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教会にて 2 


 父さんは真剣なまなざしで僕のほうを見ている。


「このことは私たちの秘密だ。エミルには私が伝えておく。カールには申し訳ないが、ギフトなしで得意属性はやっぱり水属性と風属性だったと伝える。」

「え? 兄さんには内緒なの?」

 

 兄さんにも内緒なのか? というかなんかやばいことに首を突っ込んでしまった気分だ。だた教会に来ただけなのに。


「仕方ない。もしもこのことが漏れたらお前は即効国に管理され、騎士と一緒に訓練ばかりで、非常時に駆り出される。それだけの存在になるぞ」


 まじで、僕は希少価値がかなり高いらしい。国家兵器に近い存在になってしまうってことなのか? まあ、人ひとりじゃさすがにどうしようもないけどな。


 てか司祭さんはこのこと聞いてるけど大丈夫なの!?

 

 そう思って振り返ってみると、それを知ってか、僕に語りかけてくる。


「元々教会の者は神のもとに制約をかけているため、この中であったことはおもいだせなくなるのですよ。」


 何その制約!? めちゃくちゃすごいよ!

 

 というかこの世界って神様は一人しかいないらしいし、それも個体名称はなし、思ったよりも干渉しない神様なんだろうか?



 そんなこんなで、父さんとは約束を交わし、部屋を出て司祭さんにお辞儀をして父さんの後をついて教会を出ていく。



 そういえば、今日は街の宿に泊まるらしい。それで明日、村に来る行商の馬車に乗せてもらうらしい。

 

 よかった。こっちに来る時、休みながらで8時間かかったし。たぶん、ちっちゃいせいだな。早く大きくなりたい。


 

 ひとまず宿に到着した。

 夕食も食べ終わり、父さんと同室で寝ることになった。


 今父さんは「少し出てくる」とか言って外に出て行ったので、氷の魔法の練習でもして待っていようかと思い、魔法を発動させてみると、確かに氷の魔法が発動したし、部屋にあった水も氷に変化させることもできた。

 

 

 それにしても、チートではないにしろ、問題ありというのはわかった。

 ひとまずは氷属性とギフトがあることを秘密にする必要があるのか。


 ギフトはなにもしなくてもばれる可能性は少ないだろ。それこそ、ずっと一緒にいない限り。

 ただ、氷属性だ。一人の時ぐらいにしか使えないじゃないか。後はもしもの時だろ。

 でも、もしもの時にわざわざ氷属性を使う必要性が感じられない。何か工夫して使うしかないか。




「アーサー起きろ。もう朝だ」


 いつの間にか寝てしまったらしい。

 すでに朝になり、父さんに起こされる。


 そのまま準備をして宿で出される朝食を食べ、宿を出る。

それにしても、母さんの料理のほうがおいしいとは、母さんって料理うまかったんだな。もっと感謝して食べよう。


 

 街をぶらりしたかったけど、今日はそんな時間がないらしくて、今回は街の探索というか、武器屋とか見てみたかったものの、我慢をするしかない。

 さすがに歩いて帰りたくはないし。


 そして、馬車が止まっている場所に到着する。

 これが馬車か。想像のまんまだ! これだと、たぶんお尻が痛くなるんだろうな。でもうちの村までは意外と整備されているから、そこまでじゃないかも。

 とか考えて、馬車のほうを見ていたら、父さんが行商人の人と話をしていた。


 あれ? 行商人の隣に小さい可愛らしい女の子がいる。娘さんなのだろうか? なんだか品のようなものを感じるような気がするが、

 とか思っていたら父さんに呼ばれる。


 「アーサー、あいさつしろ。今回乗せてもらえる行商人の方だ。」

 「あ、はい。アーサーです。今日はよろしくお願いします」


 行商人の方に挨拶をする。それにしても、行商人さんは意外と、30歳過ぎであろうか、大人なイケメンオーラが少し漂っている。


「どうも、おはよう。アーサー君だね。私は行商をやってるランデルランスだよ。そして、うちの子のエリエノールだよ。アーサー君と同い年だから仲良くしてやってくれ」

「えっと、エリエノールです。5歳です……」


 挨拶してくれる。さらさらな長髪に可愛らしい顔が際立っているかのようだ。それにきれいなペンダントをしている。少し恥ずかしがっているらしくて、すぐにランデルランスさんの後ろに隠れようとしている。

 僕もしっかり挨拶を返さなければ!


「僕はアーサー、エリエノールよろしくね」

「あ、はい……」


 ちょっとの返事を返されて終わってしまった。

 ランデルランスさんはそんな僕らを見てから、荷台に乗るように促してくる。


「じゃあ、そろそろ出発しますね。必要なものはすでに積んであるので」

「あぁ、じゃあよろしく頼む」


 父さんがその言葉に答え、ランデルランスさんは御者台に、僕と父さん、エリエノールも荷台のほうに乗る。



 門をくぐり、少したつと父さんとランデルランスさんが世間話をしている。そのせいで僕とエリエノールは無口の状態が続く。


 父さん、何をしゃべればいいのか分からないです。助けてください! 

 と念じながら、父さんのことをじっと見つめる。


 すると、父さんも気づいたのか、僕に向かって話しかけてくる。


「アーサー、エリエノールちゃんに魔法を見せたり教えてやってくれ。魔力を放出するところまでは習得したらしい」


 父さんはそう言ってくるが、魔法を覚えるのって7歳あたりから、覚えるんじゃないか。ずいぶん早くないかな。


 「おい、アーサー。魔法覚えるのが早くないかとか思ってるかもしれないが、お前のほうがずいぶん早いぞ」

 「あ、そうだった」

 「そんなわけだ、馬車もそんなに揺れていないから魔法ももんだいないだろ」

 「わかった、教えてみるね」


 と僕は父さんとの会話を終了し、エリエノールのほうに向きなおって話しかける。


「ということで、聞いてたかもしれないけど、魔法をエリエノールに教えることになったのでよろしく」

「はい。よろしくおねがいします。あと、エリーと読んでくれていいですよ。父さんもそう呼ぶので」

「わかった、エリー。じゃあエリーも敬語はなしでお願い」

「あ、そうだね。よろしくアーサー君」


 そんな会話をしながらエリーに何を見せて教えるか考える。

 まぁイメージがしやすいように、一通りの属性の色を見せて、できる魔法の何個を見せればいいかな。


「じゃあ初めに全部の属性の色を見せてみるから、僕の手のひらを見ててね。そんな濃い色にはならないから、しっかりみておいて」

「え? ぜんぶ?」

「うん、さすがに闇はできないけど」


 なぜかちょっと驚いているみたいだ。でも得意属性じゃないのは初級に到達してないから、すごくはないと思う。


 そう思いながら、魔力に属性をつけるのを地水火風、そして光も説明しながら見せてみる。

 さすがに属性をつけただけで魔力を霧散させるのはもったいないし、魔法を発動すればイメージもつきやすいので、発動もさせてみる。


「とこんな感じだよ。出した魔力を圧縮して属性をつける。そしてイメージのままに魔力発動。まぁ言うのは簡単だけどね」


 エリーはなぜか目をキラキラさせて聞いている。あれなのかな。魔法が大好きなのかな。

 

 そんなことを思っていると、ランデルランスさんが父さんに話しかけている。


「ドラークさん。アーサー君はいつから魔法の練習を……」

「あ、あぁ、3歳からだな」

「な!? かなり早い。でもそれならわかる気がします。それにしても習熟が早すぎる気が……」


 あれ? なんか問題があったのか? なんだか驚かれることが多くなってきている気がする。

 何に驚かれているのかわからなく、父さんを見ると、父さんに小声で話される。


「お前が全属性の魔法を発動できていることが1つ。まぁこれは、理解が早ければまだ問題はない。だが、その魔法発動のスピードが思ったより速い。そうだな一般的だと5年訓練したレベルだな」


 3年分も短縮している。俺は何をしたんだ!? といっても、たぶん寝る時間も減らして訓練した成果だな。よかった。成果が出ているみたいで。

 母さんって細かいところは気にしない性格だからな。やっぱり教えるのに向いてないのではないかと感じてしまった。



 そんなこんなで、エリーに自分がわかっている分の魔法を少し教えていく。

 そういえば、エリーの得意属性は光らしい。光だと治癒が得意になりやすいから、将来は教会で働く可能性もあるってことか。

 

 それにしたって魔法は時間をかけなきゃうまくはならないのが難点だよな。

 



そしてやっと我が家があるコルカタ村が見えてくる。


一日しかたっていないのに、教会での出来事があったせいで、3日は帰っていない気分だよ。



 やっと帰ってきたぜ! 




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