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「……シークラウドはキャプテンに信頼されてるんだね」

「え?何」

 一人考えこんでいたサグレスは、シナーラに話しかけられて我に返った。

「だから、シークラウドってああ見えても凄いんだねって事」

「そうか?タダの変人にしか見えないけど」

「う……ん。それはまた別の事だと思うけど。でも、船内で火も刃物も許されているのってシークラウドだけじゃない?」

「そういえばそうだな」

 サグレスは口ではそう応えたものの、今一つ半信半疑だった。その時、時刻を告げる鐘の音が響いた。

「いけない。もう交代の時間だ。デワルチとグァヤスを起こさなくちゃ。それにそろそろ僕等も休まなくちゃね」

「そうだな。後から行くから、先に行っててくれ」

「了解。次のワッチでね」

 慌てて、シナーラは船内へ戻って行った。後に残った事をサグレスはシナーラに変に思われないか、不安だったが、もう少し一人でいたくて一人甲板に残った。

 相変わらず海は緩やかな波を送っていたが、しかしさっき考えていた事は頭の中からすっかり抜け落ちたのか特に何も思い浮かばず、やがてサグレスもため息ひとつ残して船内に向かって行った。


 船内に入るとサグレスは狭い通路の先で普段は鍵の掛かっている倉庫の一つの扉が細めに開いているのに気がついた。何気なく扉を押し開けると、僅かに軋みながら扉は内側に開いた。中では幾つかの箱が開けられているのが見えた。

「?」

 扉から覗き込んでいたサグレスは唐突に後頭部を殴打されて意識を失った。


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