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もう平和とは言えない冒険の書  作者: 飛鳥 友
第6章 ちび恐竜人たちの逆襲編2
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第75話

                 2

「でも・・・一体どういう事?

 魔法力を与えるって偽の情報で人を集めて・・・、それで集まってくる人たちから逆にオーラを吸い取ろうとしていたってことなの?


 そこへ、たまたまハルたちが行って、巨大なオーラを取り込んだから、もう充分ってことで、店じまい?

 何か、出来過ぎているわね・・・、何も、こんな人里離れた南米でやらなくてもいいような気もするし・・・。」

 ミリンダが腕を組んで考え込む。


「人間か魔物の中で、魔法力をたくさん必要としている奴がいるんじゃないの?

 この土地の人たちだって、こんな密林で猛獣や魔物たちがうようよといる中で暮らしているんだもの。

 魔法ぐらい使えたって、不思議じゃないでしょ?


 それか、魔物の中で巨大な力を持ったやつが、魔法力を集めて地球制服を狙っているとか・・・。

 そこへ丁度ハル君が現れて、大量のオーラを頂いたものだから、満足して元の住処へ戻って行ったのよ。

 次に狙うは世界征服ね。」

 ナンバーファイブが、これが正解じゃないの?とばかりに頷きながら話しだす。


「うーん、強力な魔術者なら、人のオーラを吸い取ることも可能だろうとは、ミッテランおばさんも言っていたけど・・・、でもそんなことするよりも、自分のオーラを精神集中で高めたほうが、よほど効率がいいって言っていたでしょ?


 魔物だったら、座禅したりすることはないのだろうけど、それだってわざわざ人のオーラを吸い取ろうとは考えないと思うわ。

 そんな知恵のある魔物だったら、世界中から仲間を集めて、総力戦を挑むだろうし、そんな計画がもしあったら、トン吉たちのネットワークに引っかかってくるはずよ。


 新たな敵・・・かしらね。

 やっぱり、チビ恐竜人たちじゃないの?

 あの銀河警察っていうのも、なんか怪しいのよね。


 捕まったチビ恐竜人たちは身動きが取れないから、あの銀河警察っていうのに化けて、仲間が救いに来たんじゃないの?

 そいつらが、ついでにハルのオーラも奪おうって考えたのよ。


 自分たちには魔法力がないって言っていたでしょ、きっとそうよ。」

 ミリンダが腕を組み、右手で顎を触りながら、熟考する。


「それもそうね・・・、でもそうだとしても、こんな人里離れた場所でやっていた意味が分からないわ。

 まるで、ハル君たちがここへ来るのが分っていたみたいに感じる。

 先生は、ここの情報を大阪のロビンさんって人に聞いたって言っていましたよね。」

 ナンバーファイブが、アマンダ先生に問いかける。


「え・・・ええ、元々はアメリカ大陸の生存者の支援に訪れた、米軍からの情報だって言っていたわ。」


「そうでしたよね、実際にここへきて、魔法力を与えてもらったっていう情報だったけど、よく考えてみたら、こんなジャングルの奥地だもの。

 普通の人間では、簡単にたどり着くことは出来ないし、第一、こんなところへ入り込んだ理由が分らないわ。


 恐らくその情報は、我々のうちの誰かをここへおびき寄せて、オーラを吸い取ろうと計画して流した、偽の情報ね。」

 ナンバーファイブが大きく頷く。


「そ・・・そうよね・・・、でも私は魔法を与えてもらうのがうれしくって、他の事には気が回らなかったわ。

 ハル君は、疑っていたみたいだったけど、私が無理やり・・・、先生失格ね。」

 アマンダ先生が、大粒の涙をこぼしながら、うな垂れる。


「そんなことはないわ、魔法を欲しがっている人に付け込むような、卑怯な奴が悪いのよ。

 でも、そうなるとチビ恐竜人という線は薄いわね。


 奴らは、釧路の魔法学校なんて知らないでしょうし、あたしたちが魔法の修業をしているってことも知らないはずだから。

 ミライさんたち恐竜人は、魔法の特訓なんてした事がないようだって、ハル君が言っていたものね。


 そうなると、本当の新たな敵・・・、うーん・・・分らない。

 まあでも、ここに居ても、これ以上の収穫はないでしょうから、戻りましょう。

 今日の事をみんなに報告すれば、何か心当たりのある人が居るかもしれないわ。」


「そうね、そうしましょ。」

 ナンバーファイブに促され、一行は円盤へ乗り込んだ。



「ふうむ・・・確かに、チビ恐竜人たちの科学力でなら、精神感応力を吸い取ることは可能だぞ。

 なにせ、鬼の魔法力というのも、元々は我々恐竜人から吸い取った精神感応力の素を培養したもののようだ。

 原始哺乳動物に、精神感応力の素を種として植えつけたというのだな。


 更に、ウチーデノコヅーチで巨大化したチビ恐竜人たちの魔力にも使われたようだ。

 奴らには、元々魔法力がないから、その種として精神感応力の素を移植して、魔法力を取得していたようだ。

 記録を見直して、分って来た。


 その為に、一体何人の祖先が犠牲になったことか・・・。」

 ミライが神妙に話す。

 恐竜人大陸に戻ってきたミリンダ達が、早速ミライを捕まえて、タイガに聞いたことを確かめようとしている様子だ。


「オーラを吸い取って、移植することができるという訳ね。

 それで、元々は魔法を使えなかった、我々の祖先の哺乳動物や鬼たち、更には巨大化したチビ恐竜人たちも、魔法力を身に着けたという過去があったのね。


 だったら、今は魔法力が無くなったというチビ恐竜人たち、あいつらが一番怪しい訳よね。」

 ミライの話を聞いたミリンダが、納得とばかりに頷く。


「確かに、チビ恐竜人には魔法力はもうないとは言っていたから、また精神感応力の種を必要としているというのも納得はできるのだが、いかんせんウチーデノコヅーチはもう存在しない。

 そんな状態で、精神感応力の素だけを取得したとしても、使い道がないだろう。


 チビ恐竜人に戻って魔法力が無くなったというのであれば、恐らく、巨大化出来なければ、魔法力は取得できないと言う事だろうだからな。

 更に、厳重な電磁波の檻に囲まれている身の上だ。

 そんな何の得にもならないことを、危険を冒してまでやるとは思えない。


 なにせ、元老院の首には、未だに魔封じの紐やペンダントがついたままなのだからな。

 奴らにとっては、精神感応力に近づくことさえ、恐ろしい事だろう。


 第一、ハル君がオーラを枯渇させて倒れたと言ったって、実際にオーラを吸い取られたのかどうかも分ってはいないのだろ?

 もっと別な理由・・・、君たちがよく使う、瞬間移動だが、非情に離れた場所で、ごくたまにしかいかないような場所へ行くのは、普段よりもはるかに多くの精神感応力を消費するとか。


 あるいは、南米とやらで、実は恐ろしい猛獣や魔物たちと命がけの戦いをしていたとか・・・、じゃないのか?」

 ミライが、チビ恐竜人たちが元凶とは、とても考えられないとばかりに首を振る。


「瞬間移動は、魔法力さえ身に付ければ、ほんの少しの魔法力で使えるのよ。

 移動した先で強い魔物に出会ったりする恐れがあるから、子供は使用禁止だけど、あたしもハルもずいぶん小さい時から使っている手慣れた魔法だから、瞬間移動でオーラが枯渇するなんて、あり得ないわ。」

 ミリンダはブンブンと音がするくらい、勢いよく首を振って否定する。


「南米では、ハル君は高速で移動していましたから、猛獣などに出会う事はほとんどなく、戦いなどありませんでした。」

 アマンダ先生も同様に否定する。


「ふうむ・・・そうなると、全く訳が分からないと言ったところだな。」

 流石のミライも、考え込んでしまった。


「あ・・あー・・・、ミライ中隊長、聞こえるかね?こちら、仙台市近代科学研究所の竜ヶ崎だ。」

 突然、円盤発着場に、聞きなれた声が響き渡った。


「うん?無線か・・・、はい、こちらミライだ。

 これはこれは所長さん、いかがいたした?」

 ミライが、すぐに壁際の無線装置に駆け寄って応対する。


「実は、アメリカ大陸に行っている米軍が、突然襲われたようなんだ。

 相手は巨大なロボットのような兵器らしい。

 自衛隊を派遣するつもりだが、いかんせん距離が遠すぎてすぐには応援に行けそうもない。


 中南米だとそちらの方が近いのだが、悪いが円盤で向かってくれないか?」

 無線の向こうでは、あわただしく各所へ連絡を取り合う声が漏れ伝わってくる。

 相当大騒ぎしている様子だ。


「ほう・・・、どうやら、本当に新たな敵が現れたという事のようだな。

 了解した、タイガ中隊長に行ってもらうとしよう。」

 ミライが、先ほど南米から帰って来たばかりのタイガ中隊長へ振り返ると、タイガも大きく頷く。


「あたしたちも一緒に行くわ。

 ハルが、オーラを奪われた事件と、関係があるかもしれないし、それに中南米っていう地名だけじゃ、場所が分らないでしょ?


 アマンダ先生は、危険だからここへ残ってください。」

 ミリンダとナンバーファイブも一緒に、先ほど降りたばかりの円盤へ、再び乗り込む。

 そうして、円盤は音もなく飛び立ち、西へ向かった。



『ドゴーンッ』『ゴワッ』『ズゴーンッ』上空から見ても、各所から爆発音が聞こえてくるかと思える位、至る所に弾幕や、土煙が舞い上がっている。


「どうやら、戦況は思わしくない様子だな。」

 タイガ中隊長が言うとおり、モニターから見える米軍側の戦車やジープなどは、装甲が溶けたように破壊されていて、身動きできない程に追い詰められている様子だ。


 墜落したと思われるヘリや戦闘機などの残骸が、至る所に見受けられる。

 敵は、身長二十メートルはありそうな、巨大な人型ロボットで、見た目は四角い石を組み合わせて造られた様にごつごつとしている。


 ロボットの胴体が開いて、そこから高温の玉が発射されているようで、米軍部隊は反撃することも出来ず、狭い範囲をまだ動く戦車やジープを動かして、逃げ回っているだけのようだ。


「助けてあげて。」

 ミリンダに言われてタイガが頷くと、円盤は巨大ロボットと米軍部隊の間に割って入った。

『ドゴーンッ、ドゴーンッ』円盤の外周部に、白熱した玉が当たって爆炎が上がる。


「あんな攻撃の程度じゃ、この円盤のバリアーは破れやしない。

 今のうちに逃げろ・・・、といいたいが、爆撃で退路も塞がれちまっているようだな。

 仕方がない、収容してやるか。」


 タイガは、コントロール盤のボタンを押した。

 すると、米軍部隊に円盤から光線が照射され、そこに居た米軍兵士たちの姿が一瞬で消えた。


「三つ先の部屋に捕獲光線で収容した。

 今頃びっくりしていることだろうから、行ってやってくれ。」

 タイガに促されて、ナンバーファイブとミリンダが、収容された米軍の元に向かう。


『ガチャッ』ドアを開けた途端、米兵は銃を持って油断なく構えた・・・が、その視線の先がメイド服を着た美しい少女と、制服姿のかわいらしい少女であることが分ると、すぐに構えを解いた。


「どうやら、中南米の生き残りの人たちをまとめていたところを、突然襲われたようよ。

 それほど武装もしていなかったので、全く歯が立たなかったらしいわね。

 何とか住民の人たちを逃がすために時間稼ぎをするのが、精一杯だったって言っているわ。


 空母から飛ばした戦闘機や攻撃ヘリなどは、一瞬で破壊されたようね。」

 ナンバーファイブが米軍兵士から事情を聴く。


「とりあえず、この部屋で待機してもらうように言っておいたから、操作室へ戻りましょう。」

 重傷者に治癒魔法を施した後、2人は元居た操作室へ戻って行く。


「どうやら、米軍兵士がいなくなったことが、向こうにも分った様子だな。

 この円盤はバリアーがあるから攻撃しても無駄だっていうんで、何もしかけてこなくなった。

 そうして、どうやら引き上げるみたいだな。」

 モニターを見ているタイガが、ナンバーファイブ達が戻って来たのを確認して、話しかけてくる。


「ふうん・・・、じゃあ、追跡して。

 奴らがどこから来たのか知りたいわ。

 こんな巨大ロボット・・・、どこの国の兵器なの?」


 ミリンダが、品定めでもするかのように、モニターに映る巨大ロボットの姿をじろじろと見つめる。

 見た感じは石像のようだが、まぎれもなく二本の足で立ち、歩行して、更には胴体から高温の玉を発射した。


 漫画などで見る、ロボット戦隊のような物だが、このような兵器は地球上の歴史に存在していないはずだ。

 いくら、授業中は寝てばかりのミリンダでも、そのくらいの知識はある。


「どうやら、あそこから来たやつのようだな。」

 巨大ロボットは、ミリンダ達が乗る円盤に追跡されていても平気な様子で、背中を向けてゆっくりと歩いていく。

 まるで、この円盤には攻撃兵器が積まれていないことを、知っているかのように。


 そうしてその先には、山を切り崩した絶壁に、丁度、巨大ロボットの形の切り抜きがあり、そこへすっぽりと収まるように、ロボットは向きを変えて座り、それからは全く動かなくなった。


「ふうむ、一体どういう事だ・・・。」

 モニターを見ていた全員が、信じられない光景に、言葉を失った。

 とりあえず沖合に居た空母を見つけ、米軍兵士を戻すと、恐竜人基地へと戻って行った。



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