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 しばらくの間は海上での砲撃戦となっていた。互いに次々と砲を打ち合うが、しかし距離もあるために決定打となる一撃を加えられずにいた。

「あれ……?」

 デワルチが腑に落ちないという様に呟いた。

「何か?」

 グロリアが問い返す。

「何かおかしくないか?この船……」

「おかしいって?」

 グロリアとデワルチがひそひそ声で話すのを近くにいたグァヤスが耳聡く聞きつけた。グロリアとデワルチは気味悪そうに大砲を見つめている。

「だから、なんだよ」

「いえ、ね。不発の砲が無いな、と」

「へ?」

「陸の上じゃないんだから、こんなにどかどか破裂する訳、無いだろ」

 すかさずデワルチがこんな事も知らないのかと馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

「いけないのかよ!お前、向こうの見方か!?」

 こんな状態なのにグァヤスはデワルチに掴みかからんばかりだった。慌てて周りが押さえにかかる。

「どっちだって良い事じゃないか?こっちの方が多く弾が飛んでいるんだから」

 サグレスも話に加わってきた。そこへ、士官候補生達が固まってひそひそやっているのに気がついたエスメラルダもやってきた。

「いかに、シークラウドが管理に気を付けているかと言う事ですね。それよりそれぞれの作業に戻りなさい。目の前に敵がいるんです。これを切り抜けないと、この間の船と同じ運命を辿りますよ」

 サグレスは海底に見つけた青鷹の船首像を思い出して背筋が寒くなった。皆も同じ思いだったらしく、みるみる緊張感を取り戻し慌てて甲板に散って行った。

「あちらもその事に気づいてくださると助かるんですがね」

 エスメラルダは海上の敵船に向けて呟いた。しかし、その声は激しい砲撃と怒声にかき消された。


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