表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

アレクサイトとアレクシア2

 豊穣の神アレクサイトは男神、戦の神アレクシアは女神である。

 双子で生まれた2柱は、元々はアレクシアが豊穣の神になるはずだったのだ。




「嫌、やらない」

「どうして?」

 ルクレーシアの問いかけに、アレクシアはうつむいて答えない。

「……母様は、兄上や姉上には好きに選ばせたのに、何故私達は決まっているのですか?」

「豊穣と戦いの神は必要だと、あの子達が言ったのです。自分達が決めた後にね…。あなた達がどうしても嫌ならば、新たな神を産み出さねばならないでしょう。そうね、それも、あの子達にやらせましょうか」

 ルクレーシアは考え深げに小首を傾げた。


「ううん。私も必要だとは思うの。新たな神に役目を振るよりも、私達がやるべきだと思うの。──でも」

 アレクシアは言葉を切った。思い悩むアレクシアを心配そうに見るアレクサイトは、自分の考えを口にする。

「う~ん。兄上や姉上が自分で決めた役目も、僕達には出来そうにないものね。豊穣と戦いは、世界には必要。僕はやっても構わないけど、シアに任せるよ」

 アレクシアは眉をしかめ、思い悩んでいる。


「シア、ならば何が問題なのですか?」

 ルクレーシアは問いかけた。何を思い悩んでいるのか聞かせて欲しい、とルクレーシアは優しく微笑んだ。


「だって母様! 絶対に言われるもの。豊穣の女神のくせに、胸が残念だって!!」

「それが理由なのですか?」

 上の姉達に比べれば、確かに寂しい胸元である。豊かな実りを与える神には、豊かなイメージがつくだろうが、だからと言って…。ルクレーシアは、アレクシアに目をやる。


「シアはそこが可愛いのに」

 そう言って胸に触れたアレクサイトを、アレクシアは容赦なくどついた。

「サイの馬鹿!!」

「女性に失礼ですよ。サイ」

「ごめんね」

 アレクサイトは悪びれずに笑っている。


「そうだ母様! 私が戦いの神やる! それならいいでしょ?」

「そしたら、僕が豊穣の神になるの? ……うん。別に構わないかな? 戦いって、苦手だしさ」


「あなた達は……。それでいいなら、構いません。好きになさい」

 新たな神を産み出すよりは、よっぽどいい。ルクレーシアは思った。



 アレクサイトは戦いが苦手と言ってはいるが、純粋な強さで言えば、兄弟随一である。

 力だけで言うならば、長兄には一歩劣るが、戦いのセンスがずば抜けている。長兄と戦って勝てるのは、アレクサイトだけだろう。だが、性格が優しく、どこかおっとりしているので、争い事が嫌いなのだ。確かに戦いの神には向いていない。それに比べるとアレクシアの方は、喧嘩っ早く、豪快な性格なので向いているだろう。


「お互いに力が必要になったら、助け合いなさい。それを条件として許可しましょう」

「やった! ありがとう。母様」

 アレクシアは満面の笑みで母に抱きついた。




 このようなやり取りがあったと、人界で知る者はいない。


 兄妹神の中で戦にたけたアレクシアが戦を。

 世界を巡り、植物を、自然を愛するアレクサイトが豊穣を司っている事に、疑問を持つ者はいなかったのである。



この次のお話は、いつになるか未定です。

いくつか設定はあるのですが、他のお話を優先しようと思っています。

突然投稿するかもしれませんが(^-^;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ