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大きな揺れに体勢を立て直しながら移動するのは、容易な事では無い。しかし足早に狭い通路を進んでいくシークラウドに遅れまいと必死にサグレスとシナーラは足を急がせる。シークラウドは下へ下へと向かって行くようだった。
今まで最下層だと思っていたところは居住スペースの……と言う意味だったようだ。サグレスは上げ蓋を引き揚げたその下に、更に狭い階段が続いているのをこの時初めて知った。そして、その先は明かりの無い真っ暗な穴倉になっている様だった。目を凝らしてみても、闇の先には僅かに波音が聞こえるだけだった。シークラウドはその段を後も見ずに降りて行く。サグレスはシナーラと顔を見合すと、順に後にその続いた。そしてこの段は普通のものよりも長いらしく、なかなか床に着かなかった。辺りは真っ暗だったが、いつの間にか用意良くシークラウドが灯りを灯して先を行くのだけが僅かな光源になっていた。しかし、足元が暗いのでサグレスとシナーラはやや遅れてしまっていた。
「ちきしょう!!」
しばらくして、先に下に着いていたシークラウドが絶叫した。見ると、シークラウドの手にする灯りに床一面がちらちらと光っている。シークラウドの足首まで水が来ているのだった。
「浸水……?」
サグレスとシナーラは互いの顔が引きつっているのを見た。




