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 エスメラルダが甲板へ上がってきた時には、士官候補生達は既に全員海に投げ込まれた後だった。

「遅かったか……」

 船べりから海面を覗き込みながらエスメラルダが一人呟いていると、イーグルが近づいて来た。

「早速、やられたな」

「ええ」

「まぁ、遅かれ早かれこうなるさ。誰でも通る道だ」

 イーグルの言葉に、エスメラルダは思わずくすりと笑った。そう遠くない記憶が蘇る。

「そうですね。でも、止めないと……」

「で、一緒に海水浴か?さわらぬヴァーサにたたりなしだ。それに、ほら……」

 イーグルは目顔で、船尾を指し示した。

 丁度、船は操帆作業も一段落した所で、手の空いている船員達は、この大騒ぎを見物しようと、次々と甲板に集まり始めていた。たいした娯楽も無い船の上ではこんな椿事も娯楽のひとつみたいなものだった。中には海面に向かって野次を飛ばしている者もいる。もちろん、ブリッジにもこの騒ぎは届いているのだろう。エスメラルダは困ったような顔をして再び海面を見つめた。


 一方、海に投げ込まれたサグレス達はそれどころでは無かった。甲板から投げ込まれてどうにかこうにか海面に顔を出した時には、船は思ったよりも先へと進んでいた。

「泳げってか……?」

 むろん、島国育ちのお陰で流石にカナヅチはいないものの、風を受けて帆走する船にかなうわけは無い。しかし、お互いに顔を見交わすが良い考えなどあるはずも無い。思ったよりは大きな波も無いようだった。

「しょーがねー!」

 サグレスは、抜き手を切って泳ぎ始めた。シナーラも後を追う。結局皆泳ぎ始めた、その時……


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