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もう平和とは言えない冒険の書  作者: 飛鳥 友
第7章 ちび恐竜人たちの逆襲編3
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第99話

                  12

『シュパッ』『シュパッ』『シュパッ』墜落して地面にめり込んだままの円盤中央部分から、いくつもの光の点が発射される。

『ズーン!』光の点が地面に到達すると、そこには試技に使われた巨大ロボットが出現する。


「第8、第9分隊は正面右のロボットを攻撃。

 第1、第2分隊は中央のロボット、第3、第4分隊は正面左のロボットを攻撃してくれ。

 残りの第5、第6分隊は、基地のガードを頼む。」


 ミライの矢継ぎ早の指示の下、各分隊が攻撃態勢に入り、巨大ロボットに向かって行く。

『竜弾!!!』『竜砲弾!!!』『竜弾!!!』各恐竜人兵士から、全力の攻撃魔法が発射される。


「究極奥義・・・・・ 頭蓋骨割りーっ・・・・」

 タイガの究極奥義が炸裂し、巨大ロボットの体を真っ二つに裂くように、タイガ中隊長の軍刀がめり込んで行く。


『メキメキメキメキ・・』丁度巨大ロボットの腹部分にまで軍刀が達しようとした頃、急に速度が遅くなり、今度は逆に上方へ押し戻され、最後は弾き返されてしまった。


「ちいっ・・・、一体どうなってやがるんだ?」

 手加減なしの渾身の力で振り下ろしたにもかかわらず、巨大ロボットを寸断するどころか、弾き返されて元の姿に戻ってしまった。

 他の攻撃を受けた巨大ロボットたちも、魔法攻撃のダメージを全く感じさせず平然としている。


『ズッゴーン』そうして、その巨大な腕を振り回して、恐竜人兵士たちをなぎ倒す。

『ワアー!』『ウギャー!』何人もの恐竜人兵士の体が、宙を舞い飛ばされていく。


「そうか、我々の攻撃魔法や打撃力を試しに受けて、その破壊力に見合うだけの緩衝力を発生させているのだな。

 攻撃の特性さえ分れば、破壊力が数倍になったところで、緩衝力も同様に向上させれば打ち消すことができると言う事か・・・、充分な解析のための時間もあったという訳だ、うかつだった。」


 ミライが悔しそうに唇をかむ。

 銀河警察を名乗り、ダミーロボットに対して攻撃させたのは、各人の攻撃特性を推し量るためだったようだ。

 ミライの目の前を、恐竜人兵士たちが何人も弾き飛ばされていく。


 8、55,75,110・・・・・。

 上空のカウンターのフェスタの負傷者欄の数字が、どんどんと増えて行く。


「くそう・・・」

 ミライは軍刀を抜いて、中段に構える。


「フレン・ドアスカメッセ・・・極大寒波(ウルトザード)!!!」

 その時、後方から魔法が唱えられ、巨大ロボットは全て凍りついて動かなくなってしまった。


「ふう・・・、一瞬で凍りつかせるだけで、破壊力は大したことのない魔法だから、ミリンダが試技で披露しなかったのが幸いしたわね。

 この状態のまま、当分動かないでしょう。


 今のうちに何かで縛ってしまったほうがいいわね。」

 ミッテランが、後方から駆け寄って来た。


「ああ、そうですね。カーボンナノチューブとまでは行きませんが、特殊鋼の極太チェーンがありますから、すぐにそれで捕縛しましょう。」

 ミライが、まだ動ける恐竜人兵士に命じて基地まで取りに行かせる。


「どうやら、決戦はこの地で行われそうだし、魔法を見せていない者の方がいいのであれば、ゴラン君やネスリー君を呼び寄せたほうが良いようだね。」

 所長もミッテランの元へ寄って来た。


「分りました。おい、無線機を持ってこい。」

 ミライが命じると、すぐに通信兵がやって来た。


「仙台市か?こちら恐竜人大陸の竜ヶ崎だ。

 ネスリー君をこちらに向かわせてもらえないか?

 ついでに、西日本へ連絡を取って、ゴラン君にもこっちへ向かうように言ってくれ。


 決戦はこちらになりそうだ。」

 所長は、手渡された無線機のマイクに向かって、話しかける。


「こちらジミーです。

 先ほど、中南米でまた巨大石像が暴れ出したという連絡を受けて、現地へ行ったことがあるナンバーファイブ君が、ハル君を連れて瞬間移動しました。


 ネスリー君とゴラン君とホーリゥさんには、日本全体をカバーしてもらうよう、待機してもらっている所ですが、そちらへ行った方がいいですか?」


 無線機の向こう側からジミーの声が聞こえてきた。

 緊急通信を受けて、本部室代わりに仙台市へ移ったのだろう。


「いや、それだったら、彼らには日本に残ってもらっていてくれ。

 そちらが襲われたら大変なことになる。

 こちらはこちらで何とかする。」

 所長は、残念そうにうつむく。


「マイキーの国の方はどうなっているか・・・。

 こちら竜ヶ崎です。スターツ王子いますか?どうぞ。」

 すぐに所長は無線機の周波数を合わせ直して、マイクに向かって呼びかける。


「こちらスターツです。

 現在、地中海方面で、またもやスフィンクスが暴れ出しました。

 しかも、今度の灼熱の玉は前回よりもはるかに巨大なものです。


 我が国の魔術者も出向いて、障壁を張って攻撃を防ごうとしていますが、余りにも大きすぎて障壁を無効にして進んできます。

 このままでは、犠牲者が出る可能性もあります。」


 スターツからの報告は、悲惨なものだった。

 見上げると、上空の人類の負傷者数がうなぎ上りでぐんぐんと上がっている。

 既に負傷者だけでも3000人を超えてしまっているようだ。

 このままでは、本当に死者を出してしまいかねない。


「一体、どういう事だ・・・?

 そうか・・・、ハル君がここへきて、灼熱の玉を最大級にして発したものだから、敵の円盤を打ち落とせたのはいいが、魔法効果を高めると強大な破壊力を生むと言う事が、向こうにも気づかれてしまったのか。


 向こうには、ハル君のオーラが保管されているから、後はそれを培養するだけだ。

 それで、障壁をも無効にできる、強大な破壊力の兵器を持たせてしまったという訳だ・・・。」

 所長がショックを受けたように、呆然と立ち尽くす。


 トン吉が巨大化して、凍りついた巨大ロボット達を鎖でつないでいる間にも、『シュパッ』『シュパッ』『シュパッ』地面にめり込んだ円盤から、またもや光の点が発射され、代わりの巨大ロボットが出現する。

 これでは、ミッテランの魔法もいつまで通用するか、分らない状態だ。


「はっ・・・、いかんいかん、落ち込んでいる場合ではない・・・。

 申し訳ないが、こちらも巨大ロボットの相手で手いっぱいの状態です。

 そちらで対処していただくしかありません。


 どうやら、敵は試技の時に受けた攻撃を分析して、それに対抗する策を講じているようです。

 それなので、前回使っていない魔法攻撃が有効でしょう。」

 所長はすぐに気を取り直して、スターツ王子に指示を出す。


「了解しました、光の魔法攻撃を仕掛けて見ます。

 そちらも、頑張ってください、それでは。」

 そう言って、スターツ王子からの無線は切れた。



「神に逆らうとは、罰当たりな者達め・・・、正義の裁きを受けよ。」

 チュロンバがステルス機能で姿を消した円盤で、巨石像を操って米軍に襲い掛かる。


 米兵も、パワードボディスーツを身に着けた兵士が前線に参加してきたが、新型弾は強化した障壁で十分に防ぐことができた。


魔弾(ダークショット)!!!」

 瞬間移動で巨石像の目の前に出現したナンバーファイブの手から、まばゆい閃光が発せられ、巨石像を攻撃する。

『プシュン』しかし、巨石像の障壁はびくともしない。


「ええーっ・・・じゃあこっちはどう?魔砲弾(ダークキャノン)!!!」

 ナンバーファイブが唱えると、巨石像を包み込まんとする大きさの、真っ赤に燃えたぎる高温の火の玉が、襲い掛かる。


「フン!」

 チュロンバが、右側のスイッチを押すと、巨石像を守る障壁の仕様が切り替えられ、火の玉を吸収してしまう。


「ええっ・・・、思い切り仕掛けたのに・・・。」

 これには、ナンバーファイブも茫然自失だ。

『ボワッ』すぐに今度は巨石像から、巨大な灼熱の玉が発せられる。


「父さん、母さん、そしておじいさん、僕に力を貸してください・・・。

 灼熱の炎、灰と化せ!!!」

 ハルも同様に巨大な灼熱の玉を発する。

 灼熱の玉は、互いにぶつかり合い、空間を高温に熱しながら消え去った。


「ふわっ・・・、こんなこと続けていたら、身が持たないよ・・・。」

 あまりの熱気で、全身汗びっしょりになりながら、ハルが呟く。


「そうね、向こうの灼熱の玉の大きさも、ハル君が本気になった時ほどではないにしろ、ある程度の大きさはあるわね。

 ハル君は、まだ回復しきっていないから、この程度の魔法でも、そう何度も発することは出来ないでしょ。


 あたしの魔法は、全然通用しない様子だし、困ったわね・・・。」

 ナンバーファイブも、滴り落ちる汗を拭いながら、ため息をつく。


「忌々しい人間達め、お前たちのおかげで、父さんと姉さんが捕まったんだ・・・。

 怒りの鉄槌を食らえ・・。」

 チュロンバが巨石像を操作して、ハルたちを踏み潰さんと、巨石像の足を高く上げる。


「チュロンバ、止めて・・・。

 母さんも、止めて。

 父さんが・・・父さんが・・・。」

 不意に円盤のモニターに、姉のチュロンビの姿が映し出される。


「父さんがどうしたっていうんだい。」

 今度は画像が、母親のチュロンベの姿に切り替わる。


「あたしと一緒に捕まった父さんは、人間たちに治癒魔法をかけてもらって回復したわ。

 そうして、戦わないことを約束に中立地帯へ送られたの。


 空に映しだされているカウンターを見てよ・・・、鬼の死者が1名だって・・・、あたしはおかしいと思って、中立地帯の座標へ偵察用の小型円盤を飛ばせたのよ・・・、そしたらどうなっていたと思う・・・?」

 チュロンビの声と共に、画面が太洋に浮かぶ小さな島々の映像に切り替わる。


 しかし、どの島も大きく地面をえぐり取られた様に、いびつな形状をしていて、表面が高温で溶けたようにただれていて、波が島の中央部分にまで達している。


「この島に父さんは送られたのよ、本当なら、戦争が終わるまでここで生活しているはずだったの。

 でも、どうしてこうなったと思う?

 小さな恐竜人のライゼルっていうやつのせいよ。


 奴が、最初から戦いを放棄するような奴には用がないって言って、父さんがここに居ることも承知の上で、先制攻撃を仕掛けたのよ。」

 チュロンビの声は、最後には涙声だった。

 そうして、ハワイ諸島を攻撃した時のライゼルの映像が映し出される。


「ば・・・馬鹿な・・・。」

 チュロンバも、その映像を見て絶句する。


「これで分ったでしょ・・・、あんな奴ら、神様であるはずがないわ。

 自分たちに共感して、手助けしようとするものを、平然と消去するなんて・・・、異常よ。

 ダロンボさんたちが、小さな恐竜人たちの援助をしようとしない理由がよくわかったわ。


 どちらにも干渉しないと言う、中立の立場をあくまでも貫いているのよね。

 鬼たちは、小さな恐竜人に創られた存在なのかもしれないけど、今はこの星の住民たちの成長に手助けするという任務があるからよ。


 それには、住民同士の対立には中立であるべきなんだけど・・・、今回だけはそうはいかないわ、小さな恐竜人たちを倒すのよ。

 父さんの仇を討たなければ・・・。」

 チュロンビの目には、深い決意が現れているようだ。


「分ったよ、父さんの仇打ちだ。」

 チュロンバは、巨石像と共に上空高く飛び上がり、東へ針路をとった。


「ええー・・・、どうなっちゃったの・・・?

 てっきり、踏み潰されたかと思ったのに・・・。」

 頭を抱えて蹲っていたナンバーファイブは、上を見上げて驚きの表情だ。


「あ・・・あんたぁ・・・。」

 チュロンベも泣きながらスフィンクスを上空高く舞いあがらせた。

 そうして西へ針路をとる。


「あたしは、乗って行く円盤がないから、ここから見ているだけになってしまうけど、応援はするわ。」

 そう言いながらチュロンビは、モニター画面の前の操作パネルを操作して、小型円盤を飛び立たせた。



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