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その頃、食堂も大混乱に見まわれていた。テーブルこそは固定されているものの、椅子や皿などはむろん固定などされていない。だからと言って、食べるのを止めるわけにはいかないサグレスは、遂には皿を抱えて立って食べるはめに陥っていた。
「なんか、食った気がしないな……」
同様に立って食べていたデワルチがぼやいた。
こんな状況でも、育ち盛りの4人は出された食事は綺麗に平らげていた。味が魅力的な事も彼らの食欲を旺盛にしているところもある。
それぞれに食べ終わると順に厨房に皿を戻しに行く。その時一際大きな揺れがあり、通路の方で物の落ちる音がした。
慌ててグァヤスが様子を見に飛び出して行く。通路には食器を片付けに来たらしいエスメラルダが、取り落とした皿を拾い上げていた。船の揺れは収まるどころか酷くなってきていた。
「大丈夫ですか?」
グァヤスは拾うのを手伝いながら、エスメラルダに声を掛けた。エスメラルダは狭い通路のどこかに肩をぶつけたらしく、やや庇いながら片づけを続けていたがグァヤスに気づくと柔らかい微笑みを向けた。
その時、突然厨房の中からシークラウドが飛び出してきた。通路に出る前に振り返ると候補生達へ声を掛ける。
「おかしい。2人、ついて来い」
すぐにサグレスとシナーラが後に続いて食堂を出た。シークラウドは一目で通路の状況を見て取ると、エスメラルダに声を掛けた。
「お前は上に行って、押さえておけ!この揺れはおかしい」
これを聞くとエスメラルダの顔色が変わった。手にした食器をグァヤスに押し付けて立ち上がると後も見ずに狭い階段を駆け上がっていった。
「俺達も行くぞ」
シークラウドは更に下の階層に降りて行った。




