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もう平和とは言えない冒険の書  作者: 飛鳥 友
第6章 ちび恐竜人たちの逆襲編2
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第85話

                12

「なんだって・・・、ミリンダちゃんが・・・。」


「ミリンダが・・・、鈴が一体どうしたんですか?」

 恐竜人基地と仙台市の研究所に加えて、釧路の学校の無線室と、3方向同時通信が行なわれている。

 釧路の無線室には、ミリンダと入れ違いに戻ったばかりのミッテランも居るようだ。


「それが・・・、チビ恐竜人たちの円盤に忍び込もうと小さくなった途端に、鬼に襲われてしまって・・・。」

 無線機の向こうから、ナンバーファイブのためらいがちの言葉が聞こえてくる。


「ふぁ・・・ファイブ君だね・・・、ガガガ・どうして君が恐竜人基地に?

 九州の警備に当たっているはずじゃなかったのかい?


 いや、ミリンダちゃんと一緒に、黄泉の国へ特訓させてもらうようお願いに行ったのか・・・。

 その時に襲われ・・・、いや・・・、チビ恐竜人の円盤って・・・一体・・・ガガガ・・・。」

 流石の所長にも、事態がうまく飲み込めない様子だ。


「無線で話をしていてもらちが明かないから、そっちへ行くとしよう。

 ネスリー君・・・・、悪いが頼む・・ガガガ。」

 そう言って仙台市の無線が切れた。


「私たちも恐竜人基地へ行きましょう。」

 ミッテランが、無線機の前のジミーに告げる。


「はい、そうした方が良さそうですね。」

 ジミーもうなずく。


「僕も行きます。」

 ジミーたちが無線室を出ようとしたところ、廊下にはハルの姿があった。

 ミリンダが居ないことを不思議に感じて、緊急無線の内容を確かめに来たのだろう。


「でも、ハル君はまだ・・・。」

 ジミーがハルの体を気づかう。


「魔力なら、もう8割程度は回復しました。

 ミリンダの身に何かがあったのなら、じっとしてはいられません。

 僕も一緒に行きます。」

 ハルの目は真剣そのものだった。


「そうか・・・、じゃあ一緒に行こう。

 でも、いうなれば病み上がりの身の上なんだから、無理はしないようにね。」

 ジミーはハルに念を押して確認する。


「分っています。」

 ハルもこっくりと頷いた。

 3人で校舎を出て校庭から瞬間移動する。



「じゃあ、ミリンダちゃんとナンバーファイブ君の二人は、ウチーデノコヅーチとかいう恐竜人の神器を隠し持っていて、それで体を小さくしてチビ恐竜人たちの円盤の中に忍び込もうとしていたというんだね。


 丁度その時を狙って鬼の仲間を抜け出した、チュロンボ一家の誰かに襲われたと・・・。

 そうして、ミリンダちゃんを連れた鬼は、空間の中に消えたと・・・そういう事だね。

 瞬間移動ではない、転送装置というか、次元を切り裂いて空間を繋ぎ合わせる装置のような物かね・・・。


 そう言った装置を、鬼たちもしくはチビ恐竜人は持っているということなのかね?」

 恐竜人基地の中の、円盤発着場脇の会議室には、鬼を代表してダロンボの姿もあった。


「いんや・・・、そんな高度な機械というか、神器の記録はなかったなぁ。

 といっても、わしも実をいうと、神器に関してはさほど詳しくはなかったもんでなぁ。

 吸収器っていう箱も、一体何を吸収するんだか・・・、わしの前の代の鬼のリーダーも知らなかった。


 恐らく、代々神器の管理をしていたチュロンボ一家だけには、伝わっていたんだろう。

 そうして、その科学力を偉大な力として、チビ恐竜人様たちを神様としてあがめていたんだろうなぁ。

 今回チュロンボ一家が持ち去った神器は3種類で、一つは鬼でっぽうって言って、魔法力を詰め込むとどこででも魔法を発射できるっていう便利な筒だ。


 それともう一つは、先ほども言った吸収器だが、ミライさんの話では、魔法力を吸収する装置のようだ。

 これで吸収した魔法力を鬼でっぽうにチャージするわけだな。

 いわゆるセットものだ。


 最後の一つは、キントーンって言って、音もなく空を飛べる便利な乗り物だ。

 その乗り物には、神隠しっていう機能がついていたから、その機能で姿を消していたんだろう。」

 ダロンボが淡々と説明する。


「ふうむ・・・、姿を見えなくして、更に音もなく飛べる・・・、もしかすると、巨石像はそのキントーンっていう乗り物で操っていたのかも知れないね。

 直接電磁波か何かで吊って動かして・・・、攻撃した魔法は巨石像の中に仕込んだ鬼でっぽうから発射させる。


 道理で動力も何も見つからなかったはずだ。

 遠隔操作だね・・、ダロンボさん、キントーンにはそう言った機能も備わっていたのかね?」

 所長がダロンボに尋ねる。


「いんや・・・、そう言った細かな操作方法までは、分んねえなぁ・・・。

 なにせ、わしら鬼は元々武闘派だから・・・、鬼でっぽうなんかで魔法を繰り出すまでもなく、武術で敵を打ち倒す自信はあるだかんなぁ。


 キントーンなんかで空を飛ばなくったって、黄泉の穴は世界中どこにでもあるから、行くに困ることはなかったし、ましてや姿を消して忍び寄るなんて卑怯な事は、決してしんねぇ。

 鬼のプライドってぇもんがあるだよ。」

 ダロンボは胸を張って答える。


「ふうむ・・・、ところがそう言った考えに反発した一つの家族が、黄泉の国から神器を持って逃げたという訳だ。

 そうして、神とあがめるチビ恐竜人たちに協力して、この星を手に入れようとしている。


 その家族は、チビ恐竜人たちと接触できたと思うかね。

 それとも、神様のための活動として、自発的に動いているのか・・・、どちらだろう。」

 所長が腕を組んで考え込む。


「分らんな・・・、チビ恐竜人たちの円盤は、強電磁波で囲ってあるから、そこから逃げ出すことは実質不可能なはずだ。

 地下に穴を掘ったところで、地中にも電磁波は通っているから、どこにも抜け道はない。


 姿を消そうが、電磁波の檻を通過することは出来ないはずだ。

 強いて言うなら、やはりあの銀河警察と名乗った奴らが怪しい。

 あいつらが仲間であったとすれば、逃げ出した一家と連絡を取り合ったことだろう。


 いくら我々が監視していたとしても、姿を消す技術を持っていたのであれば、行き来するのに難しい事はなかっただろうからな。

 そうなると・・・、あいつらをそのまま帰してしまったのは、悔やまれるな・・・。


 丁度巨石像の襲撃が頻繁に行われていた時期だったから、あいつらの関与も疑っていて、あいつらが地球を離れることを逆に喜んでいたくらいだったからな。」

 ミライが悔しそうに唇をかむ。


「こうなると、唯一の交渉手段はこの大陸に収容しているチビ恐竜人たちの円盤という事になる。

 そこに押しかけて行って、ミリンダちゃんを返してもらうよう、交渉して見るしかないね。

 ついでに小槌も返せば、開放してやるっていえば、返してくれるかもしれない。


 なにせ、あの円盤は身動きができない状態だからね。

 もしかすると、向こうもあの円盤を救い出すための交渉道具を作ろうと、画策していたのかも知れない。」

 所長が、問題解決のための一つの提案をする。


「まあ、やってみても損はないだろう。


 ここまで証拠がそろっていれば、奴らがしらを切りとおすことは難しいだろうし、仮に奴らが知らないままで、鬼の一家と銀河警察を名乗るチビ恐竜人の仲間たち単独での作戦だとしても、奴らの危機をみすみす見過ごすことはないだろう。


 イオンビームの照準を定めて脅してやれば、すぐに降伏するだろう。

 イオンビームのエネルギーも既に2発分くらいは蓄えられているはずだし、至近距離だから円盤を跡形もなく消し飛ばすことだって可能なはずだ。


 その威力に関しては、誰よりも奴ら自身が一番詳しいはずだからな。」

 先程までの不機嫌さはどこへやら、ミライはそう言いながら高らかに笑った。


「じゃあ、これからチビ恐竜人たちと交渉開始だ。」

 ミライはそう言うと、会議室を後にして、円盤発着場脇にある操作パネルに向かう。

 そこで、いくつかのボタンを操作した後、ついでに天体望遠鏡を出した。


「どうするのかな?この望遠鏡では焦点距離が長すぎて、チビ恐竜人たちの円盤は見られないだろう?」

 所長がそんなミライの行動を見かねて話しかける。


「いや、同じチビ恐竜人の円盤でも、銀河警察を名乗った方の円盤を見るのさ。

 この望遠鏡の操作部には、一度観察した星や物体を記憶しておく機能が備わっている。

 銀河警察の円盤もメモリーされているから、視野内にさえいれば、どれだけ遠くてもその位置を割り出してくれる。


 熱源や航跡なども判別できるから、何かに隠れていてもかなりの確率で発見できるはずだ。」

 そう言って、ミライがスイッチを入れると、望遠鏡の筒が休みなく動き始めた。

 やがて、動きが止まると、パネルに文字が表示された。


「やはりな・・・、火星の衛星の影に隠れてそれらしい円盤がいるようだ。

 一度太陽系を出てから、気づかれないようにゆっくりと接近してきたのだろう。

 これで役者はそろった訳だ、じゃあ、交渉開始だ。」

 ミライはそう言うと、今度は別の操作パネルへ移動し、壁に掛けられていたマイクを手にする。


「こちら恐竜人基地のミライだ。

 チビ恐竜人ども聞こえるか・・・、今、イオンビームの照準を、お前たちの円盤に合わせたところだ。

 応答がなくても、30秒後には発射する予定だ。」

 ミライが、声高に恐ろしい事を口にする。


「こちら、チビ・・・、地球の支配者である、恐竜人の円盤だ。

 今ライゼル議長を呼びに行っている、少し待て。」

 すぐに慌てた様子の無線が帰って来た。


「待てないなあ・・・、あと20秒しかないぞ・・・。」

 ミライは口元を笑みでゆがませながら、自信満々に告げる。


「10、9、8・・・」

 ミライは平然とカウントを続ける。


「ちょっとまずいんじゃ・・・、何も有無を言わさず攻撃を仕掛けなくても・・・。」

 所長が、マイクには入らないほどの小声で囁く。


「大丈夫、大丈夫・・・。」

 ミライも小声でそう言いながら、ウインクをする。


「いいのか?5、4・・・」

『ドッガーンッ』突然、地鳴りのような爆音が響き渡り、地下にある基地も大きく揺れた。


「な・・・なんだ・・・いったい・・・。

 おい、ちょっと行って調べて来い。」

 ミライが上方を見上げた後、すぐに部下に命じて調査に向かわせる。


「こちらライゼルだ・・・、どうしたのかな?」

 無線機の向こうから、落ち着いた雰囲気の声が返ってきた。


「なんでもない・・・、おまえたちを生かしておいてやったのに、尚もこの星を手中に入れることをあきらめずに、色々と画策しているようだな。

 しらばっくれても無駄だぞ、証拠は挙がっているんだ。」

 ミライがドスの利いた声で脅しをかける。


「ほう・・・、それが事実だとしたらどうすると言うのかな?」

 ところが向こうは落ち着いたままの様子だ。


「観念してやったことを認めると言うのか。

 命乞いをしても無駄だぞ、お前たちのような、宇宙に害をなすような存在は、そのまま消滅させてやる。」

 ミライは、レーザービームの発射ボタンに手を伸ばす。


「ほう、どうやってこの巨大な円盤に攻撃を仕掛けると言うのかな?

 そんな兵器を、お前たちが所有していたかな?」


「なっ・・・・・。」

 ライゼルの言葉に、ミライが凍りつく。


「ミライ中隊長殿、大変です。

 先ほどの爆発は、イオンビーム砲が攻撃された時の衝撃の様です。

 丁度エネルギー充填した後だったので、跡形もなく消し飛びました。


 近くで作業していた、1小隊も巻き込まれ、全滅です。」

 先ほど向かわせた部下から、ミライのインカムへ無線が入って来た。



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