↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/54

第43話:ゲリラ戦

新生活スタート!につき、周りの環境がガラリと変化。戸惑いながらも頑張っていきたいと思います。


第43話です、どうぞ。




「…………」

「…………?」


朝の村の宿、ヤマトが目を覚ました隣のベッドでは、既に起床し上体を起こしたままのソラが、気だるさを抱えた表情をしていた。


「おーい、どないしたんや……?」

「…………」


返事がない、寝起きで頭が回らないのか……


「なんやねんそない頭ボーッとしたようなツラしよって……」


ヤマトが更に発破をかけるように言うと、ようやくソラはゆっくりと顔を向け、ボソリと呟いた。





「……カラッポだな……」





ソラは、横っ面からの拳骨一発で完全に目を覚ました。





「今のタイミングでワイを見てカラッポぬかす言うことは……『そう』思っとったんか?アァ!?」

「いや、違……!そういう意味で言ったんじゃねぇよ!」


静かな空気が、うって変わって賑やか(?)になる。怒鳴るヤマトの声はかなり耳に障るようで、ソラは両耳を押さえながら必死に弁明する。


「ホ、ホラ!カラッポってのはジジイのベッドのことだよ!いねーだろ!?」

「えっ?……そういや、いいひんな、アイツ……」


ソラとヤマトの言う通り、ジジイ……もといセルビスが寝ているはずのベッドには誰も居なかった。



ヤマトが大人しくなったことで静まった部屋に、コンコン、というノックの音が響いた。



「起きてるー?」



続いて扉が開き、クレスとアルエが部屋に入ってくる。



「ってあれ?じいちゃんは?」

「ワイらが起きたらもうスッカラカンや。ま、しばらくしたら戻ってくるんちゃうか?」



ヤマトがアルエとクレスに説明する間、ソラは空のベッドを見つめていた。改めてベッドを見ていると、不審な点に気付いたのだ。



(一度寝て、早く起きたにしちゃベッドが綺麗過ぎる……)



セルビスが使っていたであろうベッドは、シワ一つなく、布団を捲った形跡も一切ない。宿に着いたばかりの時と同様、綺麗なままだったのだ。


そこまで確認したソラの脳裏には、続けて昨夜、セルビスと会話していたことが思い出されていた。



(まさか……あのまま戻ってない?)





ソラは宿の外に出てみるも、セルビスの影も形も見えない。昨夜いた屋根の上にもだ。


「どこ行っちまったんだ?あのジジイ……」


ソラはきょろきょろと辺りを見渡すも、森に囲まれたこの村で人一人を探すのは難しい。



「!」



ふと、ソラは村を囲う森のある一点に目を向けた。


……何か近づいてくる。


その気配を感じたソラは、腰に帯びた剣の柄に手をかけ、気配の先を凝視する。


気配の主はほどなくして、草木をガサガサと揺らし飛び出してきたが、その姿を確認したソラは剣から手を離した。



「ジジイ!?」



飛び出してきたのは、今まさに探していたセルビスであった。しかし、何故かその表情は焦燥に満ちている。セルビスにしては珍しい様子だ。


「お、おい…一体どうし「説明は後じゃ!!今すぐここを離れるぞ!!」

「……ハァ!?」


質問を遮られ、唖然とするソラを尻目に、セルビスはさっさと宿に入ってしまった。中からヤマトが『なんやなんや!?』と叫んでいたのが聞こえたところを見ると、どうやら中の三人にも同じように言ったようだ。



―――――――――――


「おい!一体どういうことなんだよ!」

「説明は後と言っとろうが!」



一行はセルビスに促されるまま村を飛び出し、森の中を駆け抜けていくものの、未だその真意が分からないままだ。セルビスは先程から説明は後、の一本張りで、真意を明かそうとはしない。


(一体何だってんだよ……クソッ!)


(ハァ…ハァ…どうしたんだろ…)


(あ〜も〜、何やねん!)


(じいちゃん……?)


訳の分からないまま走り続け、体力を消耗していく中、不安と苛々が募っていく。




「だ〜〜〜〜っ!!だからなんでワイらは走っとんのや〜〜〜〜っ!!」









ドオオオオン……






「「「「「…………!!」」」」」






一瞬の出来事だった。


ヤマトがセルビスに吠えたのとほぼ同時、何かが後方で、それもあまり遠くない位置で爆発したのだ。


五人は一斉に足を止め、煙が高く登っていくのを言葉もなくただ眺めるだけであった。



「おい……確かあっちは……それにこの距離……!!」



表情に、悲壮の色を濃くしたアルエが呟く。




「昨日オレ達がいた村だ……!」




反響する爆音よりも小さな筈のソラの呟きが、五人の耳に強く響いた。






「……あのイビル達の仕業じゃ……」



セルビスがゆっくりと吐き出した、『あのイビル達』が誰のことを言っているのかは、明白だった。



「メディストルか……!」



ソラの言葉に、セルビスはゆっくりと頷き、語り出す。



「ワシは昨夜、村の周りを探ってみたんじゃが、その中にメディストルとやらを含むイビルの軍勢を見つけた……どうやら昨日の爆発もあやつの指示じゃったようでな……手近な村や町を爆破し、ワシらをいぶり出すつもりじゃ……」


「そんな……!それじゃあ私達が逃げ続ける限り、犠牲が増える一方じゃない!」

「かといって、あんな軍勢相手に真正面から戦って勝てるわけあらへんし……」



敵も手段を選ばなくなってきているようだ。敵にもし、美学が欠片でもあるならば、このような無様で下劣な策などとらないだろう。しかし、それが効果的であるのも事実。これでは、こちらが逃げ続ければ、その通過点の町や村を滅ぼすことになる。






「……この森の中でケリをつけよう」




解決策を提示した一人……即ちソラに、残りの四人は注目する。


「つっても正面切って戦う訳じゃねぇ。要は昨日宿で話してたことさ。とにかく、活動範囲を森の中に限定する。そして、地形を利用して少しずつ、奴らの数を減らしていくんだ。」


少人数で犠牲を最小限にし敵の戦力を削る、いわゆる『ゲリラ戦』。それがベストであることは皆分かっていた。だがこの戦法は犠牲の代わりに時間が必要となる。長期戦は必至だ。


ましてやこれから活動範囲を森の中に限定するとなると、満足に睡眠もとれず食事なども自給自足で賄っていくしかない。過酷な戦いになるだろう。



しかし、五人の中にはこれに反対する者はいなかった。



「そうと決まれば策を練らねばのう……皆、集まれい」



セルビスの掛け声で、五人は小さく円になった。



かくして、メディストル率いるイビルの軍勢と、ソラ達五人による長い戦いの幕が、切って落とされる……。






感想、評価お待ちしております。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。