっとソラに寄りかかっていたのだ。

しかも、目を擦ってない方の左手をよく見ると……



しっかりとソラの服を握っていた。


「……〜ッ!///」


途端に頬を赤くしてすぐにソラから離れる。


ソラが口を開いた。


「もう今からじゃ歩けないよなぁ…今日はこの町に泊まるしかないな」


「そっ、そうね…(やだ私ったら あ、あんなに密着して…///)」



グゥゥ…



突然、俗に腹の虫と呼ばれる音が鳴った。


発信源は……



「…!?…クレス…?」

「………そ、その…な、なんでもない…」


「腹減ったのか?」


「………」


クレスは更に赤くなり、コクと頷いた。



「よし、そんじゃ飯食うか。」

「あ、でも町人は起きたの?」

「いや、まだだ」

「それじゃあ、どこで食べる気なの?無理矢理起こす訳には…」



「フッフッフッ…」


その質問にソラが不敵に笑う。


「俺にはこれがあるのさ!」


そう言ってソラはポケットからある物を出した。




シャキーン!!





ソラが握るそれは、天に向けそびえ立つかのようにピンとまっすぐに伸びた棒に、

先になかなかシャープな丸のオブジェが、天に伸びんとする棒の暴走を止めるかのように居座る、一つの芸術的な形をした――







「つ…つくし?」



この話の最初、ソラが拾っていたつくしである。






辺りはすっかり暗くなっている中、町の広場に明かりが一つ。


ソラ達がつくしを焼いているたき火である。


「ッブハッ!あつっ!」



ソラが焼けたつくしを口に放るが、熱すぎて口から出す。


クレスはつくしを持っているが、食べずに深刻そうな顔をしている。




「フーッ、フーッ…


……?……どうした?」


ソラは暗いクレスを見て気になったようだ。


「……ねぇソラ…?」

「ん?」


「どうして協力してくれるの…?」



ソラはしばらく止まってしまった。


「だって…さっきのような戦いがこれからも続くことになるのよ…

マスターイビルも出てきたし、もしソラに何かあったら…」


「ハハハ、今更何言ってんだ。そんな…」

「真剣な話なの!」


「………」



…沈黙。クレスの真剣な眼差しに、ソラは何も言えなかった。


「私……あなたを危険な目にあわせたく無いの。


これ以上は…」


「危険だから何だ?


身を引けってか?」



「……う…」



図星のようだ。




「身を引いたところで奴らは俺を殺しにくるだろうし、意味ないよなぁ〜」


「……だったらあなたはどこかに隠れて…」


「お前一人で行けないだろ?俺がいなきゃ日光が切れて死ぬんだから」


「……う…で、でもっ」



やりとりでは追いつめられてきたクレスだが、それでも必死に口を開く。



ソラを危険から遠ざけたい、守りたい。



クレスの言葉は、そんな思いから生まれていた。


ソラもそれに気付いている。



しかし、そのソラにも、一つの思いがあった。



クレスが必死の説得をしている中、



ソラは言った。











「俺はクレスが心配なんだ。」







クレスの言葉が止まった。かなり驚いている。



「……え?」







「イビルが恐ろしい化け物だとして、俺が隠れているとして、お前一人で行けば、俺もお前と同じように心配するだろう。


それで、多分お前は


『気にしないで』って言うと思う。





逆に、俺が一人でイビルと戦うとして、お前に


『気にしないで』って

言ったら………




気にせずにいられるか……?」



「…………」




どうやら今のソラの言葉は、クレスに効いたらしい。


ソラは言葉を重ねる。

「初めて会った時、お前俺をかばってイビルを引き付けたよな。


なのにお前の自己犠牲の覚悟と逆に、なんで俺がお前を追ってきたか……




……心配だったからだ。


やっぱどうしても気になるんだよ。



…互いにな。


今は……お前には俺が、俺にはお前がいるんだからさ、


…一緒に乗り越えよう。支えあえばやれる事だってあるんだから。」




 ――――――――







「……グス…うん…」


「あ、あれ!?なんで泣いてんだ!?」


「う、ううん…クスン…ち、違うの……ウ………グスッ…」










『お前には俺が、俺にはお前がいるんだからさ』







ソラの言葉は深くクレスに突き刺さった。



「グスン…う…クス…」

(ありがとう……本当にありがとう……っ)


涙で上手く喋れなかったので、心の中でクレスは精一杯感謝した。しかし心の中で言ったのではソラには届かなく、ソラは泣いているクレスを見てあたふたと慌てていた。






すっかり夜中になり、

今日は学校で寝泊まりすることになった。




二人は音楽室で不思議な光景を見ていた。


先程フォルテアノが使っていたピアノが光り輝いていたのだ。



「…なんだコレ?」


「…ひょっとしてこの光まさか……!


ソラ、あれを……」




ソラは言われるままにピアノに近づき







ズガッ!!






剣でピアノを一刀両断した。



すると割れたピアノから強い光を帯びた一枚の羽根が現れた。





「あ……っ」



クレスは声をあげゆっくりと羽根に近づいていきそれを拾った。




拾われた羽根はやがて光を小さくした。



「……クレス…それってもしかして…」


「…うん。








天地神明の翼の一つ


『地の羽根』よ…





どうやら羽根はもうイビルの手の内にあるみたいね……おそらく、それぞれをマスターイビルが守っているんだわ……」



「集めるにはイビルとの衝突は避けられないってか…




上等だぜ…イビルを倒し羽根を取り戻す!」


「……うん。」


状況は更に厳しくなるが決して負けない。二人は改めて決意を固めた。






「さて、もう寝ようぜ。布団ねーけど。」


「そうね。」



そう言うとクレスは…







ギュ!




ソラに抱きついた。


これにはソラも驚いた。



「うお!?な…ッ!な、なんだよ///」


「……ねぇ、ソラ…?」


「な、なんだ…?」


クレスの少し色っぽい口調に、ソラはドキドキしていた。







「これからも私のこと、支えてくれる…?」


「……?」


質問に対し戸惑うソラ。




「……下界には、味方はいないって思ってた。


だから、アッパースカイから落ちてきた時、私は一人でどうにかするしか無いって思った。



絶望だって思った…




でもソラは、一緒に乗り越えようって言ってくれた。







……一緒に…って…








今なら、ソラと一緒になら、できる気がするよ。




だから……一緒にいて……お願い……」




「…………


…ああ…一緒にいるよ。俺はクレスの味方だ。」



「……うん!」



クレスは心の底から安心した。



「……なぁクレス、そろそろ離れてくれ…//」



「えっ…?


………ハッ///」



クレスはパッとソラから離れ、顔を真っ赤にしてソラに背を向けた。



「ご、ごめんソラ。お、おやすみ…//」


「お、おう…//」



二人はしばらくは寝付けなかったという。

























アッパースカイの

とある場所




暗く広い部屋で二人の男が会話していた。



小柄な老人のような男が長身の男になにやら報告をしていた。



長身の男が口を開く。

「ほう…フォルテアノを倒すとは、なかなかやるな。」



「アクロニコフ様、いかが致します?あのエンゼルと『太陽』を殺すのですか?」



アクロニコフと呼ばれた長身の男は、クククと不気味に笑うと言った。


「いや、今はこちらからは手を出さずにいよう。


カストロ、残りの羽根を見張っているマスターイビルに伝えよ。



守りを固めよ、奴らが穴に飛び込むまで動くな、とな……




奴らをもう少し試してみたくなった。果たして奴らは羽根を取り戻して世界を救えるのか…?


楽しそうなゲームだとは思わんかねカストロよ?」


「…仰せの通りで…」

カストロと呼ばれた老人はそう答えた。






「「クククク……

ふははははは……!」」




その後、二人の笑い声が部屋中に響いた。








歩むべき大地を見定めて


行くべき先を見定めて


まっすぐに、力強く

歩き出す。







地を踏み、立たねば、

目指す空など見えぬ。




いかがでしたか?


次回は遅れそうです。諸々の事情で…



よろしければ、感想などお願いします。

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