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もう平和とは言えない冒険の書  作者: 飛鳥 友
第5章 ちび恐竜人たちの逆襲編1
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第68話

                  9

「ふうむ・・・、話のつじつまはあっているようだな。

 遥か昔に別の惑星から逃げ出した、チビ恐竜人の犯罪者一味は、地球に潜り込んで追手の追跡をかわした後、我々先住の恐竜人たちを睡眠学習を用いて洗脳し、支配した。


 ところが、闇の王子とやらの存在で、そのような支配体制は永くは続かなかった訳だが、闇の王子が居なくなったことが分り、恐竜人大陸が浮上し、我々が地上の支配を行おうとした。

 それがハル君たちの活躍により逆転し、更にはチビ恐竜人たちの侵略の過去まで明らかになった訳だ。


 トランさんに、次元金庫を操作されてしまったために、奴らは接続を一旦断ち切り、遠く離れた銀河に出現しなければならなかったから、その時の地球まで戻ってくる移動の際に、銀河警察のチェイサーに検知されたという事になるな。」

 ミライは無線の内容に、納得したように何度も深く頷く。


「でも・・・、銀河警察なんて聞いたこともないし・・・、それに、土星の輪の中に隠れていたなんて、正義である警察のすることとは思えないですよ。

 なにか、怪しいですね。」

 そんなミライに対し、慎重なハルが納得できない不審な点を挙げる。


「まあ、そう言う事だな・・・、それに、あいつらを引き渡すつもりはない。

 これは、この星、地球の問題だ。

 チビ恐竜人たちが、他の星から来た侵略者だとしても、その星へ戻せば済むと言う事でもない。


 奴らが逃げ出さないように、監視することが大切なんだ。」

 ミライは、ハルの言葉に頷くと、再び無線のマイクを握った。


「こちらは、地球のミライだ。

 お前たちが探しているのが、チビ恐竜人たちの事であれば、そいつらは既に我々が捕まえた。


 2度と悪さが出来ないように、地球に閉じ込めておくつもりだ。

 だから、後の事は我々に任せて、そのまま母星へ引き上げてくれ。」


「ま・・・待ってくれ・・・、我々は銀河警察だ。

 遥か数十光年も離れた地まで飛んできて、そのまま帰るわけにはいかない。

 せめて、我々の捜している犯罪者たちに合わせてくれ。


 そいつらがきちんと確保されているか、確認だけはさせてくれないか?」

 ミライの答えに、すぐにあわただしく無線が帰って来た。


「ふうむ・・・、引き合わせてもいいのだが・・・、もし仲間だとしたら、面倒なことになるな・・・。

 その場で暴れられては面倒だ。

 地表ではイオンビームは扱い難いし、素早く動かれたら、照準を合わせるのも難しい。


 すまないが、あの時に作ってもらった紐やネックレスを、至急作ってはくれないか?

 今回はそれほど数を必要としない、10〜20本もあれば十分だ。」

 ミライは、そう言って所長たちの方へ振り向いた。


「ああ・・・、魔封じの紐やネックレスなら、あれから練習代わりにあたしもハルも作っているから、常に持っているわよ。

 でも、手首用のだから、人間はもとより、あんた達恐竜人の首になんてとても巻ける長さじゃないわよ。


 チビ恐竜人であれば、2重巻きでも出来るかもしれないけど。」

 ミリンダが、服のポケットから色鮮やかな魔封じの紐を取り出した。

 ハルも、同じく魔封じのネックレスを取り出す。


「おお、ありがたい、恐らく大丈夫だろう。

 なにせ、自分たちの星を逃げ出した悪党というのだから、あいつらも同じサイズのはずだ。」

 ミライはそう言いながら、無線のマイクを持つ。


「分った、地球に様子を見に来ることを許可しよう。

 但し、その円盤はそのままにして置け、これから移動用の円盤を送るから、我々の円盤に乗り込んで地球まで来てもらう。


 お前たちの事を信用した訳ではない、だから、常に円盤に照準を合わせて狙っていることを忘れるな。

 円盤に移ったら、その中に入れておく首飾りを一人一人の首に巻きつけろ。

 それが、地球へ入るためのパスポート代わりだ。


 こちらへ来られる人数は、20名に限定させてもらう、いいかな?」

 ミライが無線のマイクに向かって告げる。


「こちらは銀河警察。

 分った、簡単に信じてもらえないのは仕方がない。

 我々に敵意はない事の証として、そちらの条件は全て飲むことにする。」

 すぐに返事が返ってきた。


「分った、それでは円盤を送る。」

 ミライがそう言うと、発着場わきのゲートから巨大な円盤が出てきた。


 ミライは、その円盤にハルたちから受け取った魔封じの紐とペンダントを積み込むと、そのまま宇宙に向けて発進させた。

 暫くして、地球からの円盤が銀河警察を名乗る円盤に近づいて行く映像が映し出される。


 やはり前回同様、彼らの円盤も巨大なものだ。

 直径百メートルほどの捕獲用円盤と比較して、その十倍は優にあるだろう。

 円盤から捕獲用ビームが発せられ、すぐに円盤は反転して地球へ戻ってきた。



「ようこそ、地球へ。」

 捕獲用円盤から出てきたのは、やはりチビ恐竜人たちだった。

 そのまま前回同様、発着場脇の会議室へと案内される。


「銀河連邦警察、保安官のラティエだ。

 太陽系を含む、近隣星系の平和と安定を見守っている。」

 銀河警察を名乗る、チビ恐竜人の代表が挨拶をする。


「俺は、ミライだ。

 恐竜人の代表だが、この星の代表という訳ではない。


 この星の代表というと、こちらの人間の方が、最近の地球に関しては、長く関わっているので、そう言えるのかも知れんな。」

 ミライは、そう言って白衣姿の中年男性を前に押し出した。


「どうも、竜ケ崎と申します。

 地球代表などという、大それたものではありません。

 あくまでも、日本という国の仙台市近代科学研究所の所長という立場です。


 銀河連邦の方という事で、我々の住む地球も銀河系の星でありますことから、銀河連邦に参加することになるのでしょうか。

 その件に関しましては、これからおいおい、この星を代表する方たちにお引き合わせをして、協議を進めて参りたいと考えておる次第です。

 よろしくお願いいたします。」


 所長が、小さな恐竜人代表に手を差し出して、握手をする。

 会議室のテーブルの上に乗って、ようやく目線が合う小ささだ。


「じゃあ、現況をお伝えする。」

 ミライが会議室前方のスクリーンを指示すると、プロジェクターで、映像が映し出され始めた。


「これが、我々が捕獲したチビ恐竜人たちの円盤の今の姿だ。

 強電磁波の檻に囲まれて、一切動きが取れない状態にある。

 更に、この円盤の操作権は、現在は我々の手中にあるので、どの道逃げ出すことは出来やしない。


 奴らには、このままこの地でおとなしく暮らしてもらう事にした。

 まあ、狭い円盤の中で数千年も過ごしてきたんだ、空気のある地上で暮らせるだけ幸せと感じていることだろう。」

 スクリーンには、大陸中央部に捕獲されている円盤の姿が映し出され、ミライが映像を切り替えるたびに解説をしていく。


「ほう・・数千年ねえ・・・、では彼らは数千万年間この星で過ごした後、数千年前にどこかへ逃げ出したという事かね。

 それでこの度再び戻ってきた。


 その時に、あなたたちに捕まり、この星までの通り道で、我々のチェイサーにも検知されたという事かな?」

 ラティエと名乗る銀河警察官が、目の前の巨大スクリーンの明るさに、目を瞬かせながら尋ねてくる。


「いや・・・、話せば長くなるのだが・・・、遥かなる太古、奴らは一旦はこの星の支配に成功したのだが、わけあって隠れなければならなくなった。

 それで、時間の進みが遅い別次元へかくれて、この数千万年間を過ごして来た訳だ。


 奴らにとっての実質の時間は数千年という訳だな。

 その、別次元から戻ってくる時に、お前たちの言うチェイサーに検知されたという事になるな。」

 ミライが、事の顛末をごく簡単に説明する。


「ほう・・そうか、一度はこの星を支配ねえ・・・、それがどうして隠れなくちゃならなくなったのかな?」

 ミライがわざわざ質問を誘引するような、簡略化した説明をするがために、ラティエは、いちいち質問を返してくる。


「まあ、それなりの事情があったのだろうが、今は解消したと言う事のようだ。

 恐らく、その事情を話したところで、おまえたちにとっては何のプラスにもならんよ。

 ごく内輪の、小さな出来事だったと考えておけばいい。


 そんな事より、8千万年も昔に逃げ出した犯罪者たちを、どうしてしつこく追っていたのだ?

 お前たちの寿命が、そんなに長いはずはないだろう?

 せいぜい、1万年ほどのはずだ。

 それなのに、どうして寿命の8千倍まであきらめなかったのだ?」


 わざとわかりにくいように説明をして、相手がぼろを出すのを待つつもりだったようだが、本当に事情を知らないのか、普通の応対をしてくることに対して、ミライが作戦を変えて直接の矛盾点を投げかけてみたようだ。


「それは・・・その・・・、先ほどあなたが言った通り、時間の進みが遅い次元に逃げ込んだことを想定していたからだ。

 我々の星系の法律では、犯罪者に対する時効などといったものは存在しない。


 どれだけ逃げおおせようと、いつかは捕まえて罪を償わせるのだ。

 だから、チェイサーは過去に見失った地点の周囲に張り巡らせたまま、数千万年間ずっと監視していたという訳だ。


 遥か昔の先祖から引き継げられた犯罪者記録は、永遠に継続されるのだ。」

 いきなりの質問に、多少の戸惑いはあったものの、ラティエはそれなりに納得のいく答えを返した。


「ふうむ・・・、いや、疑って悪かった。

 今の今まで、あのにっくきチビ恐竜人たちの仲間かもと思っていたのだが、どうやら違うようだ。

 君たちは、正真正銘の銀河警察のようだな。


 それでも、奴らを引き渡す気はないのだが、安心してくれ、我々は十分に奴らを捕獲し続けるだけの自信はある。

 なにせ、奴らの科学力の結晶である、様々な装置類の大半を手に入れているのだからな。」


 ミライはそう言いながら、会議室のテーブルの上の彼らの先頭に居る代表者に対して、手を差し出す。

 銀河警察の代表者は、少し戸惑いながらも、ミライの指しだす手の人差し指を両手で掴んで上下に振った。

 どうやら、疑いの気持ちは晴れた様子である。

 その様子を見ていたハルたちも、当事者であるミライが納得さえすれば、いいと考えていた。


「そうか、疑いが晴れたのはありがたい。

 だが、それではこちらからも少し確認をさせてくれ。


 先ほどあなたは、犯罪者たちの装置類のうち大半を手に入れているから、あいつらをしっかりと捕獲しておくことができると言ったようだが、その装置類を駆使して、奴らを捕えたというのかね?


 恐らくお互いに最新鋭の武器を所有していたとするなら、扱いに慣れている奴らの方に分があったのではないかと考えられるのだが・・・、違うかね?」

 今度は銀河警察の方から、質問が飛んできた。


「いや、奴らを捉えた時の方法はといえば・・・、まあ今回のようにイオンビームで脅したのは事実だ。

 円盤には、このような巨大な装置は積めないからな。


 しかし、その後は話し合いだ、奴らに自分たちがしてきたことを反省させ、自らを罰する証として、自分たちの科学力の結晶である様々な装置を拠出させ、奴らには強電磁波の檻の中に入ってもらったのだ。

 凶悪犯だと言っていたが、それでもひとかけらの良心は持っていたという事だな。」


 そんな彼らの質問に対して、ミライはあえて魔封じの紐やネックレスの事に関しては、黙っているつもりのようだ。

 それはそうだろう、その話をすると、今彼らの首に巻かれているものが、彼らを拘束するための道具であることが分ってしまう。


 彼らが本当に銀河警察であるとするならば、それは大変失礼なことをした事になってしまう。

 どうせ、彼らが帰る時には魔封じの紐もネックレスも外してから帰ってもらうのだから、黙ったまま押し通してしまえば構わないだろうとでも考えているのだろう。


「ほう・・・話し合いねえ・・・にわかには信じられないな。

 先祖の残した犯罪記録によれば、かなりの知能犯ばかりで、一筋縄でいくような相手ではないように記録されている。


 何か余程、奴らの弱みでも握らなければ、いう事を聞かせる事など、到底考えられん。

 それを教えてはもらえまいか?」


 余程の凶悪犯だったのか、簡単に降伏したとは信じられないと言った様子だ。

 納得できずに、ラティエは尚も質問を重ねる。


「まあ、そいつはチビ恐竜人たちのプライバシーにも関わる問題だから、お答えしかねるね。

 奴らの事は、我々に任せていただくわけだから、答えなくても構わないだろ?」

 そんな質問に対して、ミライはにべもなく答える。


 銀河警察といえど、あまりいい印象は持っていないのだろう。

 なにせ、同じ種族であれば仕方がない事なのだろうが、見た目だけなら、あのチビ恐竜人そのものなのだ。


「しかしだねえ・・・、我々としては、あの凶悪犯たちが、二度とこの銀河を荒らさないように、しっかりとした管理を望んでいるのだ。


 君たちに、その重責が担えるものかどうか、納得のいく答えを貰わなければ、奴らの身柄を預けるわけにはいかないのだよ。」

 そんなミライに対して、銀河警察は尚もしつこく切り返す。


「そうは言っても、あいつらを捕獲したのは我々だ。

 つまり我々に、奴らをどうするかの生殺与奪権があると考えている。

 余計な口を挟まれても困るね。」

 ミライはそんな彼らに対して、涼しい顔で返す。


「分った・・・、それでは我々に、君たちに凶悪犯たちを任せられるかどうか、確認させてはくれまいか?

 なあに、危険のない能力テストだ。

 なにせ、奴らを捕獲し続けるのだから、それなりの力量が必要となるはずだ。


 我らが提供するダミーロボットに対して、その力を見せてはくれないか?

 十分な実力を認めさえすれば、我々はおとなしく母星へ帰るとしよう、約束する。」

 事態は思いもかけない方向へと、進み始めたようだ。




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