第1話:生きたい
ソラが町に向かって歩いている頃…
町の近くの林の中で一人の少女が歩いている。
神々しい感じの白っぽいローブを着て、藍色の髪はポニーテールのように結ばれていた。
だが、その少女の表情は険しかった。何かによって苦しめられていたのだ。
呼吸は乱れ、汗も多く、今にも倒れそうだ。
少女を襲うのは全身に広がる強い……痛み。
体の内側から外に向かって膨らむように広がる
激痛はちょっと気を抜いただけで体が破裂するのではないかと思うほどだった。
苦し紛れなのか、左腕を見る。左腕にはマッチ箱のような形の機械が装着されていて、それには何かに反応しそうなセンサーみたいな窓と、目盛りが付いていた。
目盛りの残量はほとんど残っていなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
必死で体を動かそうとする。しかし……
ガクンッ!
足は限界に達していて、力が抜け、転ぶように倒れてしまった。
すぐに立ち上がろうとするが、もう腕を動かす力も残っていなかった。
「ハァ…ハ…ハハ…」
少女は動けなくなった自分が情けなくなり、笑い始めた。
「何やってんだろ…私…
何で……こんなことになったんだろ…。」
でも……これで良いのかも知れない。
アッパースカイで与えられたつまらなくも楽しくもない仕事をこなして、日に日に力を増してきたイビルに怯えて逃げ回って、食べて、寝て、起きて、また仕事して、イビルに襲われて…こんなことが何日続いたかなぁ…
…とうとうアッパースカイから落ちて、
今、私は………死ぬ。
アッパースカイから落ちたら、まず生きていけない…もうこのどこかも分からない場所で私は終わりか……
もはや、言葉も出なかった。
小屋から歩いて十五分、
ソラは町に到着した。
『ナルグの町』。
小さな町だが、
活気がよく、店も一通り揃っている。
ソラはすぐに町の商店街に入った。
「まずは野菜だな。それから魚と…肉と…米は重いし最後だな。」
というわけで八百屋から回ることにした。
「いらっしゃい!何にしやす?」
「そうだな…じゃあじゃがいもと人参と大根と………」
林の中……
一人の少女がうつ伏せに倒れている。まだ意識はある。だが、全く動けない。そんな彼女に対し、容赦なく激痛は襲う。
(……痛い……何で…?何でこんな目に会わなきゃならないの…?早く…早く私を楽にしてよ…早く私を自由にしてよ…早く私を…
…殺してよ……!)
彼女は痛みに苦しみながら、そんなことを考えていた。
(あとどれくらいだろう…私が死ぬまで…
早く死ねたら楽だろうなぁ…死後の世界ってどんなものかなぁ…そこで今度こそ楽しく……)
そう心の中で出かかった瞬間……
彼女の瞳から一筋の雫がこぼれ落ちた。
(楽しく……過ごせるかなぁ……)
彼女はまた考えた。
つまらなかった日常の繰り返しを、敵にいつ殺されるのかと怯える日々を、そしてその度にいつも
(明日はきっと楽しくなる)と信じて、願ってきたことを。
そして……今も。
楽しく生きていきたい、
笑って生きていきたい、
生きたい!…と。
しかしその時、目が………閉じていく。
(嫌だ…ここで目を閉じると……もう………
……だ………め………)
…ダダダダッ!
「……ぉい!おいっ!」
……………………………
私のぐだぐだな文章をお読み頂きありがとうございます。
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