第12話:子供との接触
1ヶ月以内いけました!
よかったです……
でも来月から学校なんで投稿ペースが分からなくなります……
第12話、どうぞ。
五日前のことだった。
町の片隅、海水浴場近辺に、『人ならざる者』が三体現れた。
それは、人の形をしているが、その全身は緑の鱗に身を包まれ、手足には黒く鋭い爪が生え、指の間には水かきがあり、頭はまるでトカゲのよう。
すぐに町はパニックになった。
人々は奇声を発して逃げていった。が、逃げ遅れた町人が七人、奴らの爪と牙の餌食となってしまった。
約半刻してやっと警備隊が駆けつけた。警備隊は奴らと剣で応戦し、十二人の死者、重軽傷者を出したが、奴らの打倒に成功した。
次の瞬間、奴らは黒い粒子状になったという。
―――――――――
「すぐにこの話は町中に広がって、あの海は呪われているって言われるようになったって訳さ」
町人はそう、ソラ達に話した。
「その子供に何の用かは知らないが、あの海水浴場に近づくのは止めた方がいい」
「……なぁクレス…」
ソラがひそひそ声でクレスに話しかける。
「イビル……だよな」
「多分…そうだと思う」
「そうやとしたら…放っておけへんな」
三人は一斉に海水浴場に向かって駆け出した。
「おい!行くなって!俺が話した意味がないじゃないか!
あ――もうこれだから脇役の待遇ってのは!!」
後ろで脇役がそう叫んでいた。
「ううっ!」
海水浴場で、苦無を持った子供が木に叩きつけられていた。
その目線の先には、怪物。
「く……!何故体が動かない…?昨日まではこんな奴ら……!」
ふと顔を下に向けると、子供の顔は青ざめた。
今気付いたのだ。ペンダントをなくしたことに。
「あっ…!」
そして、その一瞬が命取りになる。
気付けば怪物の爪が既に目の前に来ていた。
「しまった……くっ!」
子供は目を瞑った。
その時、子供の左から閃光が走った。
「ギャア!」「グエ!」
閃光に当たった怪物達は子供を引き裂くはずだった爪を引っ込め、閃光から逃れるように飛び退いた。
「おーい!大丈夫か!」
閃光の出所を見ると、男二人と女一人。女は右腕をこちらに向けている。
光を当てられた怪物数匹が一斉に彼らに襲いかかる。
「来たでお二人さん!構えや!」
男二人は剣を抜き、女は右腕を前に突き出す。
三人は強かった。男達は襲いかかる怪物達を次々と斬り倒していった。女は右腕の妙な機械からさっきと同じ光を放ち、怪物を寄せ付けない。
しかし、子供は彼らの会話に耳を傾けていた。
「今までのサルみたいな奴とは違うな!これもイビルなのか!?」
「ええ!見たことないけど、太陽の光で怯み、倒せば粒子状になる………間違いなくイビルよ!」
「けど、ライオンよりは幾らかマシやな!」
(彼らはこの怪物達と戦ったことがあるのか………?)
戦闘が一時止まった。
怪物達が迂闊には勝てないと本能で悟ったのか、飛びかからずに様子見に入ったのだ。
対するソラ達三人は固まって、体勢を整える。
「あいつら喋らないみたい……知能は落ちているのかな?」
「でも力は前以上だ…」
「パワーアップだけを重視して知能を犠牲にしたんやろうか」
「そんなバカな…機械の量産じゃないんだからさ……」
ふとソラがクレスの顔を見ると、何やら悲しそうな表情になっていた。
(どうしたんだ……?)
……………………
「来るでお二人さん!」
「「!!」」
「でやあぁぁ!」
バシュッ!
「グエェッ!」
隙が生まれ、引き裂かれそうになったソラとクレスを、間一髪ヤマトが救った。
「何やっとんねん!連中こっちの隙をきちんと伺っとるで!」
珍しく二人を叱責するヤマト。
「あ…ああ……悪かったな……」
二人は叱責を受け咄嗟に構え直した。
それを見た怪物達は隙がなくなったと判断したのか、ソラ達三人から離れ再び膠着状態になった。
「はっ!」
その時、外部にいた子供には一瞬見えた。
ソラのズボンのポケットに、自分のペンダントが入っているのを。
「おい、金髪の人っ!」
子供は突然大声でソラに呼びかけた。
「「「えっ……」」」
当のソラだけでなく、クレス、ヤマトも驚いた。
「「「お、女の子ォォォ!!?」」」
凜とした声だが、それは女の子の声だった。
ずっと少年だと思っていたのか、三人はそっちにまず驚いた。
「そのペンダントをこっちに投げろ!」
「はぁ!?この状況で何言ってんだよ!!それより加勢してくれ!!」
「早くしろ!それを渡してくれれば加勢『出来る』!!」
「加勢……出来る?」
ソラは子供の言葉に違和感を覚えたが
「早くしろ――っ!!」
「……ええい、分かった!」
渡すことにした。
「だがここからじゃ届かない!少し近づけるか!?俺達も行く!」
「分かった!やってみよう!」
ソラ達が子供の方向に飛びかかると同時に、子供も動き出した。
それぞれ怪物を斬り伏せながら、怪物に気付かれないように、接近を試みる。
しかし、あと少しのところで子供は怪物達の感知領域内に入ってしまった。
怪物達の目線がジロリと子供に向けられた。
「しまった!」
「うおおおおお!」
叫び声を上げながら、ソラの剣の刃が四方八方に舞う。
一瞬子供に気をとられた怪物達が、数秒の間に黒い粒子となって消えた。
そうして、ようやくソラと子供の接触に成功した。
「ほら、ポケットから見えてんだろ!取れ!」
「よし!あとは任せろ」
「へ?任せろ?」
ソラがすっとんきょうな声で疑問を述べる間に、子供はソラのポケットからペンダントを取り首にかけた。
すると、ペンダントに埋め込まれた宝石が青く光りだした。
「……よし」
そして子供は、苦無を抜き、怪物の群れに向かって駆け出した。
怪物達の中を一陣の旋風が駆け抜け、通り過ぎた怪物達が悲鳴を上げていく。
「きゃあ!」「ぬお!」
旋風はクレスとヤマトの周りの敵をも駆逐し、気付けば、怪物は全滅していた。
三人は口を開けるしかなかった。
前書きの通り次の投稿がいつ出来るか分かりません。
しかし、投稿を途中で投げ出すことはしません。
必ずやり遂げますので、どうか気長にお待ち下さい……