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 船鐘を誰かが激しく叩いていた。しかし、甲板に出たシナーラにはその意味は理解できていなかった。ただ、目の前を逃げて行く2人を追って行く事だけが頭にあった。そして、甲板の上で騒ぎの張本人達は徐々に追い詰められて行くはずだった。そもそも大海に浮かぶ船の上に逃げ場などありはしないのだ。

「止まれ!」

 取り合えず声を張り上げてみたが、もちろん相手方は止まらない。しかし背後からの応援の気配に勇気を得て、そのまま追跡を続ける。そして追い詰めたところにシークラウドが現れた。しかし、頼みの綱のシークラウドは苦い顔をしていた。

「俺達はついてるな」

 シナーラ達を嘲笑うかのように男達は振り返った。イーグルに率いられて、休んでいたはずの他の士官候補生達も周囲を取り囲んでいた。じりじりとその包囲の輪は縮められていく。その逃れられない状況で信じられない事が起こったのだった。


 それまで船鐘と共にドラ声で叫ばれている内容をシナーラはやっと理解した。

それは「敵襲」と言っていたのだった。その時、轟音と共に目の前の海面に大きな水柱が上がった。それにつられて船が大きく揺らいだ。

「しまった!」

 イーグルが叫んだ遥か先の海上に薄靄の中、明らかに一隻の帆船の姿があったのだった。そして、その射程ギリギリの所から<我が女神号>を砲撃しているのだった。

「これからが大変だな。オレ等はここらで消えるぜ」

 船員の一人がニヤリと笑うと、二人の船員はさっと海上に身を投げ出していた。追う間もなく、次ぎの砲弾が先程より近くの海面に着水して派手な水音を立てている。士官候補生達にとって初めての実戦になりそうだった。


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