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崩壊世界の最後の希望  作者: 榊原
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018【お買い物】

 育真とヘレが迷宮から出る。外に出た頃はまだ昼過ぎであり直ぐに家に帰るには聊か早いという時間帯。カウンターで剥ぎ取り品の買取を受け取りそれをヘレに育真が渡そうとすると、今まで世話になっていたのに等と言いながら受け取ろうとしない。



「これはヘレがしっかりと自分の力で倒した結果なんだ、だからちゃんと受け取れ。それにだ、これから暮らしていくのに何時までもその服一つ、二つだけじゃ話にならないだろう? その金で帰りに服や必要な品を買って帰ろうと考えてるんだからな。俺が出しても良いが、ヘレはそういうのを気にする方だろう?」



 それに何でもかんでも俺がやっても駄目だしな、という様な事を育真は考えながらヘレを説得していく。それを聞いて渋々という様子でそのお金を受け取り礼を言ってくる。それに軽く首を振っていくかと伝えながら管理局を後にして近場にあるデパート、というにはこじんまりとした店へと二人は入っていく。

 中は女性から男性までごちゃごちゃっと多数の人がいる。老人から若者まで、この服買ったんだ! この香水狙ってたのに売り切れてるぅ! どうだ? この腕輪かっこよくね? 等と色々な声が響くだろう。二人はそんな中を見回りながら必要な物を揃えて行く。

 ヘレ用のコップや歯ブラシ、今まで使っていた布団はあくまで一時的に育真が用意した物だったので、新たに布団等、そして服を見て回る。



「育真さん、これなんてどうですか?」

「育真さんはこういうのは嫌いですか?」

「育真さん的にどういう物が良いんですか?」



 育真は薄々と買い物を始める前から感じつつあり、そして買い物が始まってからだんだんとその感覚が強まっていた想いを新たにする。懐かれているというよりもとんでもなくやっぱり依存されてるよなこれ、と。

 とにかく全てに良いんじゃないかという事を言えない事は先の買い物で解っていた。何せ育真が良いと言った物は全てそれで決めて買ってしまうのである。ただ、その選ぶ物が意外と良く見ている物で育真が使っているのと似ている物や同じ物を選んでこれはどうですかと聞いて来る当たり、本当に記憶力等が良いのだろう。



「ヘレの髪の色が白いからな、白色より黒色とか赤色、青色辺りが良く映えるんじゃないか?」



 等と必死に考えた言葉を返していくが、育真はこれまで服装などに気を使った覚えが殆どない。ましてや自分の物でもそうなのに女性の物等解るかと叫びたくなるのを抑え込み、考えを巡らせていく。



「はい! ならこれにしますね、後これもですね、育真さんはこういうヒラヒラしたのが好きなんですね」



 そんな答えを聞いた後ヘレが選んで買っていったのは普通の薄でのシャツとスカートを何着か、そしてゴシックロリータと呼ばれる類の黒いドレスの様な衣装と赤いドレスの様な衣装の二着であった。



「なっ!? 誰がっってもういないっ!?」



 そして育真がその答えに驚き違うと返事を返そうとした時には既にヘレはそれをレジへと持って行って会計しているところであった。ヘレがその二着を買ったのは育真がちらちらとそちらのドレスを見てヘレを見てという事をしていたからである。



「(あ、育真さんこういうのが良いのかな?)」



 等という事を考え、他の服を選んだあとサイズだけを確認してそのままそれを手に取って会計に向かったのである。ちなみに違うと叫ぼうとした育真であるが、実際の所は別段間違いでも無かったのではないかと言う考えをしていた。



「(あの身長だしああいう服を着ると映えるだろうなぁ、あぁ黒じゃなくて赤い方も良い感じになるか?)」



 等という事を考えていたのだから。

 ニコニコと笑いながら久しぶりの買い物が嬉しいのか、それとも他の何かが原因なのかヘレは笑みを楽しそうな嬉しそうな笑みを浮かべて買った袋を抱えて行く。育真が持つと言ったが自分で持ちたいと言ってきかずそんな事になっている。



「んじゃこれ位か?」

「あっ、あの、後一ヶ所だけ良いですか?」

「あぁ? 全然かまわんぞ、どこに行くんだ?」

「えっと、その」



 育真がこれで一通り必要な物は買いそろえたかなとヘレに尋ねれば、ヘレが少し頬を赤くしながらもう一ヶ所寄りたい所があると言ってくる。そして尋ねれば少し俯いた後、答える事無く恥ずかしそうに足早に歩き始めて行った。

 育真は小首をかしげそれに続き、そして逃げ出した。ヘレが向かった先はランジェリーショップで合った。



「(お願いだからそういう場所に行くときは言ってくれ!? 恥ずかしかったのは解るけどそれならせめて一人で行くとかそういう事をだな!?)」



 等という事を内心で騒ぎながら逃げ出したが、ある程度以上距離を開けようとするとヘレが振り返りてってってと駆けて近づいてくる。その表情は不安げに揺れている。チラチラとランジェリーショップに視線を投げながらも育真が離れて行くのを見て少し残念そうに諦めた様な表情で育真の元へと戻ってきた。



「あの、まだ暫くは今まで使っていたのだけでも何とかなりますし、帰りますか?」

「(……えっ? 何これ、此処まで何? 此処まで酷いレベルなの? 見えない場所に言ったらいけないレベルで依存してるの? やばい、これはやばい)い、いや。買いたいなら買ってきても良いぞ、俺は取りあえずあれだ、そこの喫茶店で待ってるから」

「い、いえ! だ、大丈夫です!」



 育真がそんな事を考えながら店の向かい側にある喫茶店で時間を潰しているからというと、その表情に不安色を強くして大きく首を振る。見えない所に行ってしまう事が怖いのだとでも言うかのように。

 それに頭を抱えながら、葛藤し、肩を落として育真はそれならランジェリーショップから見える近くのベンチで待ってるから買ってくると良いと力ない声でヘレに伝えていく。男がこの辺りで待っているというのは非常に居心地が悪い、奇異の視線で凄く見られるのだ。



「あの、でも、ご迷惑を」

「良い、取りあえず良いから行ってこいって、うん」



 育真の様子におろおろと遠慮し始めるヘレだが、育真が何度かそのやり取りをした後に何度か振り返りながらランジェリーショップの中へと入っていく。それを見て、ヘレの姿がちょこちょこしか見えなくなった時点で小さく溜息を付く。



「あぁ、これ、完全にやっちまったパターンだよな」



 そして天井を見上げる。その場を収める為にとにかく返事をしたのが悪かったと、ちゃんとヘレの状態を考えて、予想して言葉をかけなかったのが悪かったと育真はあの時こうしていたら等を考え、頭を振って今更考えてどうなるんだかとそれを振り払う。



「(時間が解決するって事もあるだろうしな、取りあえず少し時間をかけて様子を見てかね。一時的な物って可能性もあるしな)」



 ちらちらとランジェリーショップの中から育真がいるのを確認しながら品物を選び、買い物をしていくヘレの様子を時折確認しながら、周囲の何でこの人此処にいるのという視線に耐えながら育真は肩を落とし、今度は地面を見つめながらそう考える。

 その育真にとって迷宮にいるよりも辛いような時間はそれからニ十分余りも続き、ヘレが帰って来た時には疲れた表情で帰るかと言葉を投げるのであった。

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